【考察日記】映画「ラストマイル」に学ぶ、働く人を思考停止にする「マジックワード」 | そのトンデモない魔力
「全てはお客様のために」
これは企業が
利益を生み出すための方便です。
どうも、
読書セラピストのタルイです。
突然ですが、
あなたは映画「ラストマイル」
はご覧になりましたか?
私は2回観に行きました
映画『ラストマイル』のあらすじ
『ラストマイル』は、
ブラックフライデーの直前に起きた
一連の爆破事件を描いた
サスペンスです。
物流センターのリーダー、
エレナとチームマネージャーの梨本が
犯人を追いつつ
人命を守るために
奮闘する様子が描かれます。
この舞台となる物流システムの中で
労働者は過酷な状況下で
働かされております。
その中心にあるのが
「マジックワード」です。
Customer centric
(全てはお客様のために)
この物流センターでは、
「Customer Centric
(全てはお客様のために)」
というマジックワードのもとで
労働者たちが大量の荷物を
迅速に処理するために
機械のように働かされています。
センター内では、
すべてが数字で管理され
稼働率が常に表示されています。
ここでは、
有能さや価値の基準が
「コストを下げ、
稼働率を維持しながら
荷物をさばくこと」
に置かれています。
映画を通じて、
こうしたマジックワードが
企業の利益を追求するためのもので
「お客様のため」と謳いつつ
実際には企業の利益のために
労働者が過酷な状況に置かれている
現実が描かれています。
さて、
これ以上映画の話を書くと
ネタバレになっちゃいそうなので
本題に入ります。
今回のテーマは
「マジックワード」です。
働く人を思考停止にする
「マジックワード」
そのとんでもない魔力について
考察してみました。
◆マジックワードとは何か?
これは《魔法の言葉の意》です。
宣伝や説得などに
効果のある言葉とされます。
殺し文句とも言えるでしょう。
転じて、
のような意味で使われています。
例えば、
あなたも一度は見聞きしたであろう
マジックワードを一つ紹介します。
傍(はた)とは「まわり」のことで
つまりは他者貢献を重視する美徳です
ですが、これが過剰になると
サービス残業や同調圧力を
生む原因になりがちです。
周囲を優先することで
自己犠牲を求められ
無償での労働が当然と
されやすくなります。
また、
職場での同調圧力が強まり
「皆が頑張っているから自分も」
という感覚に陥りやすく
長時間労働が
常態化することもあります。
働くことは他者貢献だけでなく
自分の健康や休息も
大切にするべきです。
そもそも論ですが
「働く」の語源は
「傍を楽にする」
ではありません。
「働く」の語源が
「傍(はた)を楽にする」
というのは
よく引用されるものの
実際の語源とは異なります。
日本語の「働く」は
古くからある動詞で
元々は「人が動いて物事を行う」
という意味を持っていました。
「傍を楽にする」という解釈は
後世の美化された説明に過ぎず
働くことの社会的な意味や
他者貢献を強調するために
使われる表現です。
これは余談ですが、
ビジネス寓話として名高い
イソップの「3人のレンガ職人」も
実際はイソップの創作ではなく
後世の人が捻じ曲げて作った嘘話です。
◆なぜ会社組織はマジックワードを使うのか?
