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『夢は自分で見て、自分で掴む方が面白い!!』

《前世のお話です》


イタリア
8歳くらいの男の子
名前は「エリオ」


白い建物。

海は近く、人々は陽気で詩人も多く、常に町には音楽が流れていた。


都会という程でもないが、船着き場があるため、人々の交流も盛んであった。


エリオはその街で育っていた。

この街が大好きだった。


エリオの楽しみは、港に船が来る事。

船が来ると異国のものが見れたり、乗組員から話を聞けたりするので、いつも海を見ながら毎日明るく元気に過ごしていた。


海の近くには教会があり、持ち回りでそこの神父様に食事を運ぶ仕事があった。

神父様はこの街とは違う街の出身で、博識であり何を聞いても教えてくれるので大好きだった。


忙しい神父様も、食事の時は話し相手をしてくれるのでいつも率先してその役を行っていた。
といっても、親の代役であるが(笑)


ある日、

いつも通り教会に入ると、神父様がいない。

おかしいなと思い奥へと進んだ。

入ってはいけない…そう思っていたが、奥へ奥へ…。


一番奥の部屋で何か音がした気がしたので、開けてみた。

すると、床に隠し扉があり、地下に行くだろう降りる事ができる階段を見つけた。

ドキドキした。


そこから、何かを叩く音がする。


ドキドキした気持ちから一変…

怖くなってきた。

神父様に何かあったのか…!?
そう思って…ゆっくり降りて行った。



すると…

そこは少し広い空間になっていて…


ハンマーを振り上げている神父様と目が合った。

ビックリして悲鳴を上げた俺に神父様も驚いて、お互い悲鳴を上げてその場へひっくり返った。

しばらく混乱して動けなかったが、よく見ると、船があった。


地下のはずだが光は射しており、そこが教会の地下で、地下は海に繋がっている事をしばらくしてから理解した。

神父様の方は見られてしまったと座り込んだまま大笑いし、笑いが止まらない様子だった。


とりあえず、持ってきた食事を一緒に食べながら話を聞いた。

神父様は「内緒だよ。」

と言いながら教えてくれた。


神父様の夢は外の世界を見に行く事。
それは仲間との長年計画してきていた事。
今造ってるのはその出発の為の船だという事。

この教会に来たのは、大きな部屋があったから。
そして、そこが海に面していたから。



神父様は仮の姿…?


自分は子どもで、話の半分も理解できていなかったかもしれない。
しかし、夢を語る神父様はカッコ良かった。

今日はたまたま集中しすぎて時間を忘れてた時に俺が来た。
しかも、他の人だと食事は置いておいてくれるのに、俺がここまで入ってきてしまった事。

大笑いしながら話してくれた。


俺はいつもと違う神父様の雰囲気にドキドキワクワクしていた。


『この事は誰にも言わない』

そう約束して、家に帰った。

その日はなぜか興奮して眠れなかった。



そして、俺が食事を運ぶ時は無理を言って船を見せてもらっていた。


少しずつ出来上がる船にワクワクしていた。

そして…2年…3年たった頃だろうか。

船の完成が近づいていた。

そして、その時は来た。



暑い日だった。


いつも通り食事を届けると、神父様がいない。

あれ?と思い、地下へ。


また船造りに集中してるのかな?

暑いから倒れてないといいけど…。


そう思いながら向かった。


しかし、予想は完全に外れ…

…膝から崩れ落ちた。



船が…ない。



「は?」

状況を理解するまで時間がかかった。

目の前のに見える現実は…神父様が旅立ったという事…?

そして、俺は勝手に、

“一緒に連れてってくれる”

と思っていた(爆笑)


あの日から、神父様の夢を沢山聞いたよ?
俺も異国のものに興味があるという事も言ったよ?

沢山、沢山、話してきたのにっっっ!!!!!!

えーーーーーーーー!??
まさかの置いていかれた!?
しかも、挨拶なし!???
嘘だろ!?
しかも神父の仕事は!???
ってか、そもそもどこへ行ったんだ!???(行き先は聞いてない)
仲間もいるって言ってたもんな!!
え!?仲間って誰!???

そんな考えを巡らせていたが、思い出すのは夢を語る時に楽しそうに笑う神父様の笑顔だった。


笑顔を思い出して、俺も笑えてきた。

そして、泣けてきた。

笑いながら…泣きながら…、俺は決意した。


「よし。俺も世界を見に行こう。」

それから俺は勉強をし、仕事で遠くに行く事ができる翻訳の仕事を始めた。


いつか会いたいと思った神父様と会えるかもという願いを込めて。

~~~~~~~~~~~~~~~


実は、神父様が旅立ったあの日のあの部屋…。

あの部屋の壁に、

『夢は自分で見て、自分で掴む方が面白い!!』

という文字が書かれていた。

その頃の俺は字が読めずに気付きもしなかった。

それを知ったのはその世界を生ききった後であった。


~~~~~~~~~~~~~~~

その前世では、神父様と出会う事は無かった。


しかし、今世…。

その神父様と出会う事ができた。


紅茶とケーキがとても美味しいお店のオーナーである。

オーナーは占いもする。

その中で私も今回の前世が見えてきたので、この話をお伝えした。

今ではお店の後にオーナーと友達とで食事をする仲になっている。

やはり、前世からのご縁はすごいと思う。

そして…やっぱり…、また…オーナーは海外に行ってしまう(笑)
先日、その計画を立ててると聞いた。

行くときは事前に、
“いつ行くのか。”
“どこへ行くのか。”
“連絡先”
を教えて欲しいと伝えている。

「急にいなくなるはトラウマになる!」と笑いながら話した。


そして…生まれ変わっても、基盤の気質は変わらないのだな…と思う。


「夢は自分で見て、自分で掴む方が面白い」


本当にそうだなと改めて思う。


自分が見た夢を、どうやって掴むのか。

考えていこうと思う。



(ただ…最後に一言だけ言いたい。
前世の私よ…、翻訳の仕事をしていたのに、なぜ今世こんなに「英語を話せるようになりたい」と願うが全くできないのだろう…
その理由を教えてくれ…(笑))


(笑)






さぁ。


夢を掴みにいこう。

この手で。








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