#1 千葉大発のベンチャー企業社長馬上丈司さんに聞いたこれからの20代のサバイブ術。「出会いを増やし、ロールモデルを探せ!」
for 20's第1回目のインタビューのお相手は千葉エコ・エネルギー株式会社の馬上丈司さんです!弊社の社長でもあり、持続可能な農業として昨今注目を集める「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」について約10年前から取り組みを行っています。また経歴も異色で、千葉大学法経学部の特任講師を務めていた20代、当時の学生たちと一緒に企業。千葉大発のベンチャー企業として2012年から活動をされています。
そんな20代で起業を経験した馬上さんに、20代の羅針盤となるような経験談やマインドセットを聞いてきました。
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<聞き手・ライター:桝井孝一>
1. 20代前半の経歴
"転換期"「先生との出会い」
for20's第1回目の取材はやはり馬上さんにさせていただきたいなと思い、お声がけしました!本日はどうぞよろしくお願いします!(インタビュワー・桝井)
ありがとうございます!よろしくお願いします!(馬上丈司さん)
早速ですが馬上さんは20代前半の頃どのように過ごされていましたか?
20歳の頃に大きな転換期がありましたね。当時はサークルなど入らず特に学生生活をエンジョイしていたわけではなかったんです。そんな中で、今も関わりのある千葉大の倉阪秀史先生が顧問を務めていた 環境ISO学生委員会という団体があるのですが、そこに縁があって設立メンバーとして関わっていきました。それが今につながる最初の出来事だったと思いますね。
まさに転換期ですね。その団体に関わろうと思ったきっかけとかはあったんですか?
本当にたまたまですね(笑)当時サークルもバイトもしていなかったので「とりあえず入ってみるか」みたいな感じでした。でも今思うと自分の人生設計の中では、大きな変化でしたね。
2. 20代後半の経歴
"創業期"「原動力は"怒り"」
転換期の20代前半を終えて、20代後半はどのように過ごされていましたか?
私は大学院までいたので、チューターとして団体に所属しながら学生のお手伝いとかをしていましたね。千葉エコ・エネルギーという会社を創設してからも1〜2年は団体に所属していましたし、当時はまだまだ千葉エコだけでは稼げなかったので大学の仕事もしたりしてましたね。
千葉エコ・エネルギーのお話がでたので、せっかくなので20代での千葉エコ・エネルギーのお話をお聞きしてもよろしいでしょうか?
千葉エコ・エネルギーを作ろうとしたのが2012年の29歳になる年の誕生日前でしたね。千葉エコを作った経緯は色んなところでお話してますが、だいたいは大学にいてもこのままじゃできることないなと思ったのがきっかけですね。当時はまだ営農型太陽光発電も存在していなかったので、私は再エネ絡みの講演を受けたり、倉阪先生と東北の復興で一週間泊まり込みで再エネの連続セミナーをしたりしてましたね。
20代で起業というのは、今では珍しいことではないのかもしれませんが、当時は今ほど起業なども盛んではなかったのかなと考えます。馬上さんの中で何が一番原動力になっていましたか?
世の中にむかついていたからですかね(笑)原発事故とかみても大学や大人が何もしないし、変わろうとしないのを間近で見ていてもうここにいてもしょうがないと思いましたね。怒りというよりは蔑みに近いですかね。
3.大切にしている価値観や考え方
「座右の銘は"至誠"」
20代で起業をされてこれまで約10年弱、企業の社長としてご活躍なさっている中で、大切にしている価値観や考え方はありますか?
あらゆるものに対しての「誠実さ」ですかね。「至誠」という言葉があると思いますが、この言葉がぴったりですかね。
とても素敵な言葉ですね。この言葉を実感できたエピソードなどありますか?
