
#405【ゲスト/出版プロデューサー】平均4万2000部・増刷率90%を生み出す出版プロデューサーの仕事
このnoteは2022年5月31日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。
プロデュース作の増刷率90%の出版プロデューサーがゲスト
土屋:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める、土屋芳輝です。本日は編集部の森上さんとともにお伝えしていきます。森上さん、どうぞよろしくお願いいたします。
森上:よろしくお願いしいます。
土屋:今日もすばらしいゲストに来てもらっているということなんですけれども。
森上:そうですね。元々は大手出版社の営業をされていて、その後は独立されて営業視点から、出版、著者のプロデュースをされている方で、お忙しい中、今日はお越しいただいて本当にありがとうございます。
土屋:ということでさっそくご紹介したいんですけれども、本日のゲストは一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表理事で、出版プロデューサーの西浦孝次さんです。西浦さん、本日はどうぞよろしくお願いしいます。
▼かぎろい出版マーケティングHP
西浦:はい。よろしくお願いたします。出版プロデューサーの西浦です。
土屋:私から簡単に西浦さんのプロフィールをご紹介させていただきます。西浦孝次さんは一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表理事をされております。出版プロデューサーでいらっしゃいます。奈良県出身で同志社大学卒業後、学習研究社(現・学研プラス)に入社。書店促進部を経て、一般書販売課へ配属。2つの編集部を担当し、年間最大400冊のマーケティングを担当。2010年、出版プロデューサーとして独立。『血流がすべて解決する』50刷28万部など、プロデューサーの平均実績は4万2000部。増刷90%、すごいですね!「宣伝会議」の編集ライター養成講座や、相模女子大で講師を務め、業界の活性化を目的として、新卒向けにメディア就活ボランティアも行なっていらっしゃいます。この様に多くの魅力的な活動をされている西浦さんなんですけれども、森上さんも西浦さんと一緒に本作りをされたことがあるんですよね?
森上:そうなんです。呼吸の専門家でいらっしゃる、倉橋竜哉さんという方がいらっしゃるんですけど、その倉橋さんが西浦さんの塾の生徒さんなんですよね?
西浦:そうですね。はい。
森上:そこで『呼吸で心を整える』という本を、2016年の1月に刊行させていただいて、こちらはおかげさまで7刷・3万5000部いう感じで、西浦さんの塾生は本当にすごいんですよ。

西浦:ありがとうございます(笑)。皆さん、すごい方ばっかりですよね。僕なんかにもったいない人ばっかりで。
森上:いえいえ。
土屋:具体的にはどういう形でこの本は誕生したんでしょうか?
森上:西浦さん、2014年くらいですよね?
西浦:そうですか。そんな前になりますか。
森上:ある人とご縁があってという感じですよね?
西浦:えっと、どなたでしたっけ(笑)?
森上:鈴木さんです、鈴木進介さん。
西浦:あー! そっか! 鈴木さんつながりでしたっけ?
森上:鈴木さんとご縁があって、そこからの紹介でって感じで。
西浦:そうだったのか。てっきり先に森上さんとお会いしたと思い込んでいましたね(笑)。
森上:西浦さんの塾生の方々……、塾生というのは、本をこれから出したいと考えている方、その方々のプレゼン会があったんですよね。
西浦:そうです、そうです。そこに何人かの編集者の方にゲストに来ていただいて。「ちょっとプレゼントさせてほしい」ということで、お招きした方の中に森上さんも来てくださったという形になっていまして。そこで倉橋さんという方の本を「うちで本にしてもいいんじゃないか」と企画してくださったということでございます。
森上:あのときはすごかったんですよね。プレゼン会で倉橋さんと同期だったのが、例の堀江昭佳さん……。
西浦:そうそう、そうなんですよ。『血流がすべて解決する』の堀江さんもいて。

森上:あの本はもう今、28万部とかですよね。すごいですよね。
西浦:28万部超えましたね。
森上:すばらしい。50刷で!。血流があれだけ大事だっていうのを世に知らしめたご本ですもんね。
西浦:本当に。あの本が出るまで、みんなよく言っているんですけど、「血流」っていう言葉は出版界とかにはなかったんですよね。
森上:間違いなくなかったですよ。
西浦:雑誌界とかでも「血流特集」とか組まれるようになったのって、あの後で、言葉が変わったなって、ちょっと感じることができて、しびれる経験でしたね。
森上:いや、本当にあれはもう時代をつくった本だなと思って。その同期に倉橋さんがいて、28万部には及ばないですけど。
西浦:でも、呼吸っていうテーマで3万6000部ってかなり売れた方なんじゃないですかね?
