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上坂すみれ・ライブ観戦記〜超・革命伝説〜


※この観戦記はあくまで超・主観に基づいた超・怪文書である為、正確な内容を求めるのであればshuhei先生のレポートを参照するのを推奨いたします。
リンク↓

★イントロダクション1


 その日、私はローストビーフ寿司弁当をつつき、それを缶チューハイで流し込みながら名古屋駅発、東京駅行きの新幹線に揺られていた。5月4日。ゴールデンウィークも半ばに差し掛かるこの日をもって、長く短いこのライブツアーも千秋楽を迎える。

まぼろしと消えたライブツアー、PROPAGANDA CITY 2020からは2年とすこし。そして実際に開催されたライブツアー、ノーフューチャーダイアリー2019からは3年以上の月日が流れたのだ。早い。早すぎる。時が未来に進むと誰が決めたんだ。いや、喪われただけの時だったかもしれない。我々は3年間待ったのだ。

などと考えを巡らせ、某番組で伊勢海老が解体されていくのを眺めるなどするうちにのぞみ224号は品川駅にたどり着く。この日の目的地は昭和女子大学、人見記念講堂。東京駅まで行くことはない。品川駅からは山手線で渋谷駅まで。山手線も、東京の都市部を歩くのも久しぶりで、あまりの人の密度に気圧される。元は湿地帯で谷ばかりのクソ田舎がよ。家康の関東移封以降の成り上がりの街がよ。上洛して倒幕してからデカい顔しやがれ!家康が江戸を造ったなら実質ここも愛知だろ…などと精一杯の強がりを心の中でしながら田園都市線を使い三軒茶屋まで。三茶と略してはいけない(戒め)。

そしてたどり着く。約束の地(女子大の構内)へ。

★イントロダクション2

 人見記念講堂は女子大の構内にある施設。今までは市民会館(千葉公演)、市民会館(愛知公演)、某テレビ局のホール(大阪公演)だったので不審な団体の不審な人物が付近に集まっていても特に問題はなかった(あったかもしれない)が、今回は大学の門で厳重なセキュリティが待ち構えていた。なにせ近くで立ち止まると解散せよ、ここに溜まるなといった旨のアナウンスをされる。ちょっと待ってくれ。チケットを出すのに手間取っているだけなのだ。

門の前の立て看撮るだけでめっちゃ威嚇するやん…


チケットを提示して門の中へ。チケットを持ったまま進めというのはセキュリティ的なアレなのだろう。
人見記念講堂前ではトルストイ像がお出迎え。


なぜ像の写真を撮らないのか


文豪でGO!あるかもしれへんな!(ない)
事前物販もギリギリの時間だったのでお目当ての保存用のツアータオルを買い足し、ついでにフラッグをパシャリ。

しばし眺めて、このライブツアーのこれまでの足跡に思いを馳せる。チャー弁1030㌔㌍の千葉公演。ほぼ地元の愛知公演。そして2週間空き禁断症状に苦しんだ大阪公演。このライブツアーが終わってしまうのがあまりにも惜しい。だが始まりがあれば終わりはついて回るもの。ツアーファイナル、やってやんよ!そうかやるのか。やるならやらねば。

用事を済ませ、徐々に集結してきたお馴染みの同志たちやお久しぶりな同志たち、初めましてな同志たちと挨拶や妄言を交わしたり、お土産を渡したり、他愛もない話をする。
すみれコード今日やりますよ。やらなかったら…私自身が45回転します。

この開場前の(あるいは開演20分前くらいまでの)時間に今回のツアーではかなり新規の同志と挨拶をしたように思う。
ひとつだけ聞いていいですか?どうしてあなたは革命的ブロードウェイ主義者同盟にいるの?(予感02)


などとやっているうちにいい時間になってきたので会場入りする。今回の私の席は22列目上手側。ライブツアー通しても1番よろしくない席だが、今回の私には心強いアイテムがある。


そう、
DHC 速攻ブルーベリーである。

(この記事はプロモーションを含んでおりません)
多分オペラグラス買った方がマシです。

手洗いに行き、席についたところで上着を脱いでライブTシャツへと換装する。トゥインクルゲバスティックとノーフューチャーブレード、光るウォッカ瓶改の点灯チェックを行い、手振り旗を確認したところで背もたれに身体を預け、腕を組んで瞑目する。

会場内はお馴染みのすみぺセレクションのBGMが我々を出迎える。この風、この肌触りこそすみぺ現場なのだ。

今回のツアーは全ての公演でキングレコード上坂すみれチーム諏訪Pもとい、れんぽうねこくんが注意事項をアナウンスする。

https://www.sumipe-federation.com/files/renpouneko_profile.pdf

(↑れんぽうねこくんについてはリンク参照)

アナウンス中にすみぺによって椅子を引き抜かれたりつねられたり、あまりにも美味しすぎる。そのうち先代の須藤Pのように開演前に気合入れと称してビンタされてしまうのだろうか。あまりにも羨ましすぎてジェラる。
 
