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【読書日記】なぜ悪人が上に立つのか: 人間社会の不都合な権力構造

なぜ権力は腐敗するのか?
なぜ悪人は権力に
引き寄せられるのか?

それよりも問題は
私たちが悪人に権力を
与えがちなことです。


こんにちは。
読書セラピストのタルイです。

今回は私が今年読んで
一番面白かった本を紹介します。


なぜ「悪人」が権力を握るのか?


権力と腐敗の関係は、
古くから議論されてきたテーマです。



権力を持つと人は堕落しやすいのか?


それとも

最初から腐敗しやすい人が
権力を求めるのか?



本書は、この問いに対し
進化心理学や組織論
社会心理学の視点から
多角的に迫ります。


例えば、
私たちが「カリスマ性」
「決断力」に惹かれ

不適切なリーダー
選んでしまう理由や


組織の構造が
不正を助長する仕組みなどを
解き明かしてます。


権力が腐敗する理由について
本書には興味深い
4つの仮説があります。

1. 権力が人を腐敗させる
権力を持つと、人は不正行為や自己利益の追求に走りやすくなる。
2. 悪質な人が権力に引き寄せられる
権力は、もともと腐敗しやすい人々を引き寄せる。
3. 不適当なリーダーを選びがち
私たちが不適当な理由で不適当なリーダーを選び、彼らに権力を与えてしまう。
4. 制度の影響
権力の腐敗は制度次第であり適切な制度があれば腐敗は防げる。


私は本書を読んだことで
自分の中にあった
以下の5つの疑問が解けました。

⚫️なぜ、トランプが新大統領に当選したのか?
⚫️なぜ、政治家は不正ばかりするのか?
⚫️なぜ、独裁者は支配し続けるのか?
⚫️なぜ、企業の役員はサイコパスが多いのか?
⚫️どうやったら腐敗しない人を権力者にできるのか?

今回はこの5つの疑問に対して
本書から得た知見をまとめてみました。

◆〈私の疑問①〉なぜハリスは敗れてトランプが勝利したのだろうか?

