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【損しかなかった】小規模事業者持続化補助金コロナ特別対応型を申請した結果


補助金申請って、やった事ありますか?
企業向け(個人事業主含む)に国からの補助金がいくつかあります。

・小規模事業者持続化補助金
・IT導入補助金
・事業再構築補助金
・ものづくり補助金
など

今回は素人の私が、初心者さん向けに体験を交えてお伝えします。結論から言うと、補助金を受給できても損しています。労力も時間もかかります。
「補助金ってこうやって貰うんだー。へぇ~」と気楽に読んで下さい。


小規模事業者持続化補助金コロナ特別対応型
(名前長い)
2020年に公募があったこの補助金。

因みに、 小規模事業者持続化補助金とは
簡単に言うと、経営の販路拡大と開拓に向けて、経費の一部を補助してもらえる。

当時コロナ禍だった2020年は、特別枠として「コロナ特別対応型」が存在した。

申請に向けてサポートしてくれた行政書士さんからは「コロナ禍だけの期間限定です。審査が緩く、採択されやすい今がチャンスです」という後押しもあり、社長は「これを利用しない手はない」と、この補助金を手に入れようと頻繁に行政書士さんと電話をしていた。

完全に味をしめている。
過去の補助金の使い道はコチラ→(コロナ禍で飲食店に給付された時短協力金の使い道)


申請して採択されるまでが大事

この補助金に限らず、他の補助金申請もまずは『採択』されなければ補助金が貰えない。

採択とは:審査の結果、『合格』することを意味する。ただし、この採択だけでは補助金がまだ手に入らない。「あなたは補助金を受給できる事業者ですね」と認められただけ。

逆に審査で不採択になった場合は、どんなに素晴らしい事業をしても補助金が貰えない。

まずは申請に必要な資料をまとめ、採択されるまでが第1関門となる。

その「採択される計画書作り」が最も大変な作業で、申請先である商工会議所のお偉いさん達が納得する『経営計画書』であることが重要。だから社長は、知識豊富で実績ある行政書士さんと契約して、確実に採択されるように計画書作りを『丸投げ』した。


社長は補助金を何に使うつもりなのか?

経営計画書はメールのやり取りで、その内容をこっそり確認できた。
Wordで作成された、完璧な資料。経営状況から、なぜその事業を開始するのか。分析値やグラフ、写真やイラストを使って彩られた資料は視覚的にも分かりやすい。プロが作る計画書はさすがだと感心しながら読み進めると、「がんばれキッチン(仮名)」の名前を目にする。
がんばれキッチンの話→オープン3ヵ月で閉業した飲食店その原因と対策

時系列的に前後してややこしいのですが、図にするとこんな感じです。

つまり『がんばれキッチン(仮名)』オープン1ヵ月前から、この補助金申請が動き出し、計画書が作られていた。

社長は初めからこれが狙いだった。この補助金を利用して、テイクアウト専門店をスタートさせる。(3ヵ月で廃業するけど)


具体的にどんな事業が対象になる?

因みに、「コロナ特別対応型」という名前だけあって、コロナ対策に沿った非対面形式の事業が認められた。

例えば
・EC事業でネット通販の開業(販路拡大)
・オンライン教室(ヨガ教室など)
・非対面でリモートワーク
・テイクアウトやデリバリー事業

なので、うちでは飲食店経営の強みを活かしてテイクアウト専門店の『がんばれキッチン(仮名)』をオープンさせたのである。(3ヵ月で廃業するけど)


採択されるまで時間がかかる

『がんばれキッチン(仮名)』のオープンからしばらく経った頃、社長は完璧に仕上げてもらった書類を持って申請手続きに行く。

しかしここからが長い。
申請してから5ヵ月も経って、ようやく「採択通知」が届いた。無事に採択されたとはいえ、5ヵ月ですよ?既に『がんばれキッチン(仮名)』は廃業している。

廃業しているのに採択されたって、もう遅いでしょ。補助金なんて、もらえないでしょ。


できる行政書士さん

「採択されれば、お店が廃業しても大丈夫です。業績悪化で移設する事になったと報告すれば良いんです。ただし不正などの虚偽はいけません。」

社長はこの時、飲食店をもう1店舗新規オープンさせて、表向きそちらへ移設先する手配を進めた。

※これはあくまで「補助金を貰う為」の対処だと思います。経営が悪化しているなら、補助金は諦めて経営を立て直す方が適作です。新しくお店オープンさせてる場合じゃないです。

交付決定、そして事業開始⋯?

