40代から要注意!「血管が老化する」ってどういうこと?
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
「血管」の健康が人生後半戦の幸せを決めることは、先日のnote記事でお伝えしました。
ただ、上記の記事でもお伝えしたとおり、目に見えないことに加え、悪くなっても自覚症状がないのが「血管」です。
血管が悪くなるとは、老化と深く関係しています。血管は、血液を全身に行き渡らせるインフラ、いわば“道路”のようなものです。ずっと使っていれば、当然、脆(もろ)くなったり、傷んできます。実際の道路だって、定期的にメンテナンスをしないと、どんどん状態が悪くなりますよね。それと同じです。
では、そもそも、「血管が老化する」って、どういうことなのでしょうか?
生活習慣病・血管の専門ドクター、国内の第一人者として知られる栗原毅先生による、5月24日(Amazonでは5月21日)発売予定の新刊『血管が強くなる習慣』で、「血管の老化」について詳しく解説しています。今回は、発売に先立ち、本書の中から該当箇所を一部抜粋・編集して紹介いたします。
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若々しい血管と老化した血管の違い
「人は血管とともに老いる」という有名な言葉があります。血管が老化すると、脳や臓器に十分な栄養や酸素が届かず、体のあらゆる器官の能力が低下していくことを表しています。
では、若々しい血管と老化した血管は、どこが違うのでしょうか。
その答えは、血管を流れる血液の勢いにあります。
みなさんは、心臓から送り出された血液がどれくらいの時間をかけて心臓に戻ってくるか、想像がつきますか。
答えは、1分足らずです。
体の中を駆け巡って1分で戻ってくるのですから、血液はものすごいスピードで流れていることになります。実際に頸動脈をエコーで観察すると、勢いよく血液が通っていく様子を見ることができます。重力に逆らって脳まで上っていくのですから、その勢いは計り知れません。首に指を当ててみると、血管がドクドクと拍動しているのがわかりますね。
血液が流れる勢いは、心臓の力だけでは生まれません。
そこで重要な役割を果たしているのが、動脈の中層にある平滑筋です。平滑筋がポンプのように動いて、血液を先へ先へと送り出しているのです。
若々しい血管とは、平滑筋がしなやかに力強く動く血管というわけです。
逆に老化した血管は、平滑筋が衰えて硬くなっている状態と考えてください。ポンピングの力も弱くなり、血流も勢いがなくなります。その結果、脳や臓器に届く栄養や酸素も少なくなってしまうのです。
老化した血管は、よく古いホースにたとえられます。蛇口から勢いよく水が流れてくると、弾力がないために水圧をまともに受けてしまいます。そのためにヒビ割れが起こりやすくなります。
そんな恐ろしいトラブルが、老化した血管で起こっているのです。
血圧と血糖値がポイント
では、血管はなぜ老化するのでしょうか。
大きな要因は2つあります。
1つは、「高い血圧」です。
血圧が高いと、血管の内層が受ける力が強くなります。拍動ごとにハンマーで殴られているようなものです。
1分間に心臓が打つ拍動を70回とすると、1日に約10万回となります。血管は1日に10万回も圧力を受けていることになります。それだけ殴られるのは拷問と同じです。老化するのも仕方ありません。
血管は老化すると、弾力を失って硬くなります。硬い血管は、さらに圧力を受けやすい、という悪循環が生まれます。
血管の老化のもう1つの要因は、「ドロドロの血液」です。
血液がドロドロになると、血液を押し出すのに強い力が必要になります。それだけ血管の平滑筋の仕事が多くなり、疲れてしまうのです。
また、ドロドロの血液によって血管の内壁が傷つきやすくなります。傷がつくと動脈硬化が起こり、さらに血管が硬くなります。
血液がドロドロになる主な原因は、血液中の糖と脂質です。血糖値が高い、中性脂肪が多い、と健康診断で指摘されたら、血管が老化している可能性があります。糖質、脂質が高くないサラサラな血液が理想です。
恐ろしい病気を防ぐキーポイント
ここまでをまとめると、以下のようになります。
つまり、血管の老化は、三大生活習慣病といわれる、「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」と密接に関連していることがわかります。
そして、血管が老化すると、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞という命にかかわる病気を引き起こすことがはっきりしています。
「血管を健康に保つ」
これが、恐ろしい病気を防ぐキーポイントなのです。
ところで、よく「血管年齢」という言葉を聞きますが、客観的に血管の年齢を測ることはできるのでしょうか。
答えはイエスです。
PWV検査(脈波伝播速度)は、心臓の拍動が動脈を通じて手や足に届く速度を計ることによって血管年齢を測定するシステムです。両腕と両足首の4カ所につけたセンサーで拍動の到達時間を計測し、計算式に当てはめると「あなたの血管年齢は○歳です」と提示されます。
また、頸動脈のエコー検査では、動脈硬化によるプラークがはっきりと画面に写し出されます。
「自分の血管の状態を知っておきたい」という人は、専門医に相談するといいでしょう。
【著者プロフィール】
栗原 毅(くりはら・たけし)
栗原クリニック東京・日本橋院長。医学博士。1978年、北里大学医学部卒業後、東京女子医科大学消化器病センター内科入局。1987年より東京女子医科大学で消化器内科、特に肝臓病学を専攻し、2005年に教授に就任。2004年、中国中医研究院客員教授、2007年、慶應義塾大学教授に就任。2008年に消化器病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防と治療を目的とした「栗原クリニック東京・日本橋」を開院。テレビ、新聞、雑誌などのメディアでも、わかりやすい解説が人気を博す。血液サラサラの提唱者の一人として知られる。
栗原丈徳(くりはら・たけのり)
栗原ヘルスケア研究所所長。歯科医師。1982年、東京都生まれ。鶴見大学歯学部卒業。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科中退。「予防歯科医療」「食と健康」をテーマに活動をしている。特に「口の健康と全身疾患との関連性」に興味を示す。大学や介護施設などで講演も行なっている。日本抗加齢医学会、日本咀嚼学会、日本摂食嚥下リハビリテーション学会等の会員。
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いかがですか?
血管の健康管理は、40代からでも十分に間に合うと、栗原先生は言います。新刊『血管が強くなる習慣』では、生活習慣病・血管の専門ドクターが、誰でも今日からすぐできる、血管が強くなる習慣を取り上げてわかりやすく解説しています。
本書は、5月24日(Amazonは5月21日)より全国主要書店、ネット書店で発売されます。興味のある方はチェックしてみてください。