「自分の料理」ってなんなのか考える。
前回は「独立」にあたっての料理人像のようなことを書きました。
次は見せて出すメニューについて考えてみます。
メニューって一体なんだ?
和洋中、ファーストフードや製菓店
どんなジャンルの飲食店にも必ずある「メニュー」
店の扉をくぐるとお客さんは提示されたメニューから自分が食べたいものを選びます。
「メニュー」は店の顔であり、その店の将来の可能性です。
その一方で、客層を絞り込む要素も含んでいます。
メニュー作成の裏側
僕は今までフランス料理を中心とした地中海料理を幅広く勉強し、その先々で各ジャンルを修行してきました。
そのため、固定観念にとらわれることなく、いろんな国の調理法を料理に組み込めるという柔軟性も少なからず身につけれたと思っています。
しかし、実際に店を持とうと考えたら、前述した通り、
自分が何者であり、どんな料理人なのか、
そんな自分からお客様にどういった驚きと感動を一皿に乗せて提供できるのか
というコンセプトが先に来ます。
このコンセプトが決まったら次はメニュー作りです。(物件探しや資金調達はここでは除きます)
コンセプトのフィルターを通し、お客様に対しての自分なりのメッセージ性(提供する料理)をコンセプトに沿って決めていく。
この流れは本当に大変なものです。
私は今、自分の店を気軽に寄れて一口で楽しめる料理とお菓子のお店にしたいと考えています。
街のインフラになれるように、そのためにはわざわざいくというよりはコンビニのようにふらっと寄れる存在に。
そうなったらプチガトーのような一口二口で食べれるような商品の方が好ましいし、お土産にも適していると思ったからです。
こういった店の方向性が決まってくると、今までやっていたフランス料理の技術経験は大幅に狭くなります。
皿のサイズも小さくなるし、一人当たりのポーションも小さくなる。
そこに対応できる能力はプティフールの能力や前菜の能力出会って、
魚料理 肉料理の能力はすこし合わなくなってきます。
そんなあらかじめ経験値が半減した状態で、自分自身の個性も載せていきます。
そんな大変な作業の中に「自分らしさ」を載せるのは今まで経験のないことだし、常に試行錯誤の連続です。
そして出来上がった品をメニューに載せて店をオープンする。
多種多様なお客様のニーズがある社会の中で、コンセプトに沿ってお客様が絞られる。
そこからまたメニューの選択肢を狭め、手に取ってくれたお客様がまたきていただけるように努力する。
常連となっていただけるお客様は本当に数限られた存在なのだと、店を持つ前から実感させられます。
しかも料理の試作は一回で決まることはまず無く、何回も失敗して、気づき、試し成功します。
現在の自分
そういった流れを見ていると、どんな瞬間も真剣に考えないといけないし、気を抜いている暇はありません。
私は現在、「自分らしさとは何か」から探し始めているので、メニュー作成にたどり着いていません。
「自分らしさとは何か」がこれほど大事だと思っていなかった最初の頃は、
自分の得意な料理をワンオペで回せる段取りとともにメニューにすらすらとかけていました。
しかし、きっとこの考え方にはやっつけ感もあるし、店全体のコンセプトがその都度食い違ったりズレたりする可能性があり、将来性は見込めないので、「自分らしさとは何か」を重視しね現在はゆっくりだけど確実に一歩ずつ進んでいます。
歩みは遅いけど、きっとこのプロセスをないがしろにしたら、近い将来どんな店なのかわからなくなってしまう。
改めて思うこと
僕らが普段何気なく店に入り目にするメニューにも、そのオーナーのコンセプトやどういった料理であるかが本来は色濃く表れている。
しかし、メニューを目にするお客さんにはそんなことはわからないし関係ない。
お客さんにはわからないから関係ないからと言う気持ちで料理人がメニュー作りをしているときっとその背景にあるコンセプトにも影響が出てくると思う。
目に見えないところだからこそこだわり、しっかりとした考えのもとメニュー作りを進めていくことが本当に重要なのだと思う。
2020/1/15