ゆっくり朗読 「行かないで」2017年2月12日
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記録
2月12日
ラギアちゃんと長時間セックスする。服を脱ぎ捨てても二度気付いたら着ていてその度ラギアちゃんが脱いでと言うので脱ぎ捨てる。背中で感じるラギアちゃんの肌はサラリとして柔らかかった。暖かかった。マーラーの千人交響曲が聞こえている。ラギアちゃんは気付いたら後ろから守るように抱きしめていてあげたいものがあると、指輪を取り出した。おもちゃの指輪くるくる回る。数字が1?6まであって二人のそれが合わないといけないらしい。何度もやっても合わない。何度も何度も繰り返す。
ね、これ合わないと駄目なの?と聞いたら君にはわからないよね!!おれは必死なのに!と言われ打たれる。驚いてキョトンとしラギアちゃんを見つめ動けないでいるとラギアちゃんは見る見る涙を溜めて違うの違う、傷付けたい訳じゃなかったのにと泣き出してしまう
泣きじゃくるラギアちゃんの手を握って、大丈夫だよどこにも行かないよ泣かないでよ。と言うが時間がないのと泣いてしまう。そうなの?と聞くと曲が終わるまでだからと言われる。くるくる回る指輪はくたびれ壊れかけていた。ラギアちゃんが泣き止まない。
駄目だ、どうしよう。泣き続ける。泣いて欲しくなかったから話でもしようと言う。私がどれだけ愛されてるかっていつもの話。それから、直接触れず脚の毛をそっと掴んで私から「行かないで」と言う。
ねぇ、今日は友達から贈り物も、と言ったところでそんなの知ってるよ!とまた泣かれる。君がどれだけ愛されてるか何て知ってる!ずっとずっと近くで見てる!おれが一番君のこと愛してるのに!君はおれがどれだけ君を愛してるか全然知らない!って怒って泣く。
ひどく小さくなってしまった丸まった背中に寄り添って、じゃあ私がラギアちゃんを沢山愛してる話をしようって離し始める。撫でて抱き寄せて。そうして話して少し微笑みが戻ってきた頃、曲は終盤の夜を彷徨うような所で私はふと「煙草が吸いたいな。」と呟く
何となく嫌な予感がしたからラギアちゃんの手をぎゅっと握って煙草を探してきょろりと辺りを一瞬見渡した時窓の外の黒と白の犬が目に入り、それがワンと吠えた。膝元に目線を戻すと誰もいなくなっていた。
詩「行かないで」
2月12日
薄明りの寝室、私はハルピュイアの美少年ラギアとかれこれ何時間もセックスしている。
何度脱ぎ捨てても気づいたら服を着ている。その度、彼が脱いでと言うので脱ぎ捨てる。
背中で感じる彼の肌はサラリとしていて柔らかく暖かかった。
マーラーの八番が何処かから流れてくる。
私は眠る時にこの曲を聞くものだから、うとうととしてしまった。
はっと目を覚ますと彼は私を後ろから守るように抱きしめていた。
丁度、獣の母親が子を慈しむような形だった。
彼はあげたい物があると言い、指輪を取り出した。
おもちゃの指輪だった。台座の所がルーレットの様にくるくる回る。
数字が1から6まであった。
彼は私の薬指に指輪を嵌めると指先でルーレットをはじいた。
彼の指にも同じ指輪がありそれを回した。
慣性力が無くなり止まったルーレットは2を指した。
彼の数字は6だった。
「二人の数字が同じじゃないといけないの」
そう言い今度はせえのでルーレットを回す。
私は1、彼は2。また違った。
何度も何度もルーレットを回す。私たちは毎回違う数字で目が出そろう事は無かった。
私は飽きてしまって
「これ、合わないと駄目なの?それより」
眠ろうと言おうとした所で彼の毛が逆立ち私を打った。
「君には解らないよね!俺は必死なのに!」
と怒鳴った。驚いて彼を見上げていると、彼は見る見る涙を溜めて
「違うの、違う……傷つけたい訳じゃなかったのに」
と呟き泣き出してしまった。
泣きじゃくる彼の手を握り
「大丈夫だよ、どこにも行かないよ、泣かないでよ。」
と声をかけたが「時間がないの」と泣き続ける。
どうやら曲が終わるまでに数字を合わせないといけないらしい。
曲は中盤、こだまが響き合うような管楽器の音がする。森は揺らぎつつ来り。
指輪はくたびれ壊れかけていた。私は二つの指輪を回した、また数字が合わない。彼はどうしてどうしてと泣き止まない。
何とか泣き止んで欲しくて気をそらせる為に話でもしようと思った。
今日は何があっただとか私がどれだけ愛されてるかっていつものお話し。それでも泣き止まなかったから、私は彼の太腿の羽毛を握って
「行かないで」と言った。それでも彼は私にしがみ付いて泣いている。話を続けよう
「今日はね、Oから贈り物を」
言い終わる前に遮られる
「そんなの知ってるよ!」
と大声を上げる。
「君がどれだけ愛されてるか何て知ってる!ずっとずっと近くで見てる!俺が一番君のこと愛してるのに!君は俺がどれだけ君を愛してるか全然知らない!」
怒りながら泣いている。私の胸を何度か叩いてしがみ付いた。
ひどく小さく丸まった背中を抱きしめて
「じゃあ私がラギアちゃんを沢山愛してる話をしよう」
と彼をどれだけ愛しているかの話をした。
頭を撫でて抱き寄せて、どういう所が好きでこんな出来事の時もっと好きになっただとか誰よりも近しく感じていて愛していると話した。
そうして少し微笑みが戻ってきた頃、曲は終盤の夜を彷徨うような所でマリア崇拝の博士が歌っている。
私はふと「煙草が吸いたいな。」と呟く。
何となく嫌な予感がしたから彼の手をぎゅっと握って煙草を探した。
きょろりと辺りを一瞬見渡した時、窓の外の黒と白の犬が目に入り、それがワンと吠えた。膝元に目線を戻すと誰もいなくなっていた。