【ノンフィクション】秀吉公再び
下記の続編?になります
美咲は、不思議な体験から数日が過ぎても、心の中に残る違和感と期待感を拭いきれずにいた。
数日前、弘法大師ゆかりの奥の院に来た。
そこで瞑想してスッキリした気分になった。
ふと気になりスマホでその場を撮影して、奥の院を後にした。
帰宅して、撮影した写真を眺めていたら、何か影があった。
拡大して画像処理をしたら、そこに浮かび上がった「秀吉公の顔」のような影。それが単なる偶然なのか、それとも何か深い意味があるのか、美咲には分からなかった。ただ一つ確かなのは、その影を見つけた瞬間、胸の奥から湧き上がった奇妙な温かさと安心感だった。
「きっと何か意味がある……」

そう思った美咲は、奥の院での体験を親友である私に語ることにした。
「これ、見て!」
美咲はスマホの画面を私に見せた。そこには、奥の院で撮影した写真が拡大され、明るさが調整された画像が表示されていた。
「これ……人の顔に見えない?」
私は画面をじっと見つめる。確かに、影の中に浮かび上がる輪郭は、人の顔のように見える。しかも、どこかで見たことがあるような親しみを感じる顔だった。
「……これって、秀吉公?」
私がそう口にすると、美咲は静かに頷いた。
「そう思うの。あの日、奥の院で瞑想していたとき、なんだか不思議な気持ちになったのよ。すごく静かで、でも誰かに見守られているような感覚があったの。帰ってから写真を見たら……これだもの。」

美咲の話を聞きながら、私は背筋がゾクッとするのを感じた。秀吉公の名を私たちが話題にするようになってから、不思議な出来事が次々と起こっている。もしかすると、本当に秀吉公が私たちに何かを伝えようとしているのかもしれない。
美咲は、最近の自分の願いが「関わる人を幸せにすること」だと言った。
「私ね、出世したいとか成功したいとか、そういうのももちろんあるけど……最終的には、私が出会った人みんなが笑顔でいられるようにしたいって思うの。」
その言葉を聞いて、私は思わず笑顔になった。美咲らしい願いだと思ったし、その純粋な気持ちが、きっと何かを引き寄せているのだろうと感じた。
「でも、秀吉公が現れた理由が気になるのよね。私たちに何か伝えたいことがあるのかも……」
美咲はそう言って、ふと遠くを見るような目をした。
その夜、私の身にも再び不思議な出来事が起こった。
眠りにつこうと布団に入った瞬間、前回と同じような激しい耳鳴りが始まったのだ。
「また……!」
耳鳴りは雷のように轟き、私の頭の中を揺るがした。しかし、前回とは違い、今回は耳鳴りの中にかすかな声のようなものが聞こえた。
「……未来を……築け……」
その声は、確かに人の声だった。低く、どこか威厳のある声。
「秀吉公……?」
私は恐る恐る問いかけた。しかし、声はそれ以上続くことなく、耳鳴りもやがて静かに消えていった。
胸が高鳴り、私はすぐにノートを取り出して「未来を築け」という言葉を書き留めた。
翌朝、私は美咲にこの出来事を話した。
「未来を築け……か。なんだか深い言葉ね。きっと、秀吉公が私たちに何かを託そうとしているんだと思う。」
美咲は真剣な表情で私の話を聞いていた。そして、しばらくの沈黙の後、彼女は静かに口を開いた。
「未来を築く……それって、私が願っていることと繋がっている気がする。私が出世したいのも、みんなを幸せにしたいからだし。きっと、私たちが自分の力でそれを実現しろってことなんじゃない?」
「自分の力で……」
美咲の言葉に、私はハッとした。秀吉公が築いた豊臣政権も、彼が自らの努力と才覚で成し遂げたものだ。
私たちも、ただ願うだけでなく、自分の力で行動を起こさなければならないのではないか。
それからというもの、美咲と私は「未来を築く」という言葉を胸に、それぞれの目標に向かって努力することを誓った。
美咲は、自分の願いをより具体的にするため、キャリアアップのための勉強を始めた。そして、周囲の人々との関わりを大切にし、日々「人を幸せにする」行動を心がけるようになった。
一方の私は、歴史を学ぶだけでなく、それを今の時代にどう活かせるかを考え始めた。豊臣秀吉の生き様を参考にしながら、自分の人生の指針を形にしていくことを目標にした。
私たちは、秀吉公からのメッセージを信じ、行動を起こし始めた。
きっと、未来には何か素晴らしいことが待っている。そう信じながら、私たちは新たな道を歩み始めたのだった。
秀吉公が再び姿を現すがあるのか?
私たちの心の中には、不思議な出来事と「未来を築け」という言葉が、いつまでも輝き続けている。