ADHD散歩。多摩川〜国立駅までふらっとチャリ漕いでみた~君は誰と生きるか~
AM6:00
満天の青空。土曜日といえどADHDの朝は早い。どんなに遅く寝ても、どんなに疲れてても必ず一定の時間に起きてしまう。
午前11時に「目を覚ましてよ、君の声が僕を包むyeah」とぶちかましたい人生だった。
AM11:00
リア充共が布団から這い出てくる頃、俺は洗濯を回し、ネトフリを見て、カフェで抹茶を飲みながら今日の予定を考えていた。
(風邪も治ってきたし、テニスしたいなぁ。どっかできるとこないかなぁ。)
ADHDは約束を忘れる。
だから、直前に予定を入れることが多い。
「テニスベア」で、できるとこを探すと、多摩で募集があった。
多摩は知らんなあ。まあ東京都だし大丈夫やろ。
~1時間後~
多摩ってめちゃくちゃ秘境やん。
PM 17:00
4時間の知らん人たちとのダブルスが終わり、シェアサイクリングを借りる。俺の旅はここからスタートだ。にしても、昼飯を食べそびれたので、めちゃくちゃ腹が減った。
国道をただ行っても面白くない。脇道に逸れることにした。
17:40~空腹の限界(駅捜索の旅)
なんとか駅っぽいところについた。矢川駅。
古風なエモ女子の看板が映えているが、肝心の飯屋が全くない。
今は、女の子じゃない、ごはんが食べたい(意味深)
17:59~エモい本屋発見
気になりすぎて、空腹も忘れて入ってしまった。
店主「いらっしゃいませ~・・・実は閉店18時なんですよ~」
スマホを見ると17:59
店主「ま、5分くらいならいいですよ笑」
個人の本屋には色が出る。3つのキーワードを出すなら、「ヨーロッパ」「ていねいなくらし」「自然」って感じの本屋だった。なんかいろいろ引き込まれて、結局10分以上居座ってしまった。
「あ、すいません。ま、いろいろ買うんで笑」
これだけいて買わなかったら戦犯だろう。
「ちなみに、この辺で定食とか食べられるおいしいご飯屋あります?朝食べてから食べてなくて。」
「そうね~。向かい側にあるバルがおススメよ。私の行きつけ!」
(バルってなんだっけ・・・?)
「じゃ、そこ行ってみます!」
18:15~ 紹介されたバル
「いらっしゃいませ~・・・」
店内はカウンター席のみ。常連さんらしき人が二人座っていた。
一応あだ名をつけるなら、ど天然ちゃんと、猫ミームのヤギくらいしゃべる婆としておこう。
にしても、
めちゃくちゃ酒飲むとこやないかーい!
若干の後悔がありつつも、
ゲン「あのー、ごはん食べに来たんですけど、ごはん系あります?」
店主「まあお酒飲むところだから、おつまみ系ばっかりだけど、ごはん物も一応あるよ・・・!」
ゲン「じゃあ、おなかにたまる系のやつで!笑 じゃあ、タコの炊き込みご飯と、ラザニアと、あ、実は自転車で来ててお酒だめなんですよね・・・。」
店主「水でもいいよ!」
ゲン「じゃあ。水で!笑」
もし都心のバーで水なんぞ頼んでしまったら、「お前何しに来たんや」と追い返されるであろう。多摩すばらしい!
すでに店主と常連さん二人の会話が始まっている。
とりあえずさっき買った本の世界に逃げ込む。カウンターの真ん中の席を陣取ってしまったので、嫌でも会話が聞こえてくる。ちびちびグラスの水を飲みながらやり過ごす。
ま、常連じゃない人をどうもてなすかが店主の器量ですよね。
店主「どうして、この店に入ろうと思ったんですか?」
話題を振ってくれる店主。できる・・・!
ゲン「実は、さっきまであそこの本屋さん行ってまして。んで、おいしいご飯屋聞いたら、ここを紹介されちゃったから、入っちゃったんですよ、あ、やべ。(ADHD発動)」
店主「あー、紹介されちゃったら行くしかないわよね笑」
ゲン「あー、でもこんな雰囲気いいお店入れてよかったです!」
そんなこんなでおなかにたまる系のメニューが到着
ちっちぇ!(失礼)
これは(女子の)お腹たまるやつなのよ!!
