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#396【ゲスト/心理】「音楽×心理×栄養」で”うつ”を撃退する方法

このnoteは2022年5月18日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

今井:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める、今井佐和です。本日は昨日に引き続き、公認心理師、音楽療法家の“はもしょう”こと、橋本翔太さんがゲストに来てくださっています。本日も編集部の寺崎さんと共にお伝えしていきます。橋本先生、寺崎さん、本日もよろしくお願いいたします。

橋本・寺崎:よろしくお願いします。

今井:昨日は、「音楽が鬱に効く」をテーマに、心理カウンセラー、音楽療法家の立場からの解説を橋本先生にしていただきました。まだお聞きになられていない方は昨日の放送もぜひチェックしてみてください。そして本日はさらに踏み込んで、「“音楽×心理×栄養”で鬱を撃退する」をテーマにお届けしてまいります。

寺崎:そうなんですよ。本来は橋本さんのメソッドというのは音楽療法なんですけど、これに心理学と栄養学を組み合わせたところに独自性があります。


実体験から生まれた「音楽×心理×栄養」の3本柱

今井:この3つを組み合わせているのは橋本先生以外にないんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、橋本先生は元々は音楽療法の専門家からスタートしたということなんですけれども、なぜここに心理と栄養という2つの柱を加えていったのでしょうか?

橋本:そうですね。元々、大学で音楽教育学を勉強して、大学院で臨床心理学を勉強して、どちらかと言うと心理学畑でずっとやってきたんですよね。で、心理学のことをやっていると、色んな問題を解決できて人生が上手くいくので、すごくいい調子だなと思ってたところで、2011年に東日本大震災がありまして、私は福島県出身なんですけれども、相当心理的なダメージを受けまして、それ以外にも色々と溜まっていたんでしょうね。それを原因にだいぶ体調を崩して、まさに鬱症状というか、メンタルを壊しまして。
で、あれほど心理を勉強したり、スピリチュアルとか、気功みたいなことも勉強している時があったんですけど、一生懸命机に向かって勉強して、心理学のこととか、臨床も通して、色々とやっていたのに、他の方もお手伝いしてきたのに、なぜか私はその時に色んなメソッドを使っても全然元気になれなくて、なんで回復しないんだろうって、そこでもまた絶望して、また体調が悪化していったんですよ。
その時に栄養療法といいますか、食事と栄養が心の問題になっているっていうことを知って、実際に食事と栄養のアプローチを始めたんですよ。そしたらそこから一気に体調と言うか、メンタルと言うかが回復して、回復だけじゃなくて、色んなことがよくなったんですよね。まさにマイナスからゼロだけでなく、ゼロからプラスになって、体調もよくなったし、色んな直感とかも鋭くなるし、ピアノも英語も練習していないのに上手くなったりとか、要は脳のコンディションが整っていく経験をしまして。
その状態で心理をやると、スッと入ってくるっていう経験もして、つまり私たちって心のこととかをやると、どうしても自己啓発だとか、心理学とか、○○メソッドとか、スピリチュアルもそうなんですけど、目に見えない世界も含めて、頭のこと、思考のことばっかりをやりがちなんですけど、そもそも私たちは三次元で生きているし、肉体をおろそかにしちゃダメだよねって、そこでもうしみじみと感じまして、食事と栄養の力っていうのを自分ですごく体感したんですよね。
食事と栄養だけじゃなくて、そこにまた心理とか音楽療法を加えていくと、こんなに大きく変化するんだということを経験したので、まさに自分の実体験からこの3つの柱を今は皆さんにお伝えしているというかたちになっています。

今井:ありがとうございます。そうすると、橋本先生が実際に体験していった過程がギュッとメソッドに詰め込まれたという感じなんですかね?

橋本:そうですね。自分が本当によくなったので、これを伝えないわけにはいかないというか、それを知らないで苦しんでいる人がたくさんいるんだろなっていう気持ちもあって、これをとにかく多くの人に知って欲しいなっていう気持ちで活動しています。

「認知的歪み」と「利得」

今井:ありがとうございます。ではさらに詳しくお話を伺いしていきたいと思うんですけれども、ちなみにこの鬱症状に対して橋本先生の方では、実際にどのような心理アプローチを取られるのでしょうか?

