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「ビジネス書」編集者の愛読書。

こんにちは、フォレスト出版編集部の杉浦です。

ブックカバーチャレンジ、流行っていますね。一人7冊、なかなかの冊数なので、Facebookのタイムラインが本の画像で埋め尽くされている感があります。実は私、やたらコミックエッセイを読んでいる時期がありました。それを知っている社員から「ビジネス書編集者なのにコミックエッセイばっかり読んでるっておもしろいぞ」と言われたので、誰からも回ってきていませんが、コミックエッセイ縛りで勝手にブックカバーチャレンジしてみたいと思います。

ブックカバーチャレンジのルールは、

◎好きな本を1日1冊、7日間投稿する
◎本についての説明はなし。表紙画像だけアップ
◎FB友達を招待して、チャレンジへの参加をお願いする

なのですが、今回は「勝手に」なのと、気になった本はぜひ「追求」(企画を練る際などに弊社でよく使われる単語)していただきたいので、

◎表紙画像ではなくAmazonのリンクを貼り付ける
◎しっかり説明する
◎一気に7冊紹介する

というオリジナルルールを適用します。

ちなみに、「表紙」というのは、正確にはカバーを外したときに出てくる本文用紙をくるむ厚紙のことで、いわゆる書影がここでいう表紙画像のことです。表紙、表紙、と言いますが、正確には、カバーと帯、もしくは書影なんですよね。でも、表紙画像とも言うし通じるので、気にしないでください。(とためになるのかならないのかわからない情報)

私の思うコミックエッセイの魅力は、海外でのビックリ体験とか、ちょっとアングラな潜入系とか、自分の知らない世界を垣間見せてくれる、代理体験させてくれるところ。だいたいが明るいトーンなので、気軽にさくっと読めて、気分転換に最適。エッセイなので当然かもしれないですが、著者の経験や感情の動きをなぞるので、著者の人柄がよく伝わってきて、勝手に友達になった気になり、ついつい応援している自分がいたりする……そんな感じです。


さて、前置きが長くなりましたが、ここから7冊、おすすめコミックエッセイを紹介します。まず1冊目はこちら。

①『番線-本にまつわるエトセトラ』久世番子 著

著者の久世番子さんは、元書店員さん。書店員さんの悲喜こもごもを描いた『暴れん坊本屋さん』シリーズが有名です。番子さんの番は「番線」の番。番線とは、書店さんの識別コードのこと。書店さんの住所・番地、という感じでしょうか? お名前からして濃い! 国会図書館の裏側(いざという時は人命よりも書籍の安全が優先)など、一般常識とはちょっとズレた(?)世界が広がっています。本好きの人は、わかるわ~と共感できるところが多々あって、ちょっとしたカタルシスを味わえると思います。

②『ブンブン堂のグレちゃんー大阪古本屋バイト日記』グレゴリ青山 著

前々職の先輩がグレゴリ青山さん好きで教えてもらいました。バックパッカーとして旅する様子を収めた旅モノで有名な著者さんです。『グ印関西めぐり 濃口』での大阪・梅田の魔境っぷりも面白かったですが、こちらは、大阪の古書街でバイトしていた時のことをつづったもの。グレゴリさんが18~19歳の時だそう。「『あんた程度の“本好き”は“本好き”のうちに入らへんわ~』と本当に体から古本のにおいがするくらい本好きなお客さん達、会社員や公務員に向いていなそうな個性的な店主や店員さん」(原文ママ)が登場する、黒々とした画面の書き込みと同様、ディープな1冊です。

③『わたしのウチには、なんにもない。』ゆるりまい 著

大ヒットシリーズなのでご存じの方も多いかと思います。時はミニマリストブームどんぴしゃでもありました。本にも収録されていますが、ゆるりさんのおうちの実際のお写真を見ると、なんとすがすがしい気持ちになることか! 私は本だけでは飽き足らず、ゆるりさんのブログのお写真もよく眺めていました。必要最低限のモノしか置かず、そのモノが、また、大事につくられたこだわりの一品で、ゆるりさんの暮らしにうっとりします。そんな影響だけはしっかり受けて、断捨離せずに、ゆるりさん愛用のFUTAGAMIで文具トレイを買いました。「捨てのK点超え」はほど遠い……。

④『印度定食屋繁盛記 働く!!インド人』流水りんこ 著

主人公は著者の夫であるインド人のサッシーさん。結婚して来日するも「外国人」の前に立ちはだかる壁は厚く、なかなか働き口が決まりません。やっと見つかった就職先もオーナーが飛んでしまったり、譲り受けたお店を軌道に乗せるも、1年間で休みはたった5日だけ、といった状態で倒れてしまったり……。最終的に運命的な出会いがあり、理想のお店経営への道が開けるのですが、山あり谷ありの物語に、「サッシー、よかったねぇ~」と涙々。まわりの人たちが温かいんですよね。ここでもまたしっかり影響を受け、練馬のお店に行き、お腹いっぱいになってお座敷のあるカフェで昼寝した記憶があります。

⑤『おにぎり通信~ダメママ日記~』二ノ宮知子 著

著者は『のだめカンタービレ』の二ノ宮知子さん。息つく暇もないギャグ満載の二ノ宮ワールドが好きで、のだめがドラマ化される前から(←強調)、『天才ファミリー・カンパニー』や『GREEN』を愛読。このコミックエッセイもご多分にもれず、一話一話のスピード感と詰め込まれた笑いの量がすごいです。二ノ宮さんが大黒柱で、夫のPOMさんが専業主夫の二ノ宮家。「地震、カミナリ、火事、わたし」と昭和の親父スタイルで育児に参加する二ノ宮さんの姿に、こんな母親もありなんだと目が覚める思いに。息子さんたちに、「いい子にされるとネタにならない、商売あがったりだ!」と叫ぶ、二ノ宮さんの根っからの漫画家精神に痺れます。

⑥『実家からニートの弟を引きとりました。』沼津マリー 著

高校中退、ネトゲ廃人でニートの弟を引きとり、駆け出し漫画家の細々とした収入で養う著者。腫れ物に触れるかのように接するのではなく、“きょうだい”として対等に「本音」で接しようと覚悟したところから事態が徐々に好転。巻末に収録されている精神科医・斎藤環さんとの対談漫画には、「このままじゃ将来苦労するぞ」といった親の正論は、「親自身の不安を解消するための言葉」であり、子どもの不信感を募らせる。小言を避け、夕飯何を食べたい?といった何気ない会話で信頼関係を構築するのが先、といったお話も。著者と弟さんを中心に家族が再構築されていく様子に感動です。

⑦『神さまのむちゃぶりで全国の神社に行ったら人生が好転した話。』長南華香 著・池上花英 漫画

7冊目は、コミックエッセイ好きが高じて自分でもつくった1冊です。文章パート多めで、コミックエッセイ“風”、ではあります。著者の長南さんの漫画みたいな展開のブログを読んで、これをコミックエッセイにしたい!と思いました。この本に出てくる「神さま」は、聖人君子ではなく、感情豊かで人間臭いです。システム化され、枠組みにおさめられ、感情を失いぎみな現代人に大切なことを思い出させてくれる存在。漫画家さんがブログのよさをさらに活かす形で、ギャグ多めでテンポのいい漫画にしてくださいました。おかげさまで刊行まもなく4刷となりました。

以上7冊、ご紹介させていただきました。ちょっと古いものも多いので、手に入りづらいものもありますが、気になる著者さんがいらしたらぜひ最新タイトルをチェックしてみてください。前置きで、海外でのビックリ体験や潜入系がおもしろい、と書きましたが、1冊もなくてビックリです。

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