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モンテレイ、レオン、パチューカ 25年クラブW杯出場チームの現在地

2025年、アメリカでクラブW杯が開催される。
出場チームが増え、規模が大きくなることで、より注目度が高くなるであろう今大会。
日本からは浦和レッズが出場することもあり、関心がある人も多いのではないだろうか。

その浦和レッズは、今季J1リーグ14位と苦戦を強いられている。
スコルジャ氏の下、いち早くレッズらしい戦いを取り戻したいところだろう。
そのスコルジャ監督は就任にあたり、
コメントの中に「クラブW杯」というワードを入れるなど、大舞台を意識したチーム作りが進められると思われる。

浦和レッズと同様に、来季のクラブW杯に向けたチーム作りをしているのが、モンテレイ、レオン、パチューカの3クラブ。
この3クラブが今シーズンここまで、どのような戦いをしているのか、現在のチーム状況について書いてみる。


クラブW杯の新しい方式についてはこちらから↓



上位をキープ、モンテレイ

現在リーグ4位のモンテレイ。
近年モンテレイを支えたルイス・ロモ、マキシミリアーノ・メサの2人のMFが、今シーズン開幕時に退団。主力が抜けても、上位争いに食い込むそのチーム力はさすがの一言だ。

今季のモンテレイを支えるのは、スペインのラ・リーガを経験した選手たち。
2年目のカナーレスは、ベティス時代に魅せていた魔法の左足でゴールを演出。今季挙げた5ゴールは、ストライカーのベルテラメと並んでチームトップだ。
また、9月に加入したばかりのオカンポスは大きな補強となった。
セビージャから加入したFWは、リーグ戦第8節でメキシコデビュー。
チームにも徐々にフィットしており、試合を重ねるごとに存在感は増している。先日のティグレスとのダービー戦では、PKで得点を挙げた。
彼が完全にチームにフィットすれば、ベルテラメと共に強力なツートップとなること間違いなしだ。

しかし、そんなモンテレイにも懸念点がある。
それは、短期決戦の戦い方だ。

2ステージ制を設けているリーガMXでは、リーグチャンピオンはプレーオフによって決まる。モンテレイは、毎年リーグ戦で上位に入るも、そのプレーオフで結果を残せず、リーグタイトルから遠ざかっている。
8月に行われたMLSとのカップ戦「リーグスカップ」でも、トーナメントで早々に敗退した。
クラブW杯は、1ヶ月の短期決戦。
苦手とする短期決戦をどのように戦うかが、1つポイントとなる。

その前に、11月からリーガMXアペルトゥーラ(前期戦)のプレーオフが始まる。
ここで、昨シーズンまでとは違う結果を残せるのか。まずは、ここで短期決戦の苦手意識を払拭したいところだ。

ティグレスとのダービー戦↓


調子上向きのレオン

レオンは今季、開幕ダッシュに失敗した。
公式戦初勝利は国内リーグで最も遅く、監督交代も経験。

苦戦した原因の1つが主力選手の流出だった。
レオンの守護神であったコタがクラブ・アメリカへ移籍、次世代のメキシコを担うと言われているアンブリスもモンテレイへ移籍した。

開幕からリーグスカップを含む10試合勝ちなしであったが、10月から、チームは少しずつ調子を取り戻してきた。
そのきっかけとなったのが、ベリッソ氏の監督就任。アルゼンチン国籍の彼は2007年から指導者となり、クラブチームはもちろん、チリやパラグアイ代表の監督も務めた経験を持つ。
豊富な経験を活かした手腕により、チームの戦い方は整理され、攻守が嚙み合うようになってきた。

その結果、リーグ戦ここ7試合負けなし、13得点7失点と、レオンの持ち味の安定感を発揮し、リーグのプレーオフ圏内も視野に入ってきた。

10月26日のケレタロ戦では、4得点を挙げ快勝。
その試合後、ベリッソ監督は

"Creemos en nuestro plan de partido y confiamos en lo que hacemos y lo que tenemos."
「我々は自分たちの戦術を信じ、自分たちが持っているもの、トライしていることに自信を持っている。」

https://zonafranca.mx/deportes/leon-se-gano-el-derecho-a-ilusionarse-dice-eduardo-berizzo-tras-golear-a-gallos/

