【女子の人間関係】趣味サークルで新参者が受けた、嫌がらせの中身
こんにちは。
フォレスト出版の森上です。
職場やママ友、学校、ご近所さん、趣味サークルなど、あらゆるコミュニティで、人間関係のめんどくささがあるものです。特に女性が多く集まるコミュニティは、そのようなめんどくさい人間関係が起こりがちのようです。
そのキーマンとなるのが、「女子ボス」です。
「自分を脅かす存在だ」と思ったら、“子分”とともに、嫉妬、陰口、マウンティング、無理難題の押し付け、集団無視……といった、嫌がらせ攻撃を仕掛けてきます。いわゆる「女子ボス」ハラスメントで悩む人は、とても多くいます。
女性の人間関係に詳しく、多くの相談やアドバイスをしてきた産業カウンセラー・川村佳子さんの新刊『「女子ボス」のトリセツ』でも、今まで相談に来られた実際の「女子ボス」ハラスメントの事例を多く紹介しています。今回は、ある「趣味サークル」で新参者が受けたハラスメント事例を一部編集して公開します。
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乗馬クラブのかわず姫
相談者のめぐみさんは、転勤を機に、小さな町の乗馬クラブに入会しました。馬が大好きなめぐみさんは、海外での乗馬経験もあり、新しいクラブへ通うことを楽しみにしていました。しかし、最近落ち込みやすく、眠れないという理由で相談室を訪れました。
乗馬クラブの初日のことです。男性職員からの説明を受け、さっそく厩舎へ案内されました。そして、厩舎の清掃がひととおり終了した後のことでした。
1人の女性が、めぐみさんに近づいてきました。
「あなた、今日が初めて? 馬に簡単に乗れると思わないでね」
こんな忠告を受けためぐみさんは、あまりに突然のことに頭が真っ白になり、初対面のその女性のキツイ物言いが気になっていました。
その女性はその後、1時間単位で、隙を見てはめぐみさんに接触し、忠告を続けました。馬の餌が保管されている誰もいない倉庫に行くと、追いかけてきて、
「そのウェア、身体にぴったりすぎるから今度からやめてね。男性の先生の気を引きたいとか?」
と文句を言い、ロッカールームでは、
「そのウェア、英国ブランド? なんでそんな高いウェアを買うことができるの?」
と質問が飛んできます。
帰り際には、大勢の前で、
「あなた何歳? どこに住んでいるの? 乗馬歴何年? 結婚しているの?」
とものすごい勢いで質問責めに遭いました。
めぐみさんは、プライベートなことに突然踏み込まれ、とても嫌な思いをしながらも怖くなり、聞かれたことにはすべて正直に答えました。
そうすると、その女性は満足そうな顔をし、
「あなた、私より年下だし、乗馬歴も短いのだから、今日からここのルールに従ってね。結婚していないのなら、誰よりも早く来て厩舎掃除してね。あと、練習しても簡単にできるようになると思わないでね。できるようになるまでは何年もかかるから覚悟して」
そう言い放たれたのでした。
初対面での突然の威圧的な態度、そして、個の侵害とも言える個人情報の暴露に、めぐみさんは身体が固まってしまいました。周囲の視線は、我関せずの非常に冷たいものだったと言います。
後々わかったことですが、その女性は40代後半でジュニアの頃からその乗馬クラブにいる、言わば一番「古株」の女性でした。
独自のローカルルールを設けて取り仕切り、古株をいいことに、新人には特に横柄な態度を取っていました。
その乗馬クラブに通っている女性メンバーの多くは、一番の古株であるボス的存在の女性に、全員従っていました。いつ攻撃のターゲットにされるかとビクビクし、長いものには巻かれるといった具合でした。また、新しいメンバーを優しく迎え入れるわけでもないその態度は、これまでにも多くの新メンバーを退会に追い込んでいました。
めぐみさんは、3カ月後に泣く泣く乗馬クラブを退会しました。
古株の嫉妬深い女子ボス、そのボスに誰一人として逆らうことのできない女性たち。そして、これまで新メンバーが続々と辞めていっているにもかかわらず、問題を放置し続けている経営陣――。
新メンバーという新しい風が吹くことによるパワーバランスに敏感な女子ボスの心理と、ハラスメントが生まれやすい組織構造の実態がよくわかる事例です。
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いかがですか?
自分の好きな趣味をおもいっきり楽しみたい、上達したいと思って入ったものの、たまたま存在した「女子ボス」のせいで、肝心の趣味よりも人間関係に神経を使い、振り回されるなんて、とんでもないことですよね。
女子が3人以上集まると発生するといわれている「女子ボス」。そんな女子ボスハラスメントからどのように自分の身を守ればいいのか?
「ハラスメントの駆け込み寺」として人間関係に悩む、多くの女性の心を救ってきた産業カウンセラーの川村佳子さんが、数多くの事例を交えながら「女子の人間関係」のキーパーソン「女子ボス」の生態と対処法をわかりやすく解説した新刊『「女子ボス」のトリセツ』は、全国主要書店やネット書店で発売中です。興味のある方はチェックしてみてくださいね。
〈著者プロフィール〉
川村佳子(かわむら・けいこ)
産業カウンセラー。北海道生まれ。一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定「産業カウンセラー」。日本人間性心理学会所属。上智大学グリーフケア研究所所属。防衛省、国土交通省、財務省をはじめ、国立機関や一般企業にて産業カウンセラーとして臨床経験を積み、現在航空自衛隊外部カウンセラー。幼少期に母が他界。亡母が闘病中に書き記していた日記を見つけ、職場での人間関係の悩みやストレスを驚くほど抱えていたことを知る。さらに、日本で初めてカウンセラー制度を導入した機関にて母が勤めていたことをきっかけに、職場のストレスや人間関係の悩みを抱えている方たちの力になりたいと強く思い、産業カウンセラーを志す。また、死別の苦しみや痛みをケアする「グリーフケア」の普及啓発にも積極的に取り組む。心理臨床オフィス「サクラメント函館東京カウンセリングオフィス」代表。著書に『嫉妬のお作法』(フォレスト出版)がある。
本記事のヘッダーイラスト:くにともゆかりhttps://hoshiimoppp.tumblr.com/
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