【休肝日不要!?】肝臓に優しい、お酒の飲み方10カ条
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
「休肝日不要!」
ほぼ毎日お酒を飲むような酒好きにとっては、夢のような言葉ではないでしょうか?(私も健康診断前日とインフルエンザ予防接種日の夜以外は、ほぼ毎日飲んでます)
そんな夢のような言葉を肯定する医者がいるんです。
しかも専門は、ずばり肝臓(!)
その医者の名は……、
栗原クリニック東京・日本橋院長にして、肝臓の専門医として日本の第一人者として知られる栗原毅先生です。
さらに驚いたのは、栗原先生ご自身が無類のお酒好き。
となれば、編集者の端くれとして、このテーマを書籍の企画立案しない理由は1つも見当たりません。
そこで、栗原先生自らが実践し、患者さんにも推奨している肝臓に負担のかからない飲み方をまとめた1冊が『酒好き肝臓専門医が教える カラダにいい飲み方』です。
7月上旬発売予定なので、刊行前なのですが、同書の序章に収録している「肝臓に優しく、お酒を楽しむための10カ条」を公式note限定で公開します。
飲み過ぎと肝臓の関係
肝臓は、栄養素の代謝や体内に入り込んだ有毒物質の解毒、胆汁の生成など生命維持にかかわる重要な仕事を多く担っています。お酒に含まれるアルコールを分解するのは、解毒作業の一環です。
「飲み過ぎで体をこわす」とよくいいますが、それは単にアルコールが肝臓を傷めるわけではありません。むしろ、お酒が原因のアルコール性肝炎や肝臓がんは、きわめて少数派で、よっぽどガブ飲みしない限り心配ないのです。
では、なぜ飲み過ぎがよくないか?
それは、アルコールを急激に摂取することで肝臓の解毒仕事が増えて、他の作業が健全に行なわれなくなるからです。
私が考える「肝臓に優しく、お酒を楽しむための10カ条」は、アルコールの吸収を緩やかにし、肝臓に急激な負担を与えないことを念頭に置いています。
第1条 居酒屋に行く前に何かを食べる
居酒屋の席に着くなり、「まず、生ね!」とオーダー。お通しに箸をつけるより前に、グーッとビールをあおり、「う~ん、うまい! 胃にしみるな~!」。
……コレ、とってもよくあるシーンですよね。実は、この「胃にしみるな~!」がよくないのです。
空きっ腹にビールを流し込むと、炭酸が胃の動きを促して、ビールが一気に小腸に送られます。そこで、「待ってました」とばかりに小腸がアルコールを吸収。瞬く間に血中アルコール濃度が急上昇します。
ベストなのは、居酒屋に行く前にコンビニに寄って何かを食べておくことです。胃や腸に食物が入っていると、アルコールの吸収がゆっくりになり、肝臓への急激な負担を避けることができます。
それができないなら、少なくともビールをあおる前に、お通しをひと口食べるようにしてください。
第2条 ストロング缶と居酒屋のチューハイは厳禁
「安くて酔える!」と大ヒットしているのが、ストロング系缶チューハイです。
アルコール度数9%の500ml缶が130円! アルコール度数はビールの2倍、値段は半分以下となれば、売れて当然ですね。最近は12%というスーパーストロングな商品も発売になって、競争に拍車がかかっています。
いやはや、恐ろしいことです。
ストロング缶の原材料を見ると、「ウオッカ」となっています。実は、コレが曲者です。極限までコストを削ってつくった超激安アルコール。その答えが「ウオッカ」なのです。とても良質とはいえません。
しかも、ストロング缶には、さまざまな果汁フレーバーが添加されています。果汁に含まれる果糖や甘みの原料であるコーンシロップは、肝臓を直撃する超悪玉糖質です。アルコールと一緒に摂取することは厳禁です!
え? 「糖質ゼロ」と書いてあるって? よく見てください。「糖類ゼロ」です。肝臓に負担をかける糖質はたっぷりです。
激安アルコールと果糖の組み合わせは、居酒屋のチューハイも同じです。近づかないでください!