橋本:はい。まず大前提として、ある程度回復してから心理的アプローチをするというのが大切です。ですので、ご自身で鬱が気になる場合は必ず病院に行って、医療に繋げて、必要であればお薬等の調整をしてもらって、あるいは食事と栄養のアプローチをして体の土台を作って、神経伝達物質の状態をよくしてからはじめて心のアプローチを受け入れられるというか、心理的なアプローチを取り組む土台、エネルギーが出てきますので、その状態で、心理的アプローチをはじめていきます。
鬱症状に対して、代表的なのは認知行動療法と言われるもので、これは病院内でも行ったりするんですけども、まさにこの認知の歪みが鬱症状に対しては問題になっちゃうんですね。認知の歪みというのは言ってしまうと、思い込みと現実に起きていることがごっちゃになってしまう、これは認知的フュージョンって言うんですけども。例えば「職場でAさんに“おはよう”って言ったんだけど、挨拶を返してもらえなかったから、Aさんってやっぱり私のことを嫌っているんだ」みたいな感じで、思い込みと現実に起きていることがごっちゃになってしまって、「だから私はダメなんだ」なんて、自分を責めてしまう。こういうことが極端に起きてしまうのも鬱症状の特徴なんですね。こういう場合には、本当にAさんがあなたを嫌っているから挨拶をしてくれなかったのか、それともたまたま“おはよう”が聞こえなくて挨拶をしてくれなかったのか、っていうように現実に起きていることを丁寧に見て行って、その上で「本当にそれは現実に起きていますか?思い込みじゃないですか?」っていうことをチェックする。認知的フュージョンには、こういうこともしていきますね。それで認知の歪みを取るということですね。
それ以外にも自責が強くなってしまうのが特徴なんですが、どうしても鬱になってしまうと自分を責めてしまうことがすごく強く出てしまうので、自責が強い状態に対してもアプローチしていくっていうのがありますね。
これはちょっと話すと長くなってしまうんですけど、私の心理のアプローチでは必ず“問題には利得がある”、利得というのはがメリットのことです。“問題には必ずメリットがあるんだ”と発想します。つまり、自分を責めてしまうことにもメリットがあったりするんですよ。これは鬱の方にはよくあるんですけど、自分を責めると「自分はダメだから頑張らなきゃいけない」って、ダメな自分を感じる方がモチベーションになるっていう方が結構いるんですよ。これが実は自責のメリット、自分を責めるメリットになっている場合、利得になっている場合っていうのは、自分を責めた方が頑張れるので、自分を責める癖もなかなか手放せないんです。
例えば、こういうお話を丁寧にしていくことによって、自分を責める癖を手放していく練習をしたりとかするのも心理的アプローチの1つではありますね。あと、感情、感覚を感じるのが苦手になっている鬱症状の方も多いので、少しずつ自分は悲しいとか、怒っているとか、自分の本音、感情、感覚を感じていく練習をしたりもしますね。色んなアプローチがあります。

「自分のコップを満たす」「酸素マスクは自分でつける」の大切さ

寺崎:なるほど。書籍の中で「自分のコップを満たす」というのと、「酸素マスクは自分でつける」という話が出てくるのですが、これについてちょっと詳しく教えてもらえますか?

