春の体調ケアは「春の食材」で
日が長くなり、日中の気温も上がってようやく冬の寒さから脱しつつありますが、春ならではの悩ましい問題もありますね。草木が芽吹き、風の吹く春は、目や鼻のムズムズを引き起こしやすくなります。
今回は、この時期のお悩みと漢方・薬膳の関係についてお話ししたいと思います。
春は「肝」の季節
漢方の考え方のベースに「五行説」というものがあります。
私たちを取り巻くあらゆるものが「木」「火」「土」「金」「水」の五要素に振り分けられる、という考え方ですが、季節や、人間の身体の生理機能もまたこの五行で振り分けられます。
このうち、春は「肝」の季節となります。といっても内臓としての肝臓ではなく、血を貯えて巡らせる生理機能を指します。
気温が上がると、体内の熱も上の方に昇っていくため、上半身、特に頭部に熱がこもりやすくなります。さらに血流も滞りやすくなるため、目の充血や、鼻づまり、のどの腫れや痰など、いわゆる春の不快症状が起こりやすくなります。
日常のお食事から「肝」のケアを
季節による身体への影響は避けることができないので、春先のトラブルをやわらげるには私たち自身でケアをする必要があります。日常的に出来ることはやはりお食事面からのケア、つまり薬膳です。
漢方・薬膳の考えでは、苦みのある食材は余分な熱をとるとされています。
ふきのとうやたらの芽、うどなど、春に美味しい山菜類は、まさに今の時期にいただく最適の食材です。
その他、菊の花も頭の上の熱をとり、目の充血などにも良い作用がある食材で、中国ではお茶として飲まれています。中国茶の専門店でも手に入りますので、同じく熱をとる作用のある緑茶とブレンドするのもおすすめです。
その他にも熱をとる作用のある食材を以下にご紹介しますので、お食事に取り入れてみてください。
ただし、余分な熱をとるということは、食べ過ぎると冷えの原因ともなりますので、胃腸の虚弱な方や冷え性の方は、スープや煮物など、加熱して調理するようにしましょう。
余分な熱をとる食材
セロリ
目の充血、かすみ、めまい、頭痛、イライラ、口の渇き
アスパラガス
食欲不振、口の渇き、膀胱炎
たけのこ
むくみ、便秘、イライラ、糖尿病対策
春菊
食欲不振、胃もたれ、嘔吐、不眠
貝類
のぼせ、喉の渇き、耳鳴り
菊花
喉の痛み、腫れ、目の充血、めまい、頭痛、吹き出物
トマト
口の渇き、消化不良、食欲不振、暑気あたり
アレルギー体質の方は肺のケアも
漢方では、鼻や皮膚、呼吸器系などのアレルギー症状と関係のある部分は、五臓の「肺」と密接な関わりがあると考えられています。
慢性的なお悩みのある方は、専門外来の受診とあわせて、お食事で「肺」のケアもされてみてください。
肺を補う食材
れんこん
空咳、皮膚の乾燥、止血作用
大根
消化不良、咳、痰
蜂蜜
不眠、喉の乾燥
果物類(柿、梨、りんごなど)
便秘、空咳、喉の乾燥
この記事を書いてくれた人:古橋 智子(漢方・薬膳・保存食講師)
漢方上級スタイリスト、養生薬膳アドバイザー、中国茶アドバイザー、かんぶつマエストロ。薬日本堂漢方スクール、長谷園 東京店 igamonoなどで講座を担当。20代より保存食作りに親しみ、数々のレシピを考案。素材の旬だけでなく、一人ひとりの体質や体調に合った保存食を提案したいという思いから漢方、薬膳を学ぶ。
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