第3条 ビールは、ジョッキよりも瓶
生ビールを一気に飲む爽快感は、特別なものですよね。特に仕事帰りの生ビールは、リラックス効果バツグンです。「コレがなければ、仕事をする意味がない!」という人も多いことでしょう。
しかし、大量のビールが空っぽの胃腸に流れ込むと、アルコールがすばやく吸収され、肝臓の負担が一気に増えてしまいます。
そこでおすすめしたいのが、瓶ビールです。
小さなコップに注ぎながら飲めば、胃腸に入るビールは少量ずつで済みます。特に胃腸に食べ物があまり入っていない状態では、〝ゆっくり効果〟が大切です。
瓶ビールを手酌でチビチビ。コレが肝臓を守る極意です。
家でビールを飲むときの離れ業も紹介しましょう。
ノンアルコールのオールフリーでビールを割る! これなら350ml分のアルコールで、違和感なく700ml楽しめます。最近のノンアルコールはおいしいですよ。試してみてください。
第4条 「とりあえず」は、ポテサラよりトリカラ
居酒屋で最初にオーダーする「とりあえず」。みなさんは、何を注文しますか?
定番のひとつが、ポテトサラダですね。「サラダ」といえば健康的なイメージがありますが、ジャガイモに含まれるでんぷんは糖質たっぷりです。空きっ腹にアルコールでポテトを流し込めば、無防備な肝臓に先制のワンツーパンチを浴びせているようなものです。サラダを頼むなら、トマトかチキンを選んでください。
「とりあえず」におすすめなのは、たんぱく質と食物繊維です。枝豆、冷奴、卵焼き、野菜スティック、きんぴらゴボウ、焼き魚などは優等生です。
油類も胃に留まって吸収を遅くすることが知られています。鶏の唐揚げ(トリカラ)、カルパッチョなど、たんぱく質+脂質も積極的に摂ってください。
私の知り合いに、「とりあえず、おにぎりね」と、最初からご飯を必ず注文する人がいますが、これは言語道断です。どうしてもご飯や麺類が食べたかったら、最後に少量摂るのがセオリーです。
第5条 ビールでつまみを流し込んじゃダメ
私が常々、提唱している健康法は「よく噛む」ことです。よく噛むことによってだ液がたくさん出て、口の中を清潔に保つことができます。また、ゆっくりと食べることにつながり、血糖値の急上昇、肝臓への負担を抑えます。もちろん、アルコールの吸収も遅くできます。
せっかく、たんぱく質や食物繊維の優良つまみをオーダーしても、よく噛まずにビールで流し込むような食べ方では効果半減です。「食べる」と「飲む」をしっかりと分けることを心がけてください。
そのためには、一度、食べ物を口に入れたら、箸とビールを置くことです。そして、30回を目標によく噛んでください。落ち着いて飲み仲間との会話を楽しむ、大人飲みが一番です。
第6条 つまみは糖質ちょいオフ。ビタミンBをたっぷり摂る
糖質とアルコールは、肝臓で処理されます。つまり、糖質のつまみを食べるとアルコールを2倍飲んだのと同じ勘定になってしまいます。ご飯、麺類、パン、イモ類は、なるべく少なめにしましょう。
また、アルコールを分解する酵素が働く過程で、ビタミンB類が大量に消費されることがわかっています。消費されたビタミンBをしっかりと補わなければ、アルコール分解に支障をきたします。
ビタミンB1、B2を多く含むのが豚肉です。
肝臓を健康にするたんぱく質、吸収を遅くする脂質も含んでいます。「太る」などといって、豚肉を敬遠する人がいますが、実はお酒を飲む人にとっては強い味方なのです。
豚肉の他には、モロヘイヤ、サバ、カレイ、丸干しイワシ、チーズ、玄米などにビタミンBが含まれています。覚えておきましょう。
第7条 お酒と同量の水を飲む
アルコールには利尿作用があるため、水分が失われます。お酒を飲んだ夜に喉や口が乾くのは、脱水症状を起こしている証拠です。脱水状態は肝機能を低下させます。渇きを感じたら、すみやかに水分を補給してください。
お酒を飲むときには、必ず水を飲むといいでしょう。わかりやすい目安は、お酒と同量です。「日本酒1合を注文したら、水を180ml飲む」という具合です。
ウイスキーなどの強い蒸留酒は、ロックやストレートで飲みたい。そう思っているダンディな人も多いことでしょう。確かに高級なウイスキーを水や炭酸で割るのは無粋ですよね。
水割りにする必要はないので、チェイサーを手元に置くのがおすすめです。チェイサーとは「お酒を追って飲む水」という意味です。渋くチェイサーを傾けるのが、大人の飲み方の極意です。
第8条 シメはラーメンではなく、味噌汁かお茶
はしご酒の後にどうしても食べたくなるのが、ラーメンですね。アルコールの影響で失われた水分と塩分を取り戻すために汁物が欲しくなるのです。
しかし、よく考えてください。ラーメンは、糖質(麺)、塩分、早食いと、お酒と一緒に摂りたくない三大悪玉がそろっています。まさに禁断の食べ物です。
たっぷりとお酒を飲んだ後にラーメンを食べれば、肝臓は徹夜作業に追い込まれます。本来は休んでいるはずの睡眠時にも過酷な仕事を押しつけられる。肝臓にとって、とても酷な話ではありませんか?
