【Vol.1】個人経営でカフェを開業した場合、年収1,000万円は実現可能か?
本記事をお読みの皆様、こんにちは。
都内のデベロッパーで働く食べ歩きが好きな会社員です。
Twitter(@foodgasm_jpn)をフォロー頂いている方は既にご存じかと思いますが、私は普段から好んで食べ歩きをしておりまして、素敵な飲食店やカフェの情報を日々SNSで発信しております。
処女作で執筆した「生粋のCafe-hopperが本気で推す都内のお洒落カフェ160選」は、有難いことに執筆から約1ヶ月で約12,000PVを獲得する程多くの方々にご覧頂けております。
関連記事として「生粋のCafe-hopperが本気で推す関西圏のお洒落カフェ88選」や「生粋の美食家が本気で推すジャンル別オススメの飲食店(全国版)」と共に、以下リンクを掲載しますので、ご興味のある方は是非覗いてみてください。
そんな私の将来の夢の1つに「将来のお嫁さんと(愛犬と)一緒にカフェ経営する」という夢があります。ツッコミどころ満載ですが、割と本気でやりたいなと思っています。
私がCafe-hopperを始めたきっかけも、数多くのCafeや喫茶店を実際に訪れて千差万別の珈琲を試飲し、時にはカフェオーナーの方々と色んな会話をしながら、自身の感性を磨くことで、将来的なカフェ開業、更にはその後の経営に役立てば良いなと思って始めたことがきっかけでした。
このような夢を目指すきっかけについても語りたいところですが、ここで語ってしまうと分量が増えすぎてしまうため本記事では割愛させて頂きます。
上述の通り、将来的なカフェ経営を志す私ですが、TwitterのTLを見ていてふと疑問に思いました。
しばしばTwitterのTLでも話題にあがる「年収1,000万円」というワードですが、仮に自身がカフェを開業した際に現職と同等の給料水準を維持することは可能か、と疑問に思いました。
勿論、純粋な給与以外にも、会社員と個人事業主(もしくは法人)の間には、福利厚生や節税メリット等の労働者を取り巻く環境に様々なメリデメがあるため、両者の年収を偏にApple to Appleで比較することは難しいことは認識しておりますが、単なる興味本位で確認してみたいと思った次第です。
なお、カフェ業界は長きに渡って大変人気の業界であるものの、日本におけるカフェの店舗数はピーク時の1981年から2015年にかけて半減、更にカフェの閉店率は開業後2年間で約50%とも言われるほど経営が難しいと言われている業界でもあります。
大変お恥ずかしながら、カフェ経営を志しているにもかかわらず、カフェ開業やその後の経営に関する知見が現状全く無いこともあり、今後は本記事を初版として、カフェ開業に向けた日々のインプット・アウトプットや頭の整理にNoteを利用していきたいと思っています。
さて、繰り返しになりますが、本記事では題目にもある通り「個人経営でカフェを開業した場合、年収1,000万円は実現可能か?」について、そのフィジビリティ(実現可能性)を検証していきたいと思います。
はじめに
本章では、本記事の前提整理と章立ての確認をしていきます。
まず、問題提起でもある「個人経営でカフェを開業した場合、年収1,000万円は実現可能か?」について、かなりファジーな表現になっているため、以下の通り詳細条件を定めました。
本来であれば経常利益をピックアップした方が良いかとは思いますが、営業外収益・費用までを含めると話が煩雑になるため、ここでは営業利益とさせてください。
なお、カフェ開業に当たっては幾らかの開業資金(イニシャルコスト)が掛かりますが、今回は個人事業主としての営業利益との比較になるため、開業資金は比較対象外とさせて頂きます。
恐らく開業資金の幾らかは銀行等の金融機関より融資を受けることになるかと思いますが、支払利息を除いて銀行借入金返済額はPL項目には含まれないという認識です。
実際のところは設備工事費や内装工事費、その他10万円以上の備品に係る開業資金は減価償却費としてPLには登場することになると思います。
開業当初は減価償却費相当額が手元に残るため、その相当額を銀行借入金返済額に充当していくことになるかと思いますが、キャッシュフロー上の現金は大切にマネッジをしなければ償却終了後の返済額が後々厳しくなるかと思いますので、その点にも留意が必要ですね。
少し脱線しましたが、開業資金については、どの範囲までA工事で見積もって貰えるか(C工事範囲を如何に狭めることができるのか)、内装工事を自前でどこまで作り込めるか、その他備品に係る費用をどの程度圧縮できるのか等、物件オーナーとの交渉次第で大きく左右されるため、ここでは対象外としたいという意図です。
カフェの開業にかかる必要資金や必要手続きについては、別記事で纏めようと考えていますが、詳細について以下のリンクよりご確認ください。
以上の前提確認の下に、以下の章立てにて進めていこうと思います。
では、本題に入っていきましょう。
1. 一般的な飲食店の利益構造
本章では、一般的な飲食店の利益構造を確認していきたいと思います。
以下様々なWebサイトを参考に一般的な飲食店の簡易的なPLを作成し、支出項目の項目出しと構成比を大まかに設定してみました。精緻に作成しようとするときりがないので、このくらいの精度でお許し頂ければと思います。
大体こんな感じでしょうか、、
各種保険料やその他初期条件、諸雑費については、完全に感覚任せで数値設定したので確度はかなり低いかと思いますが、ご了承ください。
ちなみに、「FL比率」とは「売上高に占める食材原価(Food)と人件費(Labor)の比率がどれくらいか」という指標になります。詳細は以下のリンクよりご確認頂ければと思います。
