一般庶民にもできる「現代アート投資」と「ベンチャー投資」
フォレスト出版編集部の寺崎です。
現在、編集部では通常の紙の書籍とは別に、並行して「ボーンデジタル」の企画を手掛け始めています。
ボーンデジタル(通称・ボンデジ)は紙の書籍ではなく、最初から電子書籍でリリースする作品のことを指します。なかなか販売予測が立てられないので、難しい世界ではあるのですが、企画アイデアを練ったり、関係者とディスカッションしていて、マスを対象にした一般流通の書籍とは違う面白さがあるなと感じています。
そもそもボンデジの狙いは「全国書店に流通する紙の書籍で刊行するほどの大きなパイは見込めないが、(少ないパイながらも)確実に読み手、買い手がいるテーマ」をまとめたコンテンツを世に出したいという、編集者魂のようなものが企画の発端でした。
企画会議で「うーん・・・パイが狭いから厳しいね」という反応をもらうことはかなり多く、いつも苦虫を噛み潰したような表情で企画書を取り下げてきましたが、これからはボーンデジタルという道があります。
電子書籍の場合、「返品」という現象がないため、理論上はほぼ半永久的に販売し続けることができます。紙の書籍の場合、発売後の2週間の売れ行きが悪いため、即返品、墓場行き・・・なんてことが日常茶飯事です。
しかも、個人的には、単なる情報をパッケージングしたコンテンツではなく、著者―読者間でなんらかの二次的メリットを有したコミュニケーションのツールとしてボンデジが活用できないかと考えています。
電子書籍の売上げはここ10年をみてもずっと上向きであることを考えると、「紙の書籍を電子化したもの」というこれまでの電子書籍の付属品的な役割を超えた可能性が生まれてくるはずです。
SNSの発達、IT技術の進展とともに「情報」がどんどんと民主化されてきました。今後もこの流れがいっそう進むと仮定すると、プロフェッショナルである出版社、編集者の役割も変わってきます。
アート投資の民主化がとんでもないことになってた
そんなわけで、いま新規で進めているのが『5万円から始める現代アート投資』というボンデジの企画です。
海外のビル・ゲイツをはじめとする富裕層の世界では、株式や債券、不動産に加えて、「資産の20%はアートへ投資」という考えが主流になってきているそうです。
世界のアート市場規模は年々右肩上がりで、中国を中心に、インド、ロシア、アラブなどのアート新興国で売買が加速。
過去にどんな作品がどのぐらい値上がりしたのかを見てみると、そのROI(投資対効果・利益率)にびっくりです。
◎奈良美智のドローイング
2001年10万円⇒2016年1500万円
150倍!
◎村上隆「マイ・ロンサム・カウボーイ」
1998年500万円⇒2008年16億円
320倍!
◎バスキア「無題」
1984年1万9000ドル⇒2017年1億1050万ドル
5815倍!
「当たればデカい!」というのがアート投資の世界ですね。「村上隆の『マイ・ロンサム・カウボーイ』(例のおち〇ちんがニョイーンとなってる作品ですね)を当時500万円で買っとけば、16億円で売れたのに!キィィ!」となっている人もいるかもしれません。
そんななか「5万円でアート投資」どころではなく、「数百円からアート投資ができる」という、とんでもない世界を見つけました。
「100円」からアートの”共同保有”と”売買”ができる革新的サービス『STRAYM(ストレイム)』です。
このSTRAYMというサービスですが、投資家の出資を募りながら、一般の人々からもクラウドファンディングを通して資金を調達しているようです3500万円もの資金を調達したこちら↓のクラウドファンディングはもうすでに募集終了しています。
これまで「アート投資」というと、お金の有り余ったお金持ちにしかできないものというイメージがありますが、「共同保有」というイマドキのシェアエコノミーの発想を導入したこのサービスは一般庶民にも「投資する資産としてアートを所有する」という楽しみが得られます。
日本国内ではこのSTRAYMのほかに、ANDART(アンドアート)という会社がアートの共同保有サービスの二強として存在するようです。こちらは「1万円から始める本格アートコレクション」を謳っています。
アンドアートはサイバーエージェントが最大出資者のようです。個人的には代表CEOの松園詩織さんという方がめちゃくちゃ美人で気になります(ナニモノでしょうか!?)。
ベンチャー投資の民主化も進む
ところで、STRAYMが3500万円を集めたクラウドファンディングのFUNDINNO(ファンディーノ)というサービスがこれまたすごいモノだと気づきました!
「次世代のスタートアップ企業の株主になれる!」が触れ込みの株式投資型クラウドファンディングFUNDINNO。「スマホで簡単ベンチャー投資」「企業の成長を支援して日本を元気に」というコンセプトです。
簡単にいうと、これは誰もが「ベンチャー投資家」「エンジェル」になれる仕組みです。しかも、たった10万円から。
たとえば、さきほどのSTRAYMの例でみると、90,000円コース (6株)、180,000円コース (12株)、270,000円コース (18株)、360,000円コース (24株)、450,000円コース (30株)とあり、「なるほど、この共同所有によるアート投資というサービスは伸びるかも。投資する!」と思ったら、ひとまず9万円払えば6株所有できるわけです。
で、STRAYMが晴れてIPO(株式上場)したあかつきには、上場益を手にできる。あるいはバイアウト(M&Aなど第三者への売却)した際には売却益を得られる。うーん、これってめちゃめちゃベンチャー投資の民主化じゃないですか。
しかも、エンジェル税制の対象となる企業に投資した場合、投資した金額に応じて所得税の優遇制度が受けられるそうです。
ベンチャー企業投資というとこれまでは数百万円、数千万円の世界で、少なくとも3桁万円はないとできなかったのが、このサービスだと「10万円からベンチャー投資」ができるのです。
個人的には、某ITベンチャーの立ち上げでストックオプションを若くして得て、株式売却後に大金をがっぽりゲットしたケースを身近にみたことがあったので、「出版みたいなオールド業界のオレには無縁な世界だなぁ」と思っていましたが、FUNDINNOのようなサービスがあると夢は広がります。
FUNDINNOに関しては、すでに日経新聞や各所でたいへん話題のようでしたが、不勉強でたった3日前に知りました。断わっておきますが、FUNDINNOの回し者ではありません(笑)。単純に「このサービスすげえー!」と思い、noteにしたためた次第です。
そんなこんなで、ボーンデジタル書籍の企画はいろいろ勉強になるし、ニッチで面白いんですよ、奥様!というお話でした。