髪と漢方の関係①「髪のエイジングケア」
こんにちは、古橋智子です。
今回はヘアサロンならではのテーマ、「髪と漢方」についてお話ししたいと思います。
そもそも漢方というものは、古代中国の哲学「陰陽五行論」をわたしたち人間の身体に当てはめた生理学的なアプローチのことです。
皆様も一度はご覧になったことがあるかもしれない、「陰陽図」と「五行図」がこちらです。
この「陰陽」や「五行」はとても抽象的ながら漢方の核をなすもので、非常に奥の深い考え方なのですが少々難しいお話になるので、またの機会に譲ることとして、今回のテーマである「髪」が、五行の中の「腎」と密接に関わっているということだけ、まず心に留めていただければと思います。
生命力をつかさどる「腎」を補ってエイジングケア
この「腎」は、水分代謝や、人間の生命力(発育や精力、生殖など)をつかさどる機能で、エイジングとも深い関わりがあります。
加齢を感じる身体的な現象として、何を思い浮かべられるでしょうか?
耳が遠くなる、耳鳴りがする、足腰が弱くなる、トイレが近くなる、など……そして、白髪や薄毛。
実はこれらのこと全て、漢方では「腎」が関わっていることなのです。
年齢を重ねるにつれて生命力をつかさどる腎の「気」が弱まり、耳、下半身、髪の機能が低下していくため、いわゆる「老化現象」ととらえられるようなことが起こります。
残念ながら年齢を重ねていくことを止めることはできませんが、日ごろから腎を補っておくことによりエイジングケアは可能です。
とはいっても、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
もちろん、腎を補う漢方薬もありますし、鍼灸治療などもあります。
しかし、最も日常的に、すぐにできること、それはやはりお食事面からのアプローチです。
その時どきの体質、体調、そして季節や環境の変化によって、その人の身体がどのような状態にあるか考察し、適した食材を用いたお食事をする、これが薬膳です。
したがって、その時に自分に必要な食材が何かを知っていると、暮らしの中に気軽に漢方・薬膳の知恵を取り入れることができるのです。
それでは、薬膳の観点から、腎を補う=髪のエイジングケアにもおすすめの食材をご紹介しましょう。
腎を補う食材は「黒いもの」
五行図の色を見ていただくと、腎の箇所の色は黒であることがわかります。
漢方の考え方に「五味五色」というものがあり、食べ物の色と効能には深い関わりがあるとされています。
すなわち、腎のケアには黒いものを食べると良いということになります。
例えば、黒ごま、黒豆、黒きくらげ、黒米など。
それから「五味」つまり味覚の観点では、腎には「鹹味(かんみ)」という、しおからい味が良いとされていますが、これは塩を沢山使うということではなく、海産物の塩気のような、自然に感じる塩味ということになります。
具体的には、海老、蟹、シジミをはじめとする貝類、昆布をはじめとする海藻類などです。
その他に腎を補う食材として、山芋、きのこ類などがおすすめです。
これらの食材を上手く組み合わせて、ぜひエイジングケア、ひいては髪のケアをお食事面から始めてみられてはいかがでしょうか?
次の機会に、また別の角度からみた髪と漢方の関係についてお話ししたいと思います。
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この記事を書いてくれた人:古橋 智子(漢方・薬膳・保存食講師)
漢方上級スタイリスト、養生薬膳アドバイザー、中国茶アドバイザー、かんぶつマエストロ。薬日本堂漢方スクール、長谷園 東京店 igamonoなどで講座を担当。20代より保存食作りに親しみ、数々のレシピを考案。素材の旬だけでなく、一人ひとりの体質や体調に合った保存食を提案したいという思いから漢方、薬膳を学ぶ。
インスタグラム
https://www.instagram.com/yakuzen_everyday/
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