なお、以下の資料は、スターバックスコーヒージャパン㈱の2019年度決算公告の一部抜粋になりますが、粗利率72%・営業利益率9%、FL比率は55%(F:28%、L:27%)・家賃比率11%の水準とのことなので、カフェ業界大手であるスターバックスと横並びで比較しても決して罰当たりな構成比ではないかと思います。
ただ、スターバックスの原価率は約28%とのことですが、同じくカフェ業界大手の㈱ドトールコーヒーの原価率は約41%だそうです。
業界大手2社の原価率に約13%もの乖離がある要因について、両社の資本力や商品開発力の実力差もあるかと思いますが、最も大きい要因の1つに両社の「FD比率」にあると推測します。
「FD比率」とは、「食材原価に占める食事(Food)と飲み物(Drink)の比率がどれくらいか」という指標です。
調べてみたところ、スターバックスのビバレッジ・ドリンクの売上構成比は約74%で、これは他のカフェやレストランチェーンと比べ、圧倒的に高い水準となっていました。
これは、フラペチーノなどのシーズン限定ドリンク商品の重点販売施策などに起因しており、フードメニューよりも原価率が低いドリンクメニューの売上構成比を高めることで、店舗全体の原価率抑制を実現しているとのことでした。
ここまでの情報は以下のWebサイトより引用しておりますので、興味のある方は覗いてみてください。
さて、本章では一般的な飲食店の利益構造を確認してきました。
次章では、本章で作成したPLを基に、年間営業利益が「1,000万円」である場合の各支出項目の想定値を割り戻し、「カフェ経営で年間営業利益1,000万円」のフィジビリティ(実現可能性)を確認していきたいと思います。
2. カフェ経営で年間営業利益1,000万円は可能か
前章では、一般的な飲食店の利益構造を確認してきました。
本章では、前章で作成したPLを基に、年間営業利益が「1,000万円」である場合の各支出項目の想定値を割り戻し、「カフェ経営で年間営業利益1,000万円」のフィジビリティを確認していきたいと思います。
年間営業利益から各項目を逆算しているためツッコミどころは満載ですが、年間営業利益を「1,000万円」と設定した場合、月商つまり月間店舗売上は約1,040万円(1日当たり約35万円)となりました。スターバックスにおける1店舗当たりの平均月商が約1,100万円程度(2019年度実績)なので大体同じ規模感ですね。
本来、飲食店の賃料条件は「最低保証+変動」となる場合が多いですが、今回は計算しやすいように「固定」での握りとしました。
都心の好立地における賃貸物件の坪単価を@2.5~3万円/坪と仮定すると、大体40~50坪程の賃貸面積で坪効率は@20~25万円/坪となります。
一般的に飲食店では「席数=坪数×1.2~1.5」「満席率は65~70%程度」と言われているため、どの程度バックヤードを確保するかによりますが、仮に客席面積を40坪と仮定した場合は席数は大体50~60席程度。客単価1,000円・満席率70%だとすると、席効率は@8~10回転/席となりますね。
つまり、上述のPL構成比を基に、年間営業利益を「1,000万円」を達成する場合の経済条件を逆算した場合、以下のような数値設定となります。
この想定経済条件①だけを見ると、年間営業利益を「1,000万円」を達成することは、個人経営での開業第1店舗目ということを考えると「極めて難しい」というのが正直な感想です。
しかしながら、一括りに飲食店といっても飲食ジャンルや営業形態によって利益率ならびに各支出項目の構成比もまちまちかと思いますので、上述のPLを現実的な仕様にリバイスしていきます。
リバイス後の構成比を基に、再度想定経済条件を逆算すると以下のような数値設定となります。
賃貸面積は約10坪と条件①の1/5程度となり、個人経営でカフェを開業するにあたっては現実的な数値となりますね。また、賃貸面積を10坪程度に抑えることで、以下のようなメリットがあると考えています。
その一方で、その他の諸条件に着目するとまだまだ多くの懸念点もあります。
上述の懸念点にもある通り、自明の理ではありますが、席効率をより現実的な数値にした場合、「如何にして安定した客数を確保するか」または「如何にして原価率を下げていけるのか」がカフェ経営をしていく上で最も重要な視座になるのかと思います。
今フラッシュで思付く限りでは、夜間のアルコールを提供(カフェ&バー展開とすることで夜間顧客の獲得を促す)やテイクアウト・物販の売上比を向上、実店舗以外での販路拡大等が有効施策、むしろ必要不可欠かと思いますが、実際やってないと分からない難しさが数多くあるんだろうなと思っています、、
最後に
本記事の内容は以上となりますが、「個人経営でカフェを開業した場合、年収1,000万円は実現可能か?」という問題提起については、不可能な水準ではないが「非常に難しいのでは、、」という結論になりました。
なお、本記事を纏めていく中で、このフィジビリティを高めていくためには、以下の観点が非常に重要だと感じました。
繰り返しになりますが、本記事は「単なるCafe好きのメモ書き」ですので、確度の低い箇所が多々あるかとありますが、その点はご了承ください。
本記事の内容は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございました。
なお、続編として『【Vol.2】日本のカフェ業界におけるトレンドとは 〜様々なカフェや喫茶店のコンセプトを纏めてみた〜』も執筆しているので、もし宜しければ覗いてみてください。
最後になりますが皆様に何点かお願いです。
他にも色んなテーマで記事を書いているので是非読んでみて下さい。