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私とこの1冊

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フォレスト出版の編集者が自らの読書体験を公開。
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漢字を開くか閉じるか問題から端を発した日本語のあいまいさ問題

フォレスト出版編集部の寺崎です。 書籍の編集の仕事(とくに最初の原稿整理)をしていて、地味に日々迷うことがあります。 それは「漢字を開くか・閉じるか」の問題です。 漢字を「開く」というのは、漢字で表現することです。たとえば「かんじ」ではなく「漢字」と表記する場合が「開く」。逆に「漢字」と表記する場合は「閉じる」といいます。 かつて某大手出版社の百科事典の編集をしていたことがあります。百科事典の表記統一はそれこそ鬼のごとく厳しかったのですが、当時は「開く」ケースが多かっ

夏休みの読書感想文にふさわしいかどうかわからない面白い本を紹介します【前編】

こうも毎日暑いと日中は外に出たくなくなる。そうなると、クソ暑い外界を遮断して自室にこもるしかない。これぞ真夏の至福の時間だ。快適な空調が効いた部屋で、平日忙しくて読めなかった積読の本をひたすら読む。 というわけで、今日は夏休みの読書感想文の参考に「あんまり知られてないかもしれんけど、結構この本おすすめだよ」という本をいくつかご紹介しよう。 大平洋横断を手に汗握りながら追体験できる『太平洋ひとりぼっち』1962年、日本人として初めて、小型ヨットによる太平洋単独無寄港横断に成

夏休みの読書感想文にふさわしいかどうかわからない面白い本を紹介します【後編】

フォレスト出版編集部の寺崎です。 今日はこちら↓の前編に続く後編です。 いやー、まさに小学校は今日から夏休みです。いかにも夏休みらしい晴天で太陽が大地を照りつけています。こんな日はざぶーんと海やプールに飛び込むのもいいですが、冷房がキンキンに効いた部屋で本を読むのがおすすめ。 というわけで、後半いきます。 編集者は”ぜいたくな仕事だな”と思わせる『圏外編集者』この業界の人間であれば、一度は名前を目にしたことがあるであろう都築響一さんの『圏外編集者』(朝日出版社)です。

【再掲】読書感想:『女帝 小池百合子』(石井妙子、文藝春秋)をKindle版で読んだ。

都知事選が近づいてきました(2024/7/7予定)。私は都民ではありませんが、選挙をエンタメとして消費している人間なので、わりと興味があります。 さて、関連して昨日発売の「文藝春秋」にて、とんでもない記事が掲載されました。 3年前、ベストセラー『女帝 小池百合子』の読書感想文を、このnoteに記しました。その後、カイロ大学時代に小池都知事とルームメイトだったとして仮名で登場していた女性が実名を公表し、文庫化されました。この文庫化による小池都知事へのダメージは、その後の評判を

「学校に行きたくなきゃ、行かなくていいよ」と言い切れるオトナになりたい。

フォレスト出版編集部の寺崎です。 この電車広告を見て以来、気になってしかたがなかった『冒険の書』。 「最近読んだ本の中でも破壊力は抜群で危険なレベルである。私が古代中国の皇帝だったら著者ごと焚書にしているだろう」 こんな読者コメントをよそに、高らかに笑う著者・孫泰蔵さんの写真。 これ、「なんだ、なんだ?」って、気になるに決まってるじゃないですか! ・・・というわけで、昨日の夜、帰宅の帰り道に丸善丸の内本店寄って買ってきましたですよ。 読み始めました。 たしかに、

10倍速く文章を書くために、意識すべきたった1つのこととは?

フォレスト出版編集部の山田です。 企画書や報告書、プレゼン資料など、何かと文章を書くことが多い社会人。そんな中、もっと文章を書くスピードを上げて、他のことに費やせる時間を増やしたいという方も多いのではないでしょうか。 そこで参考にしたいのが、『10倍速く書ける 超スピード文章術』(上阪徹 著、ダイヤモンド社)。 著者は、他の著者に代わって本を書くブックライターなのですが、23年間1度も締め切りに遅れたことがなく、「1ヶ月15万字」「5日で1冊」を書き続けている方になりま

周りに流されない「自分軸」を手に入れるには?