とコメントした。監督に就任して約1ヶ月半。チームの戦い方に手ごたえを感じてきているようだ。
安定感を取り戻してきたレオン。チームは次のフェーズへと進んでいる。

ベリッソ監督


”これから”に勝負をかける パチューカ

あの本田圭佑さんが在籍していたパチューカ。
今季は十分な力を発揮できない試合が続いている。

2勝8敗4分けで現在15位。
前節までの5試合は4敗1分けと勝ちから遠ざかっていた。

“El Pachuca de Guillermo Almada atraviesa un momento complicado y lejano a sus mejores exhibiciones.”
「ギシャルモ・アルマダ監督が率いるパチューカは困難な状況を迎えており、最高のパフォーマンスには程遠い。」

と現地メディアも厳しい目を向けている。

昨シーズンは、リーグ後半戦を5位で終え、Concacafチャンピオンズカップでは優勝を果たすなど、今シーズンにかかる期待は大きかった。

が、ふたを開けてみると、安定感に欠ける戦いが続いた。
リーグ戦第14節終了時点で、14試合中複数失点を喫したのは9試合。守備に気を取られる時間が多く、自慢の攻撃力は影を潜めた。
リーグ前半戦(アペルトゥーラ)のプレーオフ進出の可能性もなくなった。

しかし、ギジャルモ監督のコメントには、チームに対する悲観的なものはなかった。
昨シーズンの快進撃もあり、オフシーズンは極端に短かったからだ。そのため、選手が十分な休養を取れず、次シーズンに向けた準備も難しい環境にあった。
クラブ・アメリカが今季上位争いに加われていないのも、その過密日程に問題があったと言われている。
これは、近年のメキシコサッカーの課題の1つでもあるのだ。

"Es un alivio, porque vamos a alinear a los jugadores con todo el tiempo que no tuvimos y llegar fortalecidos, pensar en recuperarnos y regenerarnos y no castigarnos."
「(パチューカがプレーオフを戦わないことに)安心しています。(プレーオフ期間中の)全ての時間を使って、選手たちのコンディションを整えられれるからです。自分たちを責めることなく、コンディションを回復させ、もう一度戦える状態に強化していきたいと思います。」

https://www.msn.com/es-mx/noticias/mexico/guillermo-almada-se-sincera-de-más-es-un-alivio-no-ir-a-liguilla/ar-AA1t2lHV

と、ギジャルモ監督。

そんな中、先日のリーグ戦では復調の兆しも見せた。
ホームでのネカクサ戦、これまでの鬱憤を晴らすかのようなゴールラッシュで6試合ぶりの勝利。エースロンドンがハットトリックを記録するなど、久々の明るいニュースとなった。

12月には、北中米チャンピオンとして「FIFAインターコンチネンタルカップ」に参戦する。
それ以降の戦いに照準を当て、一度リセットして本来の力を発揮できる状態に上げることが今求められている。

6得点を挙げたネカクサ戦↓

進化を続けるメキシコクラブ

クラブW杯開幕まで、あと約8ヶ月。
その間、リーグ戦、カップ戦、国際大会、選手の移籍、過密日程といった、あらゆる状況がメキシコの3クラブの前に立ちはだかる。
それらを乗り越えるためには、時にスタイルを大きく変え、来年は違ったチーム状況になるということも想像できる。

そのためにも、この3クラブには引き続き注目していく必要があるだろう。

フットボールチードでは、今後もモンテレイ、レオン、パチューカのチーム状況を追い、この note や X を通じて定期的に発信していく。
来年、この3クラブがどのようなチームになっているのか。
進化が止まらないメキシコクラブに注目だ。

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