世間一般に言われていることは

トランプ新大統領は経済と国境安全保障を強調して支持を集めたが、その一方でハリスはこれらの問題に対する有効な対策を示すのに苦労して支持を失ってしまった

のような分析がされてます。


ですが
私が本書を読んでみて思うのは


もっと単純だけど
根深い理由があると思ったのです。


もちろん本書には
トランプが当選した理由は
書かれてません。

私は以下の3つが理由ではないかと
推論します。

①トランプは身長が高いから

人類は、背の高い男性をリーダーに
選びがち
なんだそうです。

これは、石器時代において
背の高い男性が
優秀な戦士や狩人であったため


リーダーシップと結びつけて
認識するようになった
名残だと説明がありました。


もちろん現代社会では
身長とリーダーシップ能力の間に
直接的な関係はありません


しかしこの
「進化のミスマッチ」により

背の高い男性が
リーダーに選ばれやすい
傾向は
依然として存在しています。



ちなみにトランプ新大統領の
身長は190センチだそうです。




②トランプはサイコパスだから

サイコパスという言葉は
しばしば犯罪者や
反社会的な人物を
連想させますが

実際には
必ずしもそうではありません。


彼らは社会の様々な場所で存在し

その特性が
成功を後押しする場合もあります。


本書によると
刑務所にいるサイコパスは

自分の特性を隠すのが下手だった
いわば
「しくじりサイコパス」なんです。


サイコパスは
表面的な魅力や冷酷さを
持ち合わせており

巧みに社会に溶け込み
権力のある地位に
就きやすい傾向
があります。


脳科学者の中野信子さんも
断定してますが

おそらくトランプ新大統領は
サイコパスでしょう。


あとこれは余談ですが、

歴代アメリカ大統領は

サイコパスの度合いが強い
大統領ほど、
高い評価を受けている

ことが突き止められてます。




③トランプは自信過剰な人だから


人類は自信過剰な人を
実際以上に有能だと
認識してしまう傾向があります。

トランプ新大統領は
政策や外交においても
「アメリカ第一」を掲げて
大胆な決断を躊躇しません。


公の場で自身の誤りや
失敗を認めることはほとんどなく

あくまで自分の正当性を
主張し続ける傾向があります。

メディアや政敵に対しても
強い言葉で応酬するスタイルが
特徴です。

この傾向は、
ミーアキャットの行動にも
見られるそうです。


ミーアキャットは群れで生活し
危険を避けたり、
食べ物を探したりするために

お互いに「ムーブ・コール」という
声を使って
コミュニケーションを取ります。

この中で、
他の個体が誰の声に従うかを
決めるポイントが

「自信ありげ」
見えるかどうかなんだそうです。




④女性よりも男性をリーダーに選びがちな傾向

https://www.yomiuri.co.jp/world/uspresident/20241107-OYT1T50178/

本書では、
女性よりも男性をリーダーに
選びがちな人類の傾向
について

進化的な要因を指摘しています。

石器時代
男性は狩猟や部族間の争いなど、
身体的な強さを必要とする
役割を担っていました。

そのために
背が高く、強そうな男性が
リーダーとして選ばれる
傾向がありました。

これは、そのような男性が
集団の生存に有利だったため
と考えられています。

しかしこのバイアスによって
女性がリーダーとして選ばれる
機会を奪っている可能性があります。

たとえば
女性がリーダーシップを
発揮する上で
直面する課題として

履歴書の評価における
バイアスについても言及しています。


ある研究では、
全く同じ内容の履歴書
男性名と女性名で提出したところ


男性名の履歴書の方が高く評価され
より高い給与が提示されたという
結果が出ています。

そういえば日本にも
こんなニュースがありましたね


このように、
女性はリーダーシップを発揮する上で
生物学的な性差とは関係のない
様々なバイアスに直面しています。


これらのバイアスを認識し
克服していくことが

真に能力のあるリーダーを選出し
より良い組織や社会を築くために
重要ではないでしょうか。



これも本書とは関係のない
私の呟きですが

アメリカの大統領は
国民投票だけあって候補者はみな
強いカリスマ性や自己主張があり

「ザ・リーダー」って
顔をされてます。

でも日本の総理って
党内での派閥の支持や人脈が
総理の座を決める
大きな要因となるため

カリスマ性よりも
調整役としての実務能力と
安定感が重要視される

部長顔が多い印象です。

無難で信頼できる顔立ち



◆〈私の疑問②〉なぜ政治家は不正ばかりするのか?

なぜ権力を持つと
人は変わってしまうのか?

人は権力を持つと自分自身をコントロールすることが難しくなる

という研究結果が書いてありました。


まるで、
「権力に酔ってしまう」かのように
自分の行動を抑制する力が
弱まってしまうのです。


その理由を3つにまとめました。

①他人の目や気持ちが気にならなくなる


権力を持つと
周りの人から尊敬されたり
求められたりするようになります。

そのため
「自分は特別だ」
という感覚が強まり
他人のことを考えなくなる
傾向があるのです。

②共感力が低下する
権力を持つと
自分の意見や考え方が
通りやすくなります。

そのため、
相手の気持ちに共感する必要性
が薄れてしまい

他人の痛みを理解できなく
なってしまうことがあります。

③ルールが自分には適用されないと思うようになる


権力を持つと
「自分はルールから外れている」
という感覚を
抱きやすくなるそうです。

そのため、
衝動的な行動や倫理に反する行動を
起こしてしまう可能性が高まります。

具体的な例を出しましょう。

交通ルール違反

高級車に乗っている人は
歩行者に道を譲らないなど
交通ルールを無視する傾向が
あるという研究結果があります。

これは高級車に乗ることで
優越感を感じ
ルールを破っても許される
と考えてしまうためです。

不倫や横領

権力を持つ人は
地位や名誉を守るために

不倫や横領などの不正行為に
手を染めることがあります。


傲慢な態度

権力を持つ人は、
部下や周囲の人に対して
高圧的な態度をとったり

言葉遣いが粗暴になったりする
傾向があります。


なんか、書いてて
悲しくなりました😭

はやくAIが政治家なる時代が
来ないかな…



◆〈私の疑問③〉なぜ独裁者は支配し続けるのか?