企業が「マジックワード」を
使用する理由は
主に以下の3点です。
これにより労働者は
自分の行動が社会や
顧客のためだと思い込み
疑問を抱くことなく働き続けます。
しかし、
実際には従業員は
企業の目標達成のための
歯車として動かされているのです。
多くの従業員側が
「働く」とは
「はた(周囲)を楽にすること」
と考えている一方で
経営者側が「働く」を
「効率的な成果達成」
と捉えることが多いのです。
社員は自分の人生の一部を
会社に預けていると感じる
その一方で、
社長は社員に人生を預けて
欲しいとは思っておらず
目標達成のための働きを求めています。
傍(はた)を楽にすることを
求めてません。
売り上げを伸ばし
事務処理を行い
商品を製造する働きが欲しいわけです。
言い方を変えれば
「目標を達成するための
歯車が欲しいのだが
その歯車は人の形をしている」
ということです。
この「ズレ」が存在するために
社員は成長し
意味のある人生を送りたい
と考える一方で、
会社は目標達成のための歯車を
求めるという対立が生じます。
最近はこのズレが大きくなることで
従業員が
「自分の貢献が認められていない」
と感じたり
経営者が
「期待する成果に届かない」
と不満を抱くことが
増えているようにも思います。
経営者側は従業員に対して
成果を重視する傾向が強い一方
従業員側は人間関係や
仕事の意義を重視することが多いです。
このような異なる価値観の
ギャップを埋めるためには
「働く」ことの意味や
目的についての対話が重要です。
例えば、
経営者が「成果」を求める
背景にあるビジョンを明確にし
従業員がそのビジョンの一環として
「周囲を助ける働き方」を
どう活かせるかを示すことができます。
また、
従業員の貢献や
人間関係の重要性も経営者が認識し
バランスの取れた働き方を
推奨することが
双方の理解を深め、
目標達成に繋がるでしょう。
◆マジックワードの正しい使い方
例えば、
オバマ元大統領の
「Yes She Can」は
過去の「Yes We Can」
と関連づけて
ハリス氏への支持を表明してます。
これはポジティブな
メッセージを強調した
巧みなマジックワードの例です。
動画をご覧いただくとわかりますが
このフレーズは、
ハリス氏の個別性を強調しながら
普遍的な励ましにもつながり
シンプルかつ力強いメッセージとして
多くの人々に響いてます。
「Yes She can」と唱えるだけで
でこれだけ熱狂させられるのは
オバマさんと稲垣潤一さんだけです。
マジックワードの正しい使い方は
以下の5つです
シンプルで覚えやすい
短いフレーズが印象に残りやすい。感情を引き出す
共感や感動を呼び起こす。普遍的なメッセージ
多くの人が共感できる内容を持つ。過去の成功と結びつける
過去の経験を思い出させ、信頼感を与える。未来のビジョンを示す
希望や目標を伝え、行動を促す。
これにより、
言葉の力が最大限に発揮されます。
マジックワードは使い方次第で
コミュニケーションを
円滑にするための
強力なツールになります。
しかし逆に
コミュニケーションの障害になる
可能性のあるものにもなり得ます。
大切なのは、
マジックワードに頼りすぎるのではなく
その言葉が持つ意味を深く理解し
状況に合わせて
使い分けることではないでしょうか。
◆〈まとめ〉欲望と現実のギャップ:マジックワードの影響と社会の変革
最後に「ラストマイル」の脚本家
野木亜紀子さんのコラムを見つけたので
ご紹介します。
野木さんは、
「欲しいもの」を巡る人々の物欲と
その欲望がもたらす
社会的な「しわ寄せ」について
考察されています。
映画『ラストマイル』を題材に、
物流倉庫を舞台にした作品が描くのは
人間の欲望を叶えるために働く
運送業者や委託ドライバーの現状です。
欲望自体は悪いものではないが
それによって負担がかかる現場の状況に
自覚的であるべきだと述べています。
「マジックワード」を使う企業もまた
人々の欲望を満たすために
動かされており
その結果として現場に
過剰な負担がかかる現状があります。
システムや社会を変えるためには
現場の声だけでは限界があります。
上層部や企業、国が積極的に行動し
より良い環境を作る必要があります。
マジックワードの力を借りて
魅力的なメッセージを
発信する一方で
その背後にある現実にも
目を向けることが
より持続可能な社会を
作る鍵となるでしょう。
最後までお読みいただき
ありがとうございます。
感想はスキとコメントで
教えてもらえると
嬉しいです。
いつもSNSに
シェアしていただける方へ
感謝しております。
記事がお役に立てたら
100円サポート願います。
noteで頂いたサポートと
Amazonアフィリエイトは
児童養護施設を退所する
子どもたちの就労支援団体
ブリッジフォースマイルさんに
毎月寄付させていただきます。
この記事が参加している募集
記事がお役に立てたら100円サポート願います。 noteで頂いたサポートとAmazonアフィリエイトは児童養護施設を退所する子どもたちの就労支援団体ブリジッフォースマイルさんに毎月寄付させていただきます。https://www.b4s.jp/action/contribution