日本の人口減少問題は、私たちの暮らしにどんな影響があるの?
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
岸田文雄首相は、先日の1月4日の年頭記者会見で「異次元の少子化対策」という言葉を使って、2023年の重要政策に少子化対策を盛り込むことを明らかにしたのはご承知のとおりです。
少子化対策を進めていくこと自体は、子育て世代の私たちにとってありがたい限りなのですが、そもそも人口減少は、何が問題なのでしょう?
「そんなの、わかっているけど。何を今さら……」
と思った方に質問です。
私たちの暮らしにどんな影響を与えており、今後どのような影響を与えていくのか? そして、どれくらいの人口が日本にとって理想的なのか?
それを具体的なデータ的な根拠をもって説明できますか? メディアでいわれていることをなんとなくそのまま受け取って、わかっているふりをしていませんか?
グローバル社会にある現代社会においては、日本国内のみならず、世界の人口も無視することはできません。国内と世界全体の両面から見ていく必要があります。
これを機会に、「日本と世界の人口問題」について、もう一度整理してみませんか? 見解もさまざま。別の視点から見てみると、新たな気づきも出てくるのが興味深いところです。
1月24日(Amazonでは1月21日)に発売予定の新刊『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』では、この【人口問題】について、国や各世界機関が発表している公式データを基にしながら、経済アナリスト馬渕磨理子さんとマーケティングアナリスト渡辺広明さんがそれぞれの立場からわかりやすく解説しています。
今回は、同書の発売に先立ち、【人口問題】に関する該当箇所を、このnote限定で全文公開します。
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【TOPIC 1】日本の人口が減少、世界の人口は増加
☑日本の人口は長期の減少過程に突入。2053年には1億人を下回る!
☑世界の人口は2022年11月現在で約80億人。2058年には100億人を突破!
視野を広げれば、マーケットは拡大中
渡辺 日本経済の未来について考えるならば、最初に取り上げるべき問題は人口です。
馬渕 避けては通れない問題ですね。
渡辺 人口が減り続ければ当然ながら労働者も減ってしまうわけで、ゆくゆくは消費も落ちていく。経済的には絶対にシュリンク(縮小)しちゃうんですよ。
馬渕 しかし、世界人口は増え続けています。
渡辺 そう、そこなんです。日本だけを見るとネガティブな未来を想像しがちですが、視野を広げて世界に目を向ければ、人口は増え続けているんです。約30年前は50億人くらいだったのに、2022年には80億人に届き、さらに近い将来には100億人ですよ? つまり、世界のマーケットは拡大し続けているわけです。そこに活路があるんじゃないかと。これまで以上に世界に向けて、日本の「ものづくり/製造業」(第3章)と「観光」(111ページ)で勝負できる環境を目指したい。馬渕さんの観点からは何が必要だと思いますか?
馬渕 金融業界のテーマは「金融立国」(106ページ)ですね。人口減少によって農業や工業といった産業が縮小するなか、やはり「金融で稼げる国」として存在感を持たないといけない。
海外の国が日本に来て起業するとか、海外の国が日本に投資するとか。外資の参入を嫌う人もいるかもしれませんが、そこを受け入れつつ、人口減少という問題を金融でサポートする必要があると思います。あとは、短期間で急激な成長が期待できる「スタートアップ企業」(170ページ)の支援です。
渡辺 問題は山積みだけど、悲観してほしくはないんですよね。向こう30年は「まだ1億人いる」わけですから。1億人って、決して無視できる規模ではない。
馬渕 依然として注目すべきマーケットの一つであることは事実ですよね、日本という国は。
「新生産年齢人口」実態に即した数字で考えよう
渡辺 あと、人口で触れておきたいのは「新生産年齢人口」です。
馬渕 “新”生産年齢人口ですか?
渡辺 生産年齢人口は「15~64歳の人口」で、いわゆる労働力の中心となる年齢層です。でも、これってOECDが決めた定義なんですよ。日本もこの指標を採用していますが、今の時代にそぐわないと思いませんか?
馬渕 たしかに、15歳から働き始める人は少数ですよね。
渡辺 日本の高等学校等への進学率は95%を超えています。加えて、人生100年時代と言われる昨今、定年後に働く人も増えています。そこで、生産年齢人口の年齢層を5歳スライドさせた「20~69歳」で見てみると……。
馬渕 なるほど、生産年齢人口が7406万人だったのに対し、新生産年齢人口は7608万人200万人ほど増えましたね。
渡辺 もちろん、新生産年齢人口で見ると労働力が増えるから安心!…なんて話ではありません。将来的にはこの数字も縮小していくことに変わりありませんからね。ただ、いまなお政府やメディアで使用されることが多い「生産年齢人口」という指標は、実態に即した数字ではないんだよ、という話。こうした事実も理解しておいてほしいなと思います。
【POINT】
◎国内需要だけでなく、人口増で拡大を続ける世界マーケットを狙え。
◎日本が注力すべきは「金融業」「観光業」「スタートアップ支援」「製造業」。
◎生産年齢人口から5 歳後ろにズラして“新”生産年齢人口にも注目。
【著者プロフィール】
馬渕磨理子(経済アナリスト)
渡辺広明(マーケティングアナリスト)
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いかがでしたか?
今回ご紹介した『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』では、今回ご紹介した【人口問題】をはじめ、私たち消費者が知っておきたい経済関連のテーマ、計45本のTOPICを取り上げて、オールカラーの図版データを交えながらわかりやすく解説しています。
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