それこそ今も関わってくれている創業メンバー(当時は学生)が会社設立にあたって色々と手伝ってくれたり。倉阪先生が必要なお金を出してくれたりとか。その人たちにどう報いるか。リスクをとってくれた人たちや自分に期待してくれる人たちにどう応えるかですね。
4.困難な壁にあたったときの対処法
「人に相談しない・期待しない」
当時、他に起業している方が周りに少ない中で、紆余曲折あったかと思います。そんな中で壁にあたったときに馬上さんはどのようにそれを乗り越えられてきましたか?
私はあまり人に相談しないんですよね。30代の頃は特に。自分でいかに乗り越えるかしか考えていなかった。人に期待しないというのも会社経営で学んだことですね。「期待」って勝手にするものなんですよね、相手と合意したらそれは「約束」になるので。
相談しないというのは私も少しわかります。自分もそういう気質があって、厳密にいうと「相談の仕方がわからない」のかもしれないです。そうすると自分で突き詰めて答えを出すということになるかと思いますが、答えを出す過程で参考にしたこととかありますか?
あまりないんですよね(笑)拠り所とかも特にはなく、結局は自分の人生は自分のものなので。さすがに40歳になった今では、少し変わって人に頼ることが増えましたね。
5.もし今20代に戻れるなら
○○がほしい
ここまで色々な経験談やマインドセットを伺ってきましたが、このメディアは20代に向けて発信するというのも一つのテーマになります。馬上さん自身が仮に今「20代に戻れる」なら何をしたいですか?
子どもがほしいですね。理由としては、自分が社会的立場ができたり経済力ができて可能性ができたときに、自分の子どもと一緒に何かできたら面白いだろうなと。私は自分の父親と40歳ほど離れているので全くそういうシチュエーションがなかったので。仮に今、私の子どもができても成人する頃には私60歳ですからね(笑)
6.今の20代のメリット
「選択肢を増やしやすい」
たしかに自分が40歳になって20代の子どもと何かできたら面白そうですね。20代の話題が出ましたが、今の20代と馬上さんが20代だった頃の社会や世界はだいぶ変化してきていますよね?そんな中で、馬上さんが思う「今の20代のメリット」ってなんだと思いますか?
選択肢を増やしやすいことですかね。情報量が多いので、選択肢を持てますし、色んな人とSNSで繋がりやすい。私が20代の頃はメール、あるいはmixiとかはありましたけど基本はメールしか手段がなかったので。人とあまりにも繋がりやすくなったので、色んな可能性を知る方法はたくさんあるので、もっと人生をショートカットできるようになりますよね。
7.今の20代のデメリット
「経験(特に失敗)の不足」
なるほど。最近では「成長のタイパ」という言葉も見受けられますもんね。逆に弊害もあるかと思いますが、デメリットは何だと思いますか?
経験の不足ですかね。私たちの会社の畑に来るボランティアの学生さんなどを見ていても、「そっちの方向は辛いよ」と私からするとわかっているけど何かに流されていってしまう。結局、経験しないとわからないんだろうなと(笑)「失敗した経験の不足」とそこから「リカバリーした経験の不足」ですね。逆に若い時は何も知らず無謀につっこめることが良いことでもあるんですけどね。
たしかに、若さの特権って「無知」であることだったりしますよね。今って正解がある程度探せばあるからこそ、皆「失敗」を恐れているような風潮がある気がしていて。
ただ、そういう柔軟な生き方を万人がする必要はないと思っています。色んな生き方を知っておいた方がいいとは思いますが、自分がやるかどうかは別なのかなと。
8.20代に伝えたい人生設計における羅針盤
出会いを増やして「ロールモデル」を見つけること
選択肢はありすぎるほどあるけど、選択できないという状況なのかもしれないですね。さて最後に差し掛かってきましたがこのメディアのコンセプトでもある「20代のためのライフデザイン」について、馬上さんが考える20代の人生設計(ライフデザイン)において大切なことは何だと思いますか?