橋本:はい。特にこれは鬱になってしまうような方に多いんですけども・・・、決して鬱になってしまう気質とか性格があるわけではないんですが、やっぱり鬱になりやすい方として、生真面目で自己犠牲をして誰かを助けようとしてしまったり、自己犠牲をして誰か他人のために頑張ってしまう方がどうしても多いんですよ。なので、この話をしたんですけど。
「酸素マスクは自分でつける」って話なんですけど、飛行機に乗った時の機内動画で、酸素マスクが降りてきた時に、必ず大人とお子さんがいる場合には、大人が先につけるんですよ。要は自分と他者がいた場合に、酸素マスクをつける順番というのは、相手が仮に弱者であっても子供であっても、絶対自分が先に酸素マスクをつけなきゃいけないです。
なんでかと言うと、もしもそこで煙が充満してきて、お子さんとか弱者に対して、他者に対して、酸素マスクをつけようとしている間に、自分の意識が煙によって失われたら、その弱者、お子さん、他者の命まで危険にさらすことになっちゃうんですよ。だから、まず最初に自分に酸素マスクをつけて自分の身の安全を確保した上で、誰かを助ける。
自分の子供を助けるっていうのが機内安全の基本で、どの飛行機会社を見てもそのような安全の映像が流れるんですけど、これができない人がすごく多いんですよ。慌てて、自分のお子さんとか、誰かのために身を呈して自己犠牲をしてしまう。自分に酸素マスクをつけることに罪悪感を感じちゃったりする人もいるんですよ。だから、真っ先に自分以外の誰かを身を削って助けなきゃいけないっていう思い込み、認知の歪みがあるんですけど。
「自分のコップを満たす」っていうのもそうで、先に自分のコップを満たしてあげる、自分自身を満たしてあげる、その上で溢れ出てきた分を誰かに使う、っていうのが本来の優しさだったりとか、本来の相手への気遣いだったりするんですけど、鬱傾向にある人っていうのは、自分がカラカラなのに、それでも誰かのためとか、他の人のためとか、世間のためとかっていう感じで、自分を満たす前に外側をどうにかしちゃうっていう傾向にあるんですね。
なので、大変な時ほど、自分にマスクをつけなきゃいけないんだよ、自分に酸素マスクをつけていいんだよ、大変な時ほど自分自身を満たしていいんだよ、自分のコップを先に満たしていいんだよ、その上で余裕ができたら、自分自身が整ったら、誰かを助けようっていう、その発想がどうしても欠如しやすいので、このお話を本の中で書いています。

今井:確かに日本人は自己犠牲の美徳みたいなのがあって、それが美しいというような文化と言うか、そういう精神があるような感じがするんですけど、本当におっしゃる通り、自分が酸素マスクをつけていないと、誰も助からないっていう、リアルな現実がありますよね。

橋本:そうなんですよね。だから、鬱を発症してしまう方って休むこととか、自分が楽しいことに時間を使うことに罪悪感を感じる方ってすごく多いんですけれども、その罪悪感によって、結果的に自分だけじゃなくて、周りの人までも助けられるのに助けられなくなっちゃうっていう現実を起こしてしまったりするので、休むこと、自分の身を守ること、自分を満たすことがいかに周りの人にとってもプラスになるかっていう視点で、自分自身を休めてほしいし、自分自身を満たしてほしいなあというふうに思います。

今井:そういう意識があると、「休めない」なんていう人も、休みやすくなるかもしれませんね。

橋本:そうですよね。

寺崎:そういう意味では僕は鬱にならない自信があります。

橋本・今井:(笑)。

寺崎:平気で休みますし、自分のコップを満たすことばっかり考えているので(笑)。

橋本:でも、そういうのが大事なんですよね。結果的に寺崎さんは周りの人を助けられるじゃないですか。

寺崎:そういうことなんですかね(笑)。

橋本:もし寺崎さんが倒れちゃったら、周りの人が寺崎さんをなんとかしないといけないってなっちゃいますからね。

今井:やっぱり自分のコップを満たすっていうことが大事なんですね。

橋本:そうですね。自分を休ませるとか、自分を満たすとか、自分を優先させるってことが苦手な人が多いので、ぜひそれを意識してもらえたらと思います。

今井:人のために自分が休むぐらいの気持ちでいたほうがいいかもしれませんね。

橋本:まさにそうですね。

心理的アプローチの実践法

今井:ちなみにこの鬱を改善する心理的アプローチの実践法などがもしありましたら、そちらも教えていただいてもよろしいでしょうか?

橋本:これも前回からお話している通り、「ズバリこれです」っていうのもなかなか言えないんですよね。
ただ順番としては、やっぱり体を整えて、鬱の状態が少しでもよくなった上で心理アプローチを取り組む、と。鬱って言うと、漠然としているんですけど、言い方を変えると生きづらさを抱えているっていう言い方になると思うんですよ。鬱とか、鬱症状を持っているっていうのは、生きづらさを抱えているっていうことだと思うんですね。
なので、そこにどうアプローチしていくかってことになるんですけど、先ほどもお話したみたいに、今ある問題って、必ずそこにメリットがあるんですよ。利得があるんですよ。そこになかなか本人は気づけないんですけど、メリット、利得があるから、その問題が継続している。つまり、問題を握りしめているのは自分なんだっていうお話を、YouTubeとかでもしているんですけど、そこに気づいてもらうことがこの鬱を改善する心理アプローチの重要なポイントにはなってきますかね。

症状の改善を助ける栄養素とは?

