SLE(全身性エリテマトーデス)ってどんな病気?当事者が語る困難さと職場復帰まで(ミスも含めて)

 私が「全身性エリテマトーデス(以下SLE)」を発症した話は前記事『3回の休職』でちらっと書いたのですが、今回は「SLEとはどんな病気?」ということと、私の闘病記、そして復職に至る(結局休職しちゃってますが)までの話をしようと思います。


SLEってどんな病気?

 SLEは昔は「膠原病」と言われていた病気の一種です。今は病気のメカニズムが解明されてきて「自己免疫疾患」という呼び方になっています。簡単に言うと人が外からの細菌やウイルスに対抗するための「免疫」が何らかの理由で自分の体を攻撃するもので、全身に様々な症状が出るのがSLEになります。自己免疫疾患には他にもいろいろな病名があるので、気になる方は調べてみてください。
 SLE自体は20~40代の女性に多い病気で、男女比は1:9と言われています。私は男性なので、比較的珍しいケースと言えるでしょう。

SLEの原因は?

 SLEの原因は不明ですが、遺伝的要因や環境因子、免疫異常、内分泌異常など多因子が関与していると考えられています。

SLEの症状は?

 SLEは「全身性」と言われるだけあって、様々な症状が現れます。

①   全身症状…発熱、倦怠感、疲れやすい など

②   皮膚関節症状…関節の痛み、顔や手足の発疹 など

③   内臓・血管症状…腎炎、胸膜炎、心膜炎、血流障害、肺炎 など

④   神経精神症状…頭痛、思考障害、てんかん発作、うつ症状 など

⑤   その他…脱毛、日光過敏、レイノー現象(寒さやストレスで手指が白くなったり紫色になったりする)、リンパ節の腫れ など

 ざっくりですが、このような症状が現れます。SLEの症状は個人差が大きく、これらの症状の一部が全くでない人もたくさんいます。

SLEって治るの?

 残念ながら現代の医学では「完治」させることはできません。しかし症状をできるだけ抑えて日常生活を送ることができる「寛解」という状態にもっていくことはできます。
 5、60年ほど前は5年生存率が50%程度だったらしいですが、医学の進歩もあり、現在では5年生存率は95%くらいまで改善しています。
 SLEの病状は一般的に良くなったり悪くなったり、慢性の経過をたどることがほとんどです。

私のSLE体験

 私は30代の時に全身のむくみで病気が発覚しました。子どものころから原因不明の発熱であったり関節痛、頭痛などはあったので、もしかしたら生まれつきSLEの症状はあったのかもしれません。

 病気が発覚する当時は筋トレをしていたこともあってプロテインを多めに摂取していました。それが腎臓に悪影響を与えたことでむくみにつながったのではないかな、と勝手に思っています。

 SLE患者の90%は顔面に蝶が羽を拡げたような形の発疹(蝶形紅斑)が出るのですが、私はそれが出なかったことも発見が遅れた原因です。

 全身がむくみ、体重も1か月で20㎏ほど急激に増加しました。夏休みも終盤のある日、だるくて仕方なかったですが何とか出勤しました。あまりにもむくみがひどかったので同僚にびっくりされ病院に行ったところ、検査結果を見た医師が即「ああ、SLEだね」と言い、そのまま緊急入院となったのが記憶にあります。入院直前にはむくみで靴下が履けない、だるくて起き上がるのもやっとだったのでどこかおかしいとは思っていましたが、聞きなれない病名にびっくりしました。

 ともあれ入院をし、むくみの原因として真っ先に腎機能障害を疑われました。そこで「腎生検」といって、腎臓の組織を一部とって調べる検査をしたところ、SLEの重篤な症状である「ループス腎炎」が見つかりました。そこからはステロイドパルス療法を受けました。当初の見込みではステロイドパルスを受けて2週間で治療終了の予定でしたが、なんとそのステロイドパルスが効かなかったのです。そんなことで新たな治療法を模索していく間も腎機能は低下、ついに緊急透析として首から管を入れて1日4時間の血液透析を毎日行っていました。

 転機が訪れたのはその年の12月です。当時新薬として承認されたばかりの「ミコフェノール酸 モフェチル」(セルセプト)という薬を試してみないか、という提案が主治医からありました。同時に「これでダメだったら打つ手がない」ということも告げられました。藁にもすがる思いで服用を開始してみると、奇跡的に腎機能の低下も止まり、むくみも徐々にではありますがとれてきました。あの時の喜びといったらなかったです。
 しかし、一度低下した腎機能は戻ることがないので、主治医から透析、もしくは腎移植を勧められました。私はもう一度職場に戻りたい気持ちがあったので、自宅で透析ができる「腹膜透析」を選択しました。2年ほどで腹膜透析も離脱ができた(本当に運がいいです)ので、今は普通に日常生活を送っています。

復職までのロードマップで重大なミスが!

 退院後最初にしたことはソーシャルワーカーさんに勧められた「身体障碍者手帳の交付」でした。無事「腎機能障害1級」の交付を受けることができました。退院したての頃は復職の希望はありつつ、実際にできるかどうかは未知数だったので、万が一の時に障害年金が受け取れることは心理的に大きかったです。
 次に、日常生活のトレーニングです。といっても散歩や軽い運動など、半年間寝ていた体を慣れさせる程度でした。
 そして復職となったわけですが、私がここで大きなミスを一つしてしまいました。SLEの精神症状なのかステロイドの副作用なのか、うつ傾向があったにもかかわらず、復職を焦るばかりに無理をしてしまったのです。当然ミスも増えますし、そのことで陰口などもありました。
 今思えば「腐った職場」だな、と思えるのですが、当時の私は完全な自責思考に陥っていたので、結果としてうつを悪化させることになってしまいました。そしてこの「うつ」とは現在もお付き合いしている状況です。

まとめ

 途中からまとまりのない文章になってしまいましたが、要点は以下の通りです。 

  • SLEは自己免疫疾患である

  • SLEは「完治」しないが「寛解」はできる

  • 症状や薬の副作用として「うつ」が現れることもあるので、急いで復職しない

 現況などはまた別記事で書きたいと思います。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。それでは!

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