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「独立」を作っていくということ

企業で働く僕が「独立」を本気でかんがえた時、見えた世界は、想像してたものとは全く違いました。
まだ独立はできていません。未だ企業料理人として働いていますが、
30代の絶対の目標として今も日々取り組んでいます。
その中で気づいた「思ってたのと違う独立の形」を記します。

「独立」ってそもそも何?

料理人にとっての独立とは個人事業主になることが第一段階だと思います。

これが意味することは、社会的に自分の力で稼いでいくということを指しますが、料理人にとって最も重要な事は
「自分が今まで培った能力で生きていく」と言うことです。
企業で働く料理人にとって企業とは

自分の能力の足りないところをカバーしてくれる存在であり、隠れ蓑でもあります。


仕事をしてもしなくても毎月給料が振り込まれる、クリエイティブでもクリエイティブじゃない仕事でも毎月一定の給料がもらえる。

この状況は世間的にみると安定している環境だと思います。

その反面、独立を考えて収入が一定ではなくなる恐怖は正直あります。

しかし、料理人として道を歩み続けた中で自分が世間にとってどんな存在になれるのか、

自分が「どんな料理人」で、「自分の料理」がどんな人に受け入れてもらえるのか

と言う事は企業で働く料理人にとっては考える機会が少なく、なかなか難しいものと思います。


それは、企業で働く料理人はオーナーや料理長の決めたメニューをただこなすと言う役割も持っているからです。

独立を考えて見えたこと

僕が独立を考え、見えてきたことが1つあります。
それは今まで考えていた独立と言うものは、

自分の料理を出す場
のみでした。

詳しく言うと、独立を考えていないときに思い描いていた「独立」と言う形は自分が得意な料理を人に提供する場と言う

料理人からお客さんへの一方通行のような店

を想像していました。

しかし本当に独立と言う目標を掲げた今思うのは、

自分が料理人としてどんな存在なのか、自分が料理人として世間の人のニーズにどうやって答えれるのか

を模索してからじゃないと独立は始めないと言うことでした。


ただ得意な料理があるから、自分が作る料理はこういうものだから。
と言ういつまでも自分主体の思い込みの料理では絶対に店はやっていけないと思いました。


料理人にとって自分の店を持つと言う事は、料理もさることながらその店の雰囲気、店の内装、皿の個性、など様々な要因が絡んで最終的にそれが1つの皿としてお客様に提供される場だと理解しました。


真剣に「独立」について考えていなかった頃は、「総合的に作る店」と言うものは、いかに自分の個性が反映される場であるかはわかりませんでした。

企業料理人であればただ料理のことだけ見ていれば良い。

しかし企業料理人から独立を考えて今、逆に料理の事はあまり重要でないのかと考えています。


もちろんプロの料理人として一皿に対する思いはこれまでと変わらない、もしくはこれまで以上の意識は持ち続けます。


しかし「自分の店を持つプロの料理人」と言うものは料理1皿だけではなくその空間のデザインやその空間がお客様にとってどういうものであるかもしっかり把握しないといけないことを改めて思い知らされました。


現在は、料理だけに個性を乗せられる料理人になるなのではなく、

料理を通じてお客様にどのように自分の個性を体感していただくか、自分が作り上げた店でどのようにくつろいでいただくか

も総合して考えなければいけないと思い自分探求から始めています。


今までみたいにただぼーっとテレビを見たり料理本を眺めているだけでは最終的な到達地点は1皿の上でしか成り立たないし、その1皿も誰に向けてなのかと言えば自分にとっての自己満足の1皿でした。


「独立」を考えた今、自分自身にしっかりと向き合い、自分がそもそもどういう人間なのか どういった料理人なのか を真剣に考える機会が持てたのはとてもいい機会だと思っています。

今までは料理以外に趣味もなく、自分が他にどんなものに興味があるのかもわかりませんでしたが、そんな深層心理に触れた自分探しも「独立」を考えたからできたことだと思います。

もう「瞑想」に近いです。


その反面、多くの料理人が「個性」というものを料理に反映することができるけど、反映させた料理から自分とはどういった人間なのかという復習をする事はなかなかないと思います。

「独立」を通じて、食材を調理し1皿に集約すると言う事だけでは終わらずに、そこにできた作品から自分の良さ悪さをもう一度再確認すると言う自己成長サイクルが得れたと思います。

この考え方は、料理本を見てアウトプットするだけと言う一連の流れを壊し、その行動が将来の自分にとってどういった影響与えるのかも再確認できる

そしてまた成長し、同じ行動をとるきっかけになったかと思います。

きっと料理人にとって独立と言うものは、

自分の得意な料理をお客様に提供する場であるのは変わりは無いけれど、
本質は、店を通していつまでも自己実現を続けていく場で

日々の全ての行動をブラッシュアップし、成功に向けて理由付けをしていく いわば料理人の自己進化形態であるのかなと思います。

最後に

料理人として独立できることを誇りに思いますし、本当に楽しいです。


2020/1/14

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料理人のキムラ
働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。