ただ、オリーブオイルが効いてておいしいし、しょうがの酸味とタコの歯ごたえがグッドだ。
おなかすきそうだったので噛みしめて食べた。
店主「どうしてここに来たんですか?」
ゲン「俺その土地を旅するのが好きなんすよごにょごにょ」
天然ちゃん「わー、かっこいい~」
ヤギ婆「私の昔はね~、ごにょごにょ、べらべら」
<5分後>
ヤギ婆「んでヤンキーの高級車に、傘でついてへこませてやったのよ!」
いや、何の話だよ!
天然ちゃん「わーすごい!でもよかったですね。傘だとへこむから(?)」
店主「どういうこと・・・?」
天然ちゃん「石とかだと傷ついちゃうけど、傘ならへこむだけだからなおせそうじゃないですか~」
店主「そういうもんだいじゃないわよ!」
どうやらこの空間で、店主だけがまともらしい。ヤギ婆の話を聞きながらラザニアを食べていたら、俺も思いついてしまった。
ゲン「店主・・・バゲット2枚もらってもいいですか?」
店主がオリーブオイルで焼き目をつけたバゲットをくれる。
しばらくすると、ヤギ婆がまた変な話。
天然ちゃんの突拍子もない返答。
突っ込む店主。
黙々とバゲット×ラザニアを堪能するADHDアラサー
うん、この空間悪くない。
店主「そういえば、お兄さんどんな本買ったんですか?」
ゲン「自転車のエッセイめっちゃ好きなんですよごにょごにょ。あとヨーロッパめっちゃ行きたくてごにょごにょ」
気づけば、ヤギ婆がそっから派生して、トルコ料理の魅力を話し始めた。
ゲン「そろそろ帰りますね!」財布を探す
店主「またよかったらきてね」
ゲン「いやー、そうっすね。」財布を探す
ヤギ婆「なんちゃらかんちゃら」
ゲン「実は明日大会なんすよ。」財布を探す
ヤギ婆「じゃあ明日早く寝なきゃじゃない!帰り道大丈夫なの?」
「あ、そういえばそっすね。」電車を調べる
ここから結構時間かかりそうだなぁ。
ま、前日に友人の結婚式でワインをたらふく飲み、フラフラになりながら大会に出た時よりはマシだろう。
店主「あれ、財布見つからない?」
ゲン「あ、そうだった。荷物だしていいですか?泣」
手始めに水筒をカウンターに出す。
ヤギおばさん「わーすごい。」
すごいってなんや。
ヤギ婆「ねえ、それ中にはいってるのなに?」
ゲン「あ、ラケットっす!見ます?」
ヤギ婆「へー、私はね、昔テニスやったことあるんだけどべらべら....
財布の感触をやっと手探りで見つけ、話の腰を折らないよう、そうっと積読でもしたかの本の山の上に置く。
ヤギ婆「んでね!....
店主「ほらほらこれじゃ帰れないんじゃないの!」
天然ちゃんは、ヤギ婆の話を無視してちゃっかりワインを注文していて、美味しそうに赤ワインを飲んでいる。
このチグハグな感じが心地よかった。
店主「じゃ、大会頑張ってね!」
ヤギ婆「きをつけてかえってね!」
天然ちゃん「がんばれー!」
三者三様の鼓舞を背に、お店を去った。
店主はもちろん、常連さんもいい感じだった。
またいつか行こう。
まとめ
バルで読んでいた「君は誰と生きるか?」という本の書き出しを要約するとこうだ。
「新しい人と出会おうとする金と時間が無駄」「一期一会で、人脈を増やしてもしょうがない。出会いを損得で考えるな。」
ゲン「そんなことないやろ!!!!」
書き出しから否定するゴミ読者だが、俺は一期一会の出会いで、自分は何かしら変化があったし、多様な価値観に触れて、成長してると思う。
著者が言っていたように、出会う人によって楽園かもしれないし牢獄かもしれない。
逆に考えれば、出会った人たちの分だけ、無数の可能性がある。
一期一会=確かに、二度と出会えないかもしれない。
でも二度目会えたらめちゃくちゃエモくない?
そんなエモさを胸に秘めながら生活してれば、めちゃくちゃ辛い時、色々失った時、まあ旅に出れば地球のどこかに自分を助けてくれる人はいるし、なんとかなるって思える。
君は誰と生きるか?
俺の数ページ読んだ答えはこうだ。
そんな未来のこと、今から決められるわけがない。
車内アナウンス「次は〜武蔵境、武蔵境」
ん?違和感。
目を上げドア上の乗り換え表を見る。
...ああ乗り過ごしてるやん。
...ぐぬう...また乗り換えなきゃか。
まあこれも、誰かと出会うための布石なんだろう。そう思うことにする。