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漢方からみた梅雨の養生②むくみ対策の薬膳

前回は漢方の観点から、梅雨が身体に及ぼす影響についてお話をしました。

梅雨のお悩み、むくみ

漢方では、梅雨は「脾」の季節です。消化をつかさどる「脾」は、湿度に弱いため、「湿」が体内に入り込んでもうまく排出できずに、体内に水が溜まり滞ってしまいます。
これが、漢方で考えられるいわゆる「むくみ」といわれる症状です。
手足や顔などに明らかなむくみが出ていないとしても、のどは渇くのにお腹がチャポチャポする、よだれが出やすい、といった方は、水分代謝がうまく出来ずに体内で滞っている可能性があります。

食材を工夫して上手に水分代謝の促進を

前回のコラムでもお伝えしたように、梅雨は消化機能をつかさどる「脾」を補う食材を召し上がっていただきたいのですが、むくみの気になる方はさらに、余分な水分を排出する作用のある食材も積極的に摂られることをおすすめします。

おすすめの食材は、

豆類(緑豆小豆黒豆)
穀類(ハトムギ
とうもろこし)
貝類(はまぐり
あさりしじみ)
瓜系野菜(きゅうり
冬瓜なすスイカ)
アスパラガス
セロリ
かぼちゃの種

などです。
豆類は全体に「脾」を補い、身体の水はけを良くしてくれますが、その中でも特におすすめは緑豆です。

緑豆は水分代謝および解毒作用に優れています。
日本ではあまり馴染みのない豆かもしれませんが、薬膳ではよく用いられます。お粥に入れたり、スープに加えたりして食べますが、他の豆と同様に茹でて、サラダやマリネにするのもおすすめです。
中国食材店や、豆を沢山扱う乾物店などで購入できます。

瓜系野菜は全般に水分代謝をたすけますが、その中でも冬瓜が特に利水作用に優れています。ただし、冷やす作用もありますので、スープや煮物などで召し上がるのがおすすめです。
また、お茶では、はとむぎがむくみに良いのですが、さらにおすすめなのがとうもろこしのひげ茶です。とうもろこしのひげは「南蛮毛」という漢方の食薬でもあります。香ばしくて飲みやすいので、むくみの気になる方は召し上がってみてはいかがでしょうか。

冷えはむくみのもと!

これから気温が上がり、冷房のきいた室内で過ごす時間も増えるかと思います。身体が冷えることで体内の巡りが低下しますので、おのずと水の巡りも悪くなり、むくみやすくなります。また、暑くなると冷たいドリンクが欲しくなりますが、これもまた胃腸の冷えが消化不良そして水の滞りの原因となります。
この時期から夏にかけての、冷房や冷たい飲食物による「隠れ冷え」には十分ご注意いただき、調節のできる服装や、できるだけ常温以上のドリンクを召し上がるよう心掛けてください。

この記事を書いてくれた人:古橋 智子(漢方・薬膳・保存食講師)
漢方上級スタイリスト、養生薬膳アドバイザー、中国茶アドバイザー、かんぶつマエストロ。薬日本堂漢方スクール、長谷園 東京店 igamonoなどで講座を担当。20代より保存食作りに親しみ、数々のレシピを考案。素材の旬だけでなく、一人ひとりの体質や体調に合った保存食を提案したいという思いから漢方、薬膳を学ぶ。

インスタグラム
https://www.instagram.com/yakuzen_everyday/


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