今井:ありがとうございます。では、これまで音楽、心理ときて、最後に“栄養素でうつぬけ”ということなんですけども、先ほど、鬱を治す時のベースでまず体を整えるところからスタートなんていうお話もありましたが、この“栄養素でうつぬけ”のポイントも教えていただいてもよろしいでしょうか?

橋本:わかりました。そしたら、この辺は詳しくはYouTubeなんかでもお話をしているので、YouTubeをご覧いただけたらと思うのですが、シンプルに言うと血糖値の安定がすごく重要なので、なるべく糖質を省くということ、それから食べる順番に気をつけるということ、それから神経伝達物質生成に動物性たんぱく質が絶対に必要なので、動物性たんぱく質をしっかり取ってもらう、その上で必要なビタミンとかミネラルをサプリメントを使って補充してもらうっていうのがすごく重要なポイントですね。
あとは意外とカフェインによって不安が強くなる人って多いんですよ。だから紅茶、緑茶、コーヒーなんかをちょっとやめて、例えばルイボスティーとか、カフェインのないお茶に変えるとか、コーヒーをデカフェとか、カフェインレスのコーヒーに変えるみたいなことをしてもらうだけでも、不安感が収まる方ってすごく多いので、そういうことを実践してもらえたらいいかなと思います。

今井:ありがとうございます。ちなみに私の今日のお昼ごはんはゆで卵3つでした。

橋本:素晴らしい。今井さんは、以前から実践してくださっているんですよね。

今井:はい。今朝は12個、ワンパックのゆで卵を作ったので、その内の3つを食べてしまいましたね(笑)。

橋本:そんな感じで動物性たんぱく質、卵もそうなんですけど、そういうものを増やしてもらうと、神経伝達物質が整うことによって、脳のコンディションもよくなっていくっていうことになります。この辺も『聴くだけうつぬけ』の5章の方に詳しく書いております。

今井:ありがとうございます。橋本先生によるピアノ演奏が収録されたCD付きの『聴くだけうつぬけ』、こちらは栄養素についても、音楽も心理も色々なことが書いてありますので、ぜひリスナーの皆さんもチェックしていただけたらと思います。

寺崎:佐和ちゃん、実はね、kindle版にはKindle限定オリジナル音源がついているんですよ。

今井:普通の書籍とは違う音源なんですか?

寺崎:そうなんですよ。そういうのを付けたんですけど、それがどういうタイトルかと言うと、ちょっと長いんですけど、「学校や職場に行くのが面倒くさいと思った時、聞くだけで背中を押してくれる勇気のセラピー」って言うピアノ演奏です。

今井:それは毎日聞きたいぐらいの演奏タイトルですね(笑)。では、こちらのkindle版もおすすめということで、昨日もお伝えした通り、書籍の特設ページがありまして、橋本先生、ご自身による紹介動画もそちらで見られますし、気になったリスナーの皆さま、ぜひ覗きに来ていただけたらうれしいです。URLは前のチャプターに貼っておきますのでぜひご覧ください。

寺崎:ありがとうございます。この他にも同じくCD付の『すべてが楽になるピアノレイキ』っていう、姉妹本の位置付けの本なんですけど、こちらもおすすめなのでぜひチェックしてみてください。こちらのリンクは今のチャプターにURLを貼っておきます。

今井:ありがとうございます。では橋本先生、最後にリスナーの皆さまに一言、メッセージをお願いいたします。

橋本:はい。もしも今、生きづらさを抱えていたりとか、毎日しんどいなとか、もう嫌だなと思っている方もいらっしゃるかもしれないですが、自分が覚悟を決めて動いていけば、必ず人生も心のコンディションも体のコンディションもいい方向に向かっていきますので、自分自身をあきらめないで、自分自身が自分の一番の味方になってあげて、色んなことに取り組んでもらえたらと思っております。ヒントはYouTubeなんかでも公開していますので、ぜひYouTubeにも遊びに来てください。

今井:ありがとうございます。“はもしょう”こと、橋本翔太さん、この度は2日間にわたってフォレスト出版チャンネルにご出演いただき、ありがとうございました。

橋本:ありがとうございました。

寺崎:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


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