シメにおすすめなのが味噌汁です。それも、シジミやアサリの味噌汁がベストです。貝類に含まれるタウリンが、疲れた肝臓を優しくいたわってくれます。
カテキンやビタミンB2を含む日本茶もいいでしょう。宴席の最後に、苦めの日本茶を味わえば、健康的なシメとなります。
第9条 帰宅後の風呂とダメ押しの寝酒は我慢
アルコールを飲むと血管が拡張して血圧が下がります。これがリラックス効果につながると考えられています。
多少のお酒なら問題ありませんが、「ちょっと、飲み過ぎたかな」と感じたときは、お風呂は控えたほうがいいでしょう。湯船に浸かると、さらに血圧が下がり、思わぬ事故につながりかねません。逆にお湯が熱すぎると、急激に血圧が上がるヒートショックを起こします。
飲んだ夜は、シャワーにしておくのが無難です。
また、飲んで帰ってきたのに、ダメ押しで寝酒を飲む人がいます。よく眠れるような気がしますが、睡眠の質は逆に低下します。何より、肝臓の負担が大きくなります。
脱水症状を起こさないように、水かお茶をゆっくりと飲んで、おとなしくベッドに入りましょう。
第10条 純アルコール量は、週単位で管理。休肝日不要
「週に1回は休肝日」という医者もいますが、休肝日の翌日にガブ飲みしたのではまったく意味がありません。
摂取した純アルコール量は、1週間単位で管理するのが合理的と考えられています。純アルコール量の計算の仕方や目安は、第1章で解説しますので参考にしてください。
厚生労働省は、最も健康的な飲み方は「1日の純アルコール量20グラム」と発表しています。20グラムずつアルコールを摂取する人は、まったく飲まない人より死亡率が低い、という信頼できるデータもあります。
私は40グラムまでが許容範囲と考えています。つまり、1日20~40グラム(週に140~280グラム)に抑えれば、休肝日は不要です。
いかがでしたか?
なお、7月上旬発売予定の新刊では、肝臓専門医ならではの観点から導き出した「肝臓に優しく、お酒を楽しむための10カ条」をベースに、
◎肝臓に優しい、「お酒の順番」「つまみの順番」
◎肝臓に負担をかける、「つまみ」要注意リスト
◎つまみ選びで「糖質」とともに注意したい重要キーワード
◎カラダにいい焼酎、悪い焼酎
◎休肝日不要を実現する、純アルコール量の計算方法
◎お酒とフルーツを一緒に摂ってはいけない
◎お酒の糖質やカロリーが気になる人へのアドバイス
◎ウコンやシジミは、本当に二日酔いに効くのか?
◎肝臓の疲れ具合が簡単にわかる方法
◎パフォーマンスのいい肝臓をつくる食事と生活習慣
◎「酔い」と「認知症」との関係
などなど、
【酒&つまみ選び】から【飲む量】【飲む時間帯】【飲食の順番】【肝臓のパフォーマンスを上げる方法】まで、
誰でもすぐに実践できる、肝臓に負担をかけない、健康的なお酒の飲み方を解説していただきました。気になる人はチェックしてみてください。
「肝臓にいい焼酎、悪い焼酎」について書いた記事は、こちら。