森上:まあ、業界的にはそうですよね。一般的に呼吸の本っていっぱい世の中にある中でいうと、そうですね。
西浦:そうそう。
森上:どれだけ西浦さんが優秀かってことを言いたいんですよ。
西浦:ありがとうございます(笑)。
森上:西浦さんは出版塾をされているじゃないですか?
西浦:はい。
森上:今もやられている?
西浦:そこがちょっと言わなきゃいけないと思ったんですけど……、例の感染症があったじゃないですか。そのときに「これは無理だ」ってなって。集まって塾をできなくなっちゃったじゃないですか。
森上:確かに。
西浦:そのタイミングで新規の募集をやめちゃったんですよ。
森上:あー、なるほど。
西浦:それまでやっていた人は全部オンラインに移行して、オンラインでやろうねってなって。で、新規はできないから、いったん止めたんですね。
森上:なるほど。
西浦:なので、塾っていう形でやっている人は、今はいなくて、しかもオンライン化したメンバーもオンラインで塾をやると、みんなオンライン上で自分の時間だけ来るんですよ。
森上:なるほどね。
西浦:僕の塾のやり方って、ちょっと変わっていて、僕が授業をして、みんなが聞いてって感じじゃなくて、それぞれの企画の今つくっているところとか、詰まってるところに僕がアドバイスをして、みんなの前でお互いにアドバイスしてっていう、セッションみたいなことをやっていて。
森上:公開セッション?
西浦:そうそう。公開セッションみたいな感じでやっていて、それこそ、さっき出てきた「血流」の堀江さんには「心理カウンセラーの心屋仁之助さんのセッションみたいだよね」って、おっしゃっていただいたこともあるんですけども。その人の人生でやってきたことの、こことここがつながって、「1個のコンテンツになるのか! びっくり!」みたいなことをやっていたんですけど。
森上:他の塾生にもタメになりますもんね。
西浦:そうなんですよね。「そういうことか!」みたいなこととか、人によって今自分が困っているところと違うところで困っているから、気づきになったりすることもあったし。なので、今月から入って「今から始めます」みたいな、プロフィールを作っている人もいれば、「もう発売まであと2カ月なので販促プランをほぼ完成させます」みたいな人もいて、そうなると最終的にはああいうことをするんだなってわかるから、塾としてはすごくよかったんですよね。
森上:なるほどね。それができなくなっちゃって、今は個人セッションになっちゃった感じなんですね?
西浦:そうなんですよ。だから、それ以降の方は全員オンラインと、対面も入れていますけども、全部個別でやっています。
塾生出身の著者が高水準の結果が出ている理由
森上:そうですか。でも体制がいろいろと変わった、新規は取っていないと言えども、前からごく一部の間では西浦さんのところは有名だったんですけど、いわゆる出版塾ってお金を払えば入れちゃうパターンが世の中に多いなか……。
西浦:だいたいそうですよね。
森上:西浦さんの塾はお金を払っただけでは入れないんですもんね。
西浦:そうですね(笑)。あんまりこれを言うと、僕がすごく偉そうで嫌なんですけど(笑)。お金はいただけるとうれしいですけど、それで引き受けて、「ちょっと厳しいね」っていう人だと申し訳ないじゃないですか。やっぱり僕も出版社の方に提案するのに、「なんでこんな人にしたの?」って言われる人を提案できないので。だから入り口のところで「この人なら行けそうですよね」って思う方にお声掛けさせてもらっているんですよ。
森上:なるほどね。
西浦:誰でも来ていいような3万円くらいのセミナーがあるんですけど、それは今でもオンラインでやっているんですけど、そこに来てくれた方とだいたい個別フォローでお話をするので、そのときにお互いにやりたいなと思っていて、いいなって感じだったら、「ちょっと1回、企画の話をしませんか?」みたいになっていくっていう感じです。
森上:なるほどね。最初はオープンにしておいて、塾生が絞られていくわけですね。
西浦:そうです、そうです。
森上:入塾できるかどうか、そういったところになってくると。
西浦:そうですね。だから僕がプロデュースさせてもらうとか、一緒に作るってなると結構絞らせてもらっているというか、「両想いになったらやりましょう」みたいな感じですね。
森上:すごいですね。これは西浦さんの前だから言う訳じゃないんですけど、やっぱり信用できるんですよ。
西浦:ありがとうございます。
森上:すごく偉そうなんですけど。
西浦:いやいや。
森上:信用できるので、そのあたりがやっぱり魅力だし。だから、ちゃんと結果につながっているのかなっていう感じがしますよね。
西浦:そうですね。ありがたいことに、結果的に著者さんとして強い人が来てくださって。だから、いわゆる出版塾だったらトップに入るんだろうなっていう人たちばっかりになるから。その代わり、人数は少ないんですけど。
森上:なるほど。
西浦:だから本を出して、増刷がかからないってことがほぼないんですよね。
森上:うんうん。
西浦:そこは絶対越えられるっていう。
森上:平均4万部……。
西浦:そうですね。今、4万2000部ですね。
森上:すばらしいですね。
西浦:いやいやいや。それはもう本当に編集さん、著者さんみんなのおかげですね。
出版社の垣根を超えた勉強会
森上:でも西浦さんは、著者さんのコミュニティをお持ちじゃないですか?
