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パーソナライズされた食品〜心を養うこと

Mintelという会社から、なかなかエモい2021年の食トレンド予測が発表されました。記事中では以下の3つのトレンド軸が紹介されていました。

Feed the Mind(心を養う)
Quality Redefined,(再定義された品質)
United by Food(食で繋がる)             
※日本語は私の意訳

今回は特に私の心に響いた言葉「Feed the Mind」というフレーズを深掘りしながらお話していこうかと思います。

※今回Feed the mindの訳は「心を養う」としましたが、日本語のニュアンスは「精神(メンタル)を養う」の方が近いニュアンスだと思います。

● パーソナライズ食で心を養う

2020年、世界中の人たちの生活スタイルが激変し、食が「メンタル」や「エモーショナル・ヘルス」に与える影響が注目されています。

例えば、今までは「なんとなく、ハーブティー飲むと寝つきよくなるよねー」ぐらいのふわっとした共通認識だったものが、「胃腸が悪くて、低気圧で頭痛が頻発する私の心と体を癒してくれるフレーバー紅茶はコレ」など、より具体的なシチュエーションを想定した製品が増える可能性が高いです。

このような、個人の嗜好性や体調などに合わせて作られている食品を「パーソナライズ食品」と呼びます。

完全にパーソナライズされたもの(いわゆる完全オーダーメイド食品)はまだ国内にはほとんどありませんが、ルピシアさんがやっているようなある程度の範囲の決め細かい商品展開なら、大企業も徐々に参入するかもしれません。

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工場をスマートファクトリー化して、精度の高い需給予測、少量多品種でも無駄のない製造ライン構築等ができれば、大手企業でもパーソナライズ食ロングテール品(売れ筋ではないニッチな商品)で利益を上げる事はおそらく可能です。

NTTデータさんが作成した動画、「The future of food」では、毎日その時々に最適な食べ物をアプリが提案・ボタンひとつで宅配(または駅で受け取り)、自分の便尿データもトイレで自動測定して健康管理など、健康志向×フードテックの未来が描かれていました。私自身このような未来が間近に迫っているな~と感じています。

●食×体験

中国で話題のチーズティーのお店、HEYTEA (喜茶)とMANITOがコラボして発売した "a black gold gift box" は、水々しいグレープの香りがするキャンドル、香水、さらにアイマスクがセットになっています。HEYTEAはチーズティーの会社ですが、このようなフレグランス商品を出しているのは「体験価値」を追求する戦略あってこそ、です。

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引用:A black gold gift box (中国にて購入可能)

オンラインのバーチャル体験 × オフラインのリアル体験(食事)も注目すべき分野です。アドレナリンが出るようなエナジー・スナックを貪りながらオンラインゲームに興じたり、チル系のドリンクと、瞑想やヨガなどのリラクゼーションを組み合わせるなど、いろいろ出てきそうです。

こういった商品が増えてくると、よりパーソナライズ化が加速されます。

Foodclip代表の渥美さんがおっしゃっていたチルアウトの概念も、ある意味、体験(チルアウト)× 食のコンビネーションだと思いました。リラクゼーションだと古い感じ・・・マインドフルネスだと意識高すぎる・・・チルアウトってちょうどいい感じの響きだな、と思いました。

機能性面だけで日本の加工食品を見た場合、実はコロナ前からリラクゼーション効果の高い成分を配合した商品等は多くあります。

例えば、GABAと呼ばれる抑制性作用を持つアミノ酸は、神経の興奮状態を鎮めたり、リラックスさせてくれる効果があり、様々な加工食品にも配合されています。

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写真:グリコ社のメンタルバランスチョコレート・GABA

香りで言えば、下記のような香りを使ったコンセプト紅茶は、スーパーやドラッグストアでも多く見かけますよね。

不安解消・抗うつ効果:ラベンダー、ベルガモット、ジャスミン、ローズ・・・、安眠効果:ジャスミン、カモミール、ネロリ・・・
抗偏頭痛:オレンジ、レモン、ベルガモット、ラベンダー、ペパーミント・・・
                    出典:においとかおりの本(倉橋隆)

香りは色や質感(みずみずしい香り、重たい香りなど)と連想されるので、「エモーショナル・ヘルス」というコンセプトでは最重要項目の1つだと確信しています。

最後に・・・

「食」と「体験」を融合させて消費する事を想定された食品に関しては、業界内ではずっと注目されていました。特に、各個人の健康や体質に合ったパーソナライズ食は、テクノロジー×食の注目分野ですので今後も注目の分野です。コスト、利益性など今でも問題は山積みですが、ぜひこのような商品が日本でもたくさん生まれて欲しいと思っております!

皆様も年末年始は食を通して、ご自身の体だけでなく、「心」にも栄養を与えてあげてください。


おしまい

参考:MINTEL ANALYSIS: 2021 GLOBAL FOOD & DRINK TRENDS (2020.12現在)







お気持ちだけでも十分嬉しいです!ありがとうございます。