フォレスト出版編集部の山田です。 「一度きりの人生だからこそ、自分らしくいきたい。」 そう考える人は、ほとんどだと思います。 一方、さまざまな情報があふれる現代において、常に「周りに流されずにいる」のは簡単ではありません。実際、私たちは大なり小なり日々多くの決断をしていく中で、自分にとって何が正解なのかわからず、頭を抱えます。そんな選択に迷った末に、いつの間にか社会や他人といった「他人軸」で決断してしまうケースも少なくないのではないでしょうか。 では、一体どうしたら周り

【フォレスト出版チャンネル#191】出版の裏側|印象に残っている本づくりエピソード

このnoteは2021年8月6日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。 20年以上やっていると、選べない!?渡部:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティーの渡部洋平です。8月6日、夏休みでしょうか。そろそろお盆がやってきますが、今日は編集者のお二人に来ていただいて、お話を進めていきたいと思います。それでは、森上さん、寺崎さん、よろしくお願いします。 森上・寺崎:よろしくお願いします。 渡部:今日のテー

オタクはなぜ、魔法少女を愛するのか?

こんにちは。 フォレスト出版・編集部の美馬です。 以前の投稿で、人生を変えた作品をテーマにいくつかの漫画やアニメを紹介しました。 休日の過ごし方と言えば、ろくに外にも出ず漫画、アニメ、ゲームで1日が終わってしまうような(もっと外に出なければと思いつつも……)自堕落な生活を送っていますが、いわゆる二次元の作品から考えさせられることも非常に多いものです。 これら日本のポップカルチャーを宗教的思考で紐解いた1冊があります。 石井研士・著『魔法少女はなぜ変身するのか』(春秋社)

誰しも人生を変えてくれた作品が一つくらいはあるのではないか。

こんにちは。 フォレスト出版・編集部の美馬です。 この業界で仕事をしていると、人生を変えた1冊は何か、なんて話になることがあります。先日編集部に仲間入りしたばかりの新入社員は、人生を変えてくれたとある著者の1冊に影響を受けて、わざわざ引っ越しを決めたと言います。 私にもそんな作品があるかもしれないと、ふと記憶を探ってみると、確かにありました。私の人生を変えた3つの作品をご紹介したいと思います。 まず、始めに言っておくと私の人生を変えてくれた作品は、ビジネス書ではありませ

読書:戦争でも平和でもない「今」と防衛費

防衛費増額の財源をどうするか、増税で対応するのか、国債を発行するのか、自民党内が騒がしくなっています。 それにしても、さすが自民党です。いや、圧倒的多数の与党だからできることですが、野党をその名の通り外野に置き、「統一教会問題」を吹っ飛ばす勢いで話題を振りまくことで、自党に注目を集めています。タブロイド紙の一面は、右寄りの夕刊フジも「自民」、左寄りの日刊ゲンダイも「自民」というわけです。 結局、法人税・所得税・たばこ税を財源にするという叩き案が出ているそうです。労働者かつ

映画『THE FIRST SLAM DUNK』公開間近!現状維持バイアスなんて吹っ飛ばせ!

いまだに「はじめの一歩」の連載を毎週楽しみしていたり、「MAJOR 2nd」の連載再開を待ち望んでいるスポ根漫画好きなのですが、比率としては人間の業とか青春の蹉跌、社会の暗部、暴力などを描いた漫画のほうを圧倒的に読んでいる中年オヤジの私。 それでも、今まで読んだ漫画の中でベスト作品は何かと問われたならば、私は迷わず井上雄彦『スラムダンク』と答えるでしょう。 私が小学5年生のときに連載が開始されたので、まさにドンピシャの世代。中学に入学して、もちろんバスケ部に入りました。ムダに

われわれの脳が1万年進化してないってマジかと思った話。

フォレスト出版編集部の寺崎です。 これまた、スゴボン(すごい本)に出会ってしまった。 アラン・S・ミラー、サトシ・ナカザワ著『進化史理学から考えるホモサピエンス』(パンローリング)だ。 この本、なにがすごいって、結論からお伝えすると、「人間は1万年前からぜんぜん進化してない」ってことを、ありとあらゆる証拠を挙げて解説しているんです。 ちょっとショックでした。 ショッキングな内容は追々説明するとして、本国でも出版に至るまで、なかなか険しい道をたどったようです。 不勉

【フォレスト出版チャンネル#127】フリートーク|編集者おすすめの3冊【3】

このnoteは2021年5月11日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。 ビジネス書編集者おすすめの小説3冊今井:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティーを務める今井佐和です。本日は「編集者おすすめの3冊」というテーマで、編集部の稲川さんとお話をしていきます。稲川さん、どうぞよろしくお願いいたします。   稲川:よろしくお願いいたします。   今井:さっそく、稲川さんおすすめの本ということなんですけども、