西浦:はい。
森上:出版の編集者の横のつながりを勉強会という形でうちのセミナールームを使ってずっとやっていましたもんね。
西浦:そうなんですよ。
森上:あれは2、3年やっていましたかね?
西浦:2年はやっていましたね。感染症のちょい前ぐらいにいったん休止にしたんでしたっけ?
森上:確かそうでしたよね。
西浦:新しい形でまたやりたいですね。当時は最終的に100人ぐらいいましたもんね、メンバーとしては。
森上:メンバーとしてはね。
西浦:書店員さん、取次さんも含めて、編集さんとか、営業の方もいらっしゃって。でも、僕が就活支援をしていて、若い営業の人間とかもまた増えてきまして、「勉強会をやりたい」とか言うんですよ。「大変だぞ」って言うんですけど(笑)。久しぶりにちょっと何かやりたいなっていう機運もあるので。
森上:なるほど。
西浦:あまりしんどくない形で交流会くらいからでいいと思うので、またちょっとご相談させてもらいたいなっていうのは。
森上:ぜひお願いしいます。
西浦:お願いします。
森上:その勉強会では他の出版社の編集者が企画を持ち寄って、そこで企画をプレゼンするんですよね。
西浦:そうそう。
森上:それで、この企画だったらどういうふうに売るかとか、企画についていろいろな意見をいただくという。他の出版社の編集者とか営業から意見をいただけるという貴重な機会だったので。
西浦:そう。出版社の垣根を越えて、真剣にアドバイスしようみたいな。
森上:あれはたぶん、業界的にない例だと思うんですよ。ああいう形って。
西浦:そうですよね。あれはよかったですよね。できていることは。最近、某Dで始まる出版社さんの中途採用のページで、「うちの編集部でこんなことをやっています」みたいに書かれていたんですけど、「まさにあの勉強会でやっていたことやん!」って思いましたよ。
森上:そうですか。
西浦:編集者が相手の企画に対して「こうやったら、もっと売れるよね」とか、「こうするといいよね」とかって、いろんな形でやっているみたいなんですよ。
森上:それは他の出版社の人間を入れ込んでということですか?
西浦:入れてない。社内だけでやっているんですけど。
森上:社内だけでね。
西浦:そうそう。それをいろんな出版社を交えてやっていたなと。それはよかったと思うんですよね。
森上:あの垣根がなくなったっていうのは結構でかいですよね。ただ、休止になるきっかけになっちゃったのが、プレゼンする人が決まってきちゃったんですよね。
西浦:そうなんですよね。やっぱり大変だし、企画のプレゼンを出すのって。準備していただくのも大変だし、言うだけならまだ比較的簡単なんだけど、「あんまり自社の情報を出すな」って言われている人もいたっちゃいたんですよね(笑)。厳しい版元もあったので、リアクションが。
森上:そうなんですよね。その辺の情報の規制とかね。
西浦:そうそう。森上さんみたいに、「いいじゃん、いいじゃん。オープンにしていこうよ」みたいな、「みんなで業界全体を盛り上げようよ」みたいな人ばっかりじゃなかった、そういう会社ばっかりじゃなかったっていうのもあったかなと思いますね。
森上:勉強会の前から横のつながりはあったにせよ、あの勉強会があったことによって、やっぱり近づきますよね。
西浦:そうですね。
森上:それぞれ、個々がね。あれはすごくいい機会だったなと改めて思いますね。またぜひやりたいですね。
西浦:やりたいですね。ちょっとまた改めて、どうやればいいか。各出版社、若い子がまたいるので。
どのような視点で、著者候補を見抜いている?