ずはり、それは

独裁者は権力の座に
あぐらをかくことなく
常に学び
アップデートしている
からでした。

独裁者が権力を維持するために
学び進化させる過程を
「独裁支配学習」と呼びます。

これは、
独裁者が新たな脅威に対応し
より効率的な支配体制を
構築するために行う
一連の試行錯誤
情報交換を指します。

ここで「独裁支配学習」
具体例を3つ挙げます。

①他の独裁者との情報交換


サミットや非公式の場で
権力維持のノウハウや
反体制派への対策を共有します。

歴史的な手法を
参考にしながら
現代の課題に対応した
戦略を学びます。

「ルネッサーンス」


②不正選挙の改良

初期の頃、選挙では票を水増ししたり
実際に改ざんする物理的な手法が
使われていました。

しかし現在では
技術を駆使した
検出困難な不正が増えています。

これにより
外部の監視をかいくぐる
巧妙さが進化しました。


③プロパガンダの活用


メディアを操作して自分を正当化し
国民の支持を維持します。

都合の悪い情報を封じ
国家の安定を理由に
報道を統制することも一般的です。



⚫️北朝鮮における金一族への「個人崇拝」

ではここで
さらに踏み込んで
実際のプロパガンダの例を挙げてみます。


北朝鮮の金一族
(金日成、金正日、金正恩)には
多くの荒唐無稽な神話が存在します。

これらは彼らを超人的な存在として
描くために作られたものです。

以下のような内容が知られています。

金一族の神話的エピソード集

トイレに行かない
金正日は「体が完全で、排泄を必要としない」と宣伝されていました。

数千のオペラを作曲
金正日が1,500以上のオペラを作曲し、すべてが完璧と称賛された話があります。

奇跡的な誕生
金正日は白頭山で虹と星に祝福されて生まれたとされています。

初ゴルフでの快挙
金正日は初めてのゴルフで11回のホールインワンを達成したとされています。

驚異的な成長

生後3週間で歩き始め、8週間で話し始めたという話もあります。

これらの神話は
現実離れしていますが

あえて不条理さを
際立たせることで

国民の忠誠を試す
「忠誠審査」
として機能しているのです。

神話を浸透させることで
以下の効果を狙っています

1.忠誠の強制
不条理な神話を信じることで、国民は政権への服従を示さなければなりません。

2.批判的思考の抑圧
常に新たで過激な神話を生み出し、国民の思考を体制に向けさせています。

3.体制維持
神話を絶えず進化させることで、社会への浸透と支配を強化しています。


「チュチェ思想」と支配構造

北朝鮮の公式イデオロギーである
「チュチェ思想(主体思想)」とは

金一族の支配を
正当化する思想統制の道具です。

国民はこれを
暗記し従うことを求められ

反対すれば厳しい処罰を受けます。

チュチェ思想は、
レーニン主義など
過去の独裁思想を
参考に進化させたもので

権力維持のための
仕組みとして機能しています。



◆〈私の疑問④〉なぜ企業の役員はサイコパスが多いのか?

なぜ企業の役員にはサイコパスが多いのか?

サイコパスと権力には
深い関係がありました。

本書ではサイコパスを
「スーツを着たヘビ」と例え

その特性が企業や政治の世界で
権力を得やすい理由を説明しています。


実際に企業幹部における
サイコパスの割合
一般人と比べて
約20倍とされています。



サイコパスが権力を得やすい3つの理由

①人を引きつける魅力
自信に満ちた態度や巧みな話術で
周囲の信頼を得やすい。

②冷静で大胆な決断
感情や道徳に左右されず
大胆かつ冷静に行動できる。

③計算高さ
自分に有利な状況を緻密に計画し
実行する能力が高い。


サイコパスは
活躍する場と
成功しやすい理由について


競争が激しい企業幹部
政治家のような

冷静な判断力や
大胆さが求められる環境で
成功しやすいとされています。

サイコパスが権力を持つと
次のようなリスクもあります

サイコパスは権力を持つことで
抑制が弱まり
衝動的な行動をとる。

サイコパスは
他者への配慮が欠け

組織や社会に
悪影響を与える可能性も
否定できません。


まとめると

サイコパスの特性は
競争が激しい環境で
成功を収めやすい。

その一方で権力を持ったときには
その冷徹さが組織や社会に
悪影響を及ぼす危険性があります。


そのため
彼らの存在は組織にとって
諸刃の剣となり得ます。




◆〈私の疑問⑤〉どうやったら腐敗しない人を権力者にできるか?