採択通知から更に3ヵ月後『交付決定通知書』が届く。

交付決定とは
内容が適正であると認められること。これを受けて、事業者は発注、契約、支出行為が可能となる。

え?
交付決定後に、事業開始?
『がんばれキッチン(仮名)』は半年前に廃業してますけど。事業開始どころか、既に終了してますけど。
補助金なんて、もらえないでしょ。

できる行政書士さん(パート2)

「コロナ特別対応型は、実施期間をさかのぼって対象経費が認められるんです。今回の補助金は2020年〇月〇〇日以降に発生した見積書や請求書であれば対象になります。こちらでも見積書を拝見して、補助金対象となる金額を経費支出管理表に入力しています。問題ありません」

もう目的が「事業の持続化」ではなく「補助金の受給」になっている。

行政書士さん「ところで、そろそろ実績報告に向けて手をかけないと締切期限が迫っています。見積書や請求書を事務局へ提出できるようにまとめて下さい。手引書をメールで送るので、よく読んで下さい」

実績報告?手引書?
事務局へ提出??
なんで?全部そっちでやってくれないの?

できる行政書士さん(パート3)

「社長との契約は、採択までです。採択されたので成功報酬は頂戴します。実績報告に関しては、別料金として頂けるのであれば、助言などサポートします」

いやお見事。いい仕事しています。
私は社長に相談して、追加料金を払ってサポートを継続してもらう事になった。

因みに、補助金を手に入れるなら、実績報告は必ず提出しなければならない。


実績報告をまとめる

まずは手引書を読めと言われたのでファイルを開く。手引書はおよそ60頁以上あり、素人の私は読んで理解するまで時間がかかった。
好きなジャンルの話でもないし、苦手分野の教科書を読むような感覚で、読むだけで睡魔が襲う。無理だ。できる気がしない。

この前まで掃除のおばちゃん(元清掃員)をしていた私が、できるわけがない。

それでも何とか形にしていく。
実績報告の全てをnoteに書くのは大変なので、とくに大変だった事だけお伝えします。

1.各費用ごとに分ける
例)
①機械装置費
②広告費
③飛沫対策費(コロナ感染対策)

2.費用ごとに書類を集める
①見積書
②発注書
③納品書
④請求書
⑤振込の控え
⑥証拠写真など

ここで困ったことが出てきた。
①と④だけ手元にある。これだけしかない。

既に廃業している状態で、②発注書や③納品書をどうやって生み出すのか。あと⑥も廃業してるから無理そう。

行政書士さん「発注書は自社で作成して、納品書は業者さんに言ってもう一度発行してもらいましょう。発行日は当時の日付に合わせて下さい」

日付を勝手に変更して不正にならないのだろうか?気になりながらも言われた通り用意する。うちの会社では、昔ながら付き合いの長い業者さんばかりだったので、社長の話術で1年も前になる書類の再発行が可能だった。

不正として扱われるのは、経費を水増ししたり嘘の請求書を作る事を言う。日付変更はグレーだが、事実上請求されて振込みが完了している場合は不正に当たらない。
(でもそんな事が無いように、書類のやり取りはきちんとやろうね!)

⑥証拠写真などは、まだ物件がそのまま残っていたので大家さんに鍵を借りて写真を撮る事ができた。社長はわざわざ現地(隣の県)まで行く事になり、手間と労力に時間を取られる。

後から後から、当時やっておくべき業務がしわ寄せになって苦労する。補助金に関わるなら、手引書は一読する事をおすすめします。

3.相見積もりが無い
見積書の地点でもう1つやっておくべきだったのが、他社の見積りだ。
「なぜこの業者を選んだのか?」それを事務局へ示す為に、相見積りが必要だった。

社長は独断で次々と決定して来たので、当然相見積りなんてしなかった。

既に廃業している状態で、他の業者に今更見積りなんて取れるわけがない。

手引書を読むと「相見積りが無い場合は理由書を提出」と書いてあった。
私は「20年以上も付き合いのある業者で、信頼とサポートが充実している為」として理由書を作り上げた。
(こんな事しなくても、見積り取れば済む話なので、補助金申請は相見積りをきちんと取りましょう!)


気になる受給額

なんとか締切りまでに提出し、一度だけ事務局から不明点などのヒヤリングや書類の再提出があったが、無事に受理された。

後日、受給できる補助金の金額が決定した通知書届く。

いくらだと思います?


振り込まれる金額:75万円


これ多いの?少ないの?

因みに実際にかかった費用はこんなにある↓



新規店舗オープン費用:約300万円
行政書士さん成功報酬費:20万円
行政書士さん追加サポート費:7万円

テイクアウト事業が廃業した今、もうマイナス分を回収できない。

数字に弱い私でも「これは失敗だったのでは?」と思う補助金申請でした。

補助金のご利用は計画的に。



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