森上:はい。そうですね。そして、リスナーの皆さんがたぶん、気になるところだと思うんですけど、ちょっと話が戻るんですが、著者の候補でいろんな方が(西浦さんのもとに)来られるじゃないですか。これってやっぱり西浦さんはいろいろな視点で見抜くんだと思うんですが、実際はどのように……? ミーティングを重ねてって感じですか?
西浦:そうですね。お話をお伺いして、いろんな話を聞くのが主体にはなりますよね。聞きながら僕が頭の中で企画を練っていって、こういう形の本になりそうだねって見えたら、「こんなどうですか?」って提案して、「やりたいですね」とかだったら、「ちゃんと契約して、一緒にやりましょう」っていう形になりますね。
森上:なるほどね。実際にその人が持っている取り組みが世の中にどれだけ求められるかとか、再現性があるのかとか、かぶってないか、オリジナリティーがあるかとか、そのあたりが見抜くポイントになってくるんですかね?
西浦:そうですね。その人がやっていることの中に、このテーマは新しいよねとか、おもしろいねとか、本当はこうなればいいのにっていう、都合がいいことがあるかどうかをすごく探していて。
森上:なるほど。その「都合がいいこと」っていい言葉ですね。
西浦:この間も言っていたんですけど、著者が見出しとかつくる時によくやりがちなのが、否定形を結構簡単に使っちゃうんですよ。「○○するな!」って言っちゃう。
森上:はいはい。
西浦:「○○するな!」っていうのは、一般的に「○○しろ」って言っていることの逆張りでしかないことが多くて、「つまらないですよね?」みたいな話をするんだけど、そんな中で、本当はやりたくないんだけど、成果が出るらしいと言われているから、やらざるを得ないことってあるじゃないですか。例えば、ご飯を食べるのを我慢するみたいな。「糖質を抑えれば痩せる」って言われているからみたいな。それを否定するのはありなんですよ。
森上:なるほどね。
西浦:「ご飯食え!」って言うのはいいよねって話で。そういったところをちゃんと言えるだけの研究とかをしているのかなとか、実績はあるのかなっていうのはすごく見ています。
森上:その辺の部分のエビデンスと言うか、化学的証拠と言うか。
西浦:そうなんですよ。
西浦さんの最新プロデュース作
森上:なるほどね。すばらしいですね。せっかくですから、最近(2022年5月収録当時)プロデュースした作品をご紹介いただいてもいいですか?
西浦:最近で言うと、サンマークさんで去年出していただいたやつが1番新しいんですけど、『私はただ、「生きてる~!」って叫びたいだけだったんだ』ってやつですね。

森上:はいはい。このVoicyにも出ていただいた岸田さんですね。
西浦:そうです、そうです! 岸田さんに編集担当していただいて。こちらは、もうちょっと行ってもいいよねっていう感じでしたね、数字的には。
森上:そうですか。あれはスピリチュアルなのかな?
西浦:わかりやすく言うと、スピリチュアルです。スピリチュアルをちょっと小説にしてみたという。
森上:はいはい。ベッドの上で、半径何メートルとか、幸せ……みたいな。
西浦:そうです、そうです(笑)。すごくザックリとしているけど全部合っています。
森上:(笑)。岸田さんにVoicyに出てもらったときにその話になって。
西浦:それはまさに岸田さんのアイデアというか、どういう「表1」にしようかって話をしていて、岸田さんが考えているプランがあると教えてくださって、それはすごくいいですねって。岸田さんも似ているんですよね。たくさん会話とか雑談をする中で出てきた言葉を拾っていくタイプなので。「半径何メートル」とかも「いいですね」って言って、すぐメモをされていて、こういう形で落とし込もうかって。
森上:なるほど。じゃあ、それが1番最新な感じですかね?
西浦:そうですね。プロデュースしたっていう形だと、それになりますね。
森上:なるほど。この本についてはこちらにURLを貼っておくので。

西浦:ありがとうございます。
森上:見ていただけたらと思うんですが。土屋さん、こんな感じなのですが、お時間が……。
土屋:はい。お時間が来てしまいましたけども、ここまでは西浦さんの出版プロデューサー業について、お話いただきました。明日もゲストにお越しいただけるということで、明日は西浦さんからご提案いただいたテーマ「出版業界の生き残り戦略」ということで。
森上:気になりますね。
土屋:こちら、いろいろとトークができればと思っております。ぜひ明日もお聞きください。ということで、本日は西浦さん、森上さん、ありがとうございました。
西浦:ありがとうございました。
森上:ありがとうございました。
(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)