出会いを増やしてロールモデルを見つけることですかね。私は大学時代それができなかったので。自分はここを目指すといった人物、歴史の偉人とかでも良いですが、「こうなりたい」がないとそうはならないというか。結婚したいから婚活をするとか、大学に入りたいから受験勉強をするというのと同じで、「自由なライフスタイルや経済力」を目指すなら当たり前ですが、それに向けて計画を立てて、それに基づいてやるべきことを実行していかなきゃできない。
なるほど。とりあえず高校3年では受験勉強するとか。目的がない場合と手段が目的になっていたりする場合は多いですよね。
そうですね。また、手段を自分なりに考えて実行している人ってほとんどいないと思います。自分なりに考えて実行して、仮にそれで失敗しても、それならアドバイスができる。だけど、そもそもアクションを起こしていない人には何も言いようがないんですよね。
「○○をやりたい」というけど何もしていない人とかはたしかに多いですよね。
そうですね。仮に「東大に入りたい」というなら君はそのために何をしたのか?まず東大を受けたのか、センター試験の点数は足りたのかなど。具体的なアクションの積み重ねが結果につながるわけで、そのためのアクションを起こしてない人があまりにも多い。私も30代で婚活をしましたけど、それは「結婚したい」という目的があったからです。当時は、じゃあ結婚する上で今まで何人の異性と出会ったのかと言われると少なかった。だから婚活をしてそもそもの出会いを増やしたんですよね。
馬上さん自身も日々、目的を定めてそれに向けてアクションなされているんですね。
9.20代にオススメしたい本
「大学時代に聖書やコーランなどの宗教書は全部読んだ」
いよいよ最後の質問なのですが、20代にオススメしたい本やサブカルチャーなどありますか?あるいは馬上さん自身のバイブルなどでも。
バイブルでいうとまさに「宗教書」。聖書とかコーランとかの類は全て読みましたね。大学図書館に全巻あったので、大学時代に「旧約聖書」「新約聖書」「コーラン」「仏典」などは日本語訳になっているものですが全部読みました。これらって何億人という人がそれを信じて人生の指針にしていますよね。世界で一番出版されているのは、聖書ですからね。それを読んでいないのも何か不思議ではありますよね。
たしかにそうですね。聖書などの魅力は何でしょうか?
古事記や日本書紀もそうですが、「歴史」が詰まっていますよね。人間ってやることとか考えることとか2000年経っても同じだよねという(笑)だいたい過去に誰かが同じことをやっていて、その考え方をまとめたものを聖典としているわけで。哲学書とかもそうですが、古代ギリシャの時代にアリストテレスやプラトンが、あれほど人生や社会についてじっくり考えているわけですから。自分が悩まなくてもいいですよね(笑)
偉大な先人たちが人間の悩みについては既に答えを出して、しかもそれを残してくれていますもんね、納得です。恥ずかしながら私も読んだことがないので、これを機に読みます!
あと一つバイブルで言うと「ラノベ」ですね。中一くらいからずっと読み続けてきていて。ある種、自分の人生のテーマは「永遠の中二病」かもしれないです!「世の中は自分で変えられるものなんだ」という、まさにラノベなんかはそうですよね。でもそれって社会でもできるよねという。20代だとちょうど「セカイ系」のはしりがあって、一番日本のラノベが盛り上がっていた時代でしたね。こういったサブカルチャーに触れていたのも大きかったかもしれないです。
人生のテーマは「永遠の中二病」、めちゃくちゃ良いパンチラインが出ましたね!聖書からラノベまで、バラエティ豊かなお話ありがとうございます。
学生時代のお話から千葉エコ・エネルギー創業、そして20代へのアドバイスやマインドセットなど、20代にとって勉強になる情報をいくつも教えてくれた馬上丈司さん。
個人的には、おすすめの本で挙げていただいた宗教書/哲学書はさっそく購入して読んでいます。このお話を聞いた中で自分の中で浮かんだのは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉でした。私もこれからは、悩んだら偉大な先人たちの教えに頼ろうと思います。
〈取材・文・編集・写真=桝井孝一〉
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