ちょっとここで
最初の問いかけに戻り

本書の内容で理解できたところを
まとめておきます。

なぜ権力は腐敗するのか?

権力が腐敗する理由は
力を持つことで
人は自分勝手になりやすく
周りの意見を無視しがちだからでした。

なぜ悪人は権力に引き寄せられるのか?

悪い人が権力を求めるのは
自分の欲望を叶えたり
人を支配しやすくなることが
わかりました。

よって悪人とは
権力に引き寄せられちゃうし

結果、
権力は必ず腐敗するようです。


これはつまり
問題にすべきは

私たちが悪人に権力を与えないことなんです。

これを防ぐには
誰か一人に力を集中させず
みんなで見張る仕組みが
必要なのです。


権力の腐敗を防ぐには
以下の4つが大切です。

1. 公平な選抜
腐敗しない人を選び、権力が集中しない仕組みを作ります。くじ引き制度や定期的な人事異動を取り入れると、権力の固定化や濫用を防げます。

2. 責任を自覚させる
権力者に「自分が人々の生活に大きな影響を与える」という責任を定期的に意識させます。また、人々を数字や抽象的な存在ではなく、具体的な「人」として考えさせることも重要です。

3. 監視の目を向ける
権力者を監視することで、不正の抑止力が生まれます。監視はランダム性を取り入れつつ透明性を保ち、プライバシーへの配慮も必要です。

4. 模範的なリーダーを育てる
突然の救世主を期待するのではなく、社会全体で高潔で信頼できる指導者を育てる仕組みを作ります。教育や文化がその基盤となります。


まとめると腐敗を防ぐには

公平な選抜
責任の意識付け
監視の仕組み
リーダー育成が

不可欠です。

これを社会全体で進めることで
信頼できる権力構造が実現します。



◆〈私のまとめ》 「権力イラナイ、イイ人デイタイ」

「私は権力はいらない」

本書を読み終えた
私の率直な感想です。


本書でも独裁者の末路は
悲惨な歴史しかないことが
書かれてました。

ヒトラーは敗北後に自殺

カダフィは反乱軍に殺害され

チャウシェスクは革命で処刑

サダム・フセイン
絞首刑に処されました。

これらの共通点は
民衆の怒りと孤立が
独裁を終焉に導くことです。


私が知っている
ワンマン社長の末路も独裁者に似て
最悪な結果を招くことがあります。

以下はよく見られるパターンです。

社員の離反
指示だけを押し付ける体制では
社員の士気が低下し
有能な人材が離れていく。

組織の停滞
現場の声を無視することで
イノベーションが失われ
競争力が低下する。


孤立

周囲にイエスマンしか残らず
適切な助言やサポートが得られない。


会社の崩壊

信頼を失い
最終的に顧客や市場から見放される。


ワンマン経営は一時的に成功しても
長期的にはリスクが高いものです。


他人の意見を聞かず
自分だけを信じて突き進む姿勢は

最初は力強く見えても
やがて周囲の信頼を失い
孤立を深めます。

チームの力を活かし
柔軟で協調的な
リーダーシップが重要です。

いま私が自分自身で取り組んでいるのは
サーバントリーダーといって
権力のトップから意図的に外れるリーダーシップを実践しています。



詳しくはこちらの記事に書きました。



ここで当たり前なことを書きますが

人は一人では生きられません。

どんなに優れた人でも
支えてくれる仲間を失えば
その道は険しく
最後には破滅へと
向かうことが多いのです。

反対に、謙虚に耳を傾け
共に進むリーダーは人々の心に残り
成功も持続します。



孤独か、絆か——

その選択が
末路を変えるのかもしれませんね。







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タルイタケシ@読書セラピスト
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