そしてついに千秋楽公演の幕が上がる。5分押して。
 

★満を辞しての


 舞台が青いライトに照らされ、バンドメンバーたちが登場するのを同志たちが温かい拍手で迎える。コツコツという足音。開門。そして雷鳴。上坂すみれの初代入場曲、『予感』だ。千葉公演では『予感 extra stage』、愛知公演では『予感03』、大阪公演では『予感02』と遡ってきての『予感』。愛知公演から予想していたことではあったが、感慨の息が漏れる。

旗を振り、手を叩き、喝采はできねど誰もが狂喜する。上坂すみれ、我らが代表、代表殿、ドラキュリーナに扮するすみぺのエントリーだ。
「よく来たな!私が!上坂すみれだ!倒せるものなら倒してみやがれ!」

2022/05/04 17:00〜 昭和女子大学 人見記念講堂
「SUMIRE UESAKA LIVE TOUR 2022 超・革命伝説」東京公演
《セットリスト1》
1.予感
2.七つの海よりキミの海
3.我旗の元へと集いたまえ
4.げんし、女子は、たいようだった。
   MC1


初手から七海を切るという超強気セットリスト。何度味わってもこの並びには痺れてしまう。七海で跳び、我旗で旗をおおいに振り、げんしでデスクをベットにしてこのままふたり結ばれてしまう大盤振る舞い。初期曲の3連撃で会場の空気を上坂すみれが完全に掌握する。げんしの「このままふたり〜」の上手側の時絶対私のこと見てた(瞳孔開きながら)。

MCでは客席が満杯なことにご満悦イジりをし、客席に笑顔を強要し(強要ではない)、赤く塗っていないショルダーを見せつけたり、千秋楽のためか気持ち長めに曲だけでなくトークでも会場を温める。

★〜そしてデュラハンに〜

《セットリスト2》
5.EASY LOVE
6.閻魔大王に訊いてごらん(公演代わり曲・1)
7.パララックス・ビュー
   幕間映像1

 MCを挟んで第2ブロックはロックコーナー。
最新のロックナンバー、『EASY LOVE』のBPMによって僅かに緩んだボルテージを一気に引き上げると、お馴染みの鬼灯曲2連によってたちまち首を破壊されデュラハンに。皆さんもデュラハンになったことだろうと思う。このタイミングですみぺのお色直しと我々が新しい顔をつけるため、幕間映像へ。

今回の幕間映像は桃太郎を下敷きにした何かの悪魔合体。時代に逆行した趣味嗜好を持つ「ももぺ」(演:すみぺ)という女の子が縦読みするタイプのスパムメールを踏み、護国寺アイランド(キ●グレコード)に転送。その送り主、水樹奈々さんの指令で「革命魂」を養うためのミッションに挑むことに。その過程で「女の子が積極的に来てくれるタイプのピンクい曲を聴かないと死んじゃう」犬に出会ったももぺは、そのピンポイントで強欲な犬を救うため、レボリューション!そして第3ブロック、ピンク曲コーナーの幕が上がる。

★祈祷力が足りない

《セットリスト3》
8.ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡
9.眠れない魔物(公演代わり曲・2)
10.恋する図形(cubic futurismo)
     MC2

 幕間映像を挟んで、白いドレスとティアラという可憐な装いで、女の子より男の子を釣るタイプのピンクの曲を歌い上げたところで、運命の分かれ道が訪れる。ロックコーナー2曲目とピンクコーナー2曲目は公演代わりの曲なのだ。すみれコードは来る、来ない、来る、来ない……ゲバスティックをすみれ色にし、ここで祈祷力を全力で振り絞る。すみれコードは………来ない!祈祷力が足りませんでした。東京公演の公演代わり曲は『眠れない魔物』に。得意形ともいえる昭和歌謡的なメロディーラインに「少女のふりして 着たのワンピース」という歌詞が天才的すぎる。誤解を避けるために述べるが眠れない魔物もしっかり好きだ。そして、『恋する図形』。ライブツアーを通して1番好きが加速した曲と言っても過言ではない。恋する図形といえば体の前でおててフリフリダンスをはじめとした印象深い振りが多いダンスナンバーだ。そんな恋する図形のダンスがあくまで無い記憶を照会した主観的印象にすぎないが、かなり進化しているような気がするのだ。気がしただけかもしれないが。後ろ向きフリフリがめちゃくちゃすきなのだ。アイツ恋する図形の話になるとめちゃくちゃ早口になるよな。
そしてこのタイミングで2度目のMCへ。

2度目のMCは車を回し、バンドメンバーを回し、自身も回って観客をプレイエリアの外へといざなうところから。途中から大泉洋に変化するアグネスタキオンを召喚することでインターネットが襲来し、大泉洋を触媒として夏野菜スペシャルをリンク召喚し、棒読みで所属レーベルを礼讃する大立ち回り。そして清らかな心になるために非実在&実在宗教ネタを連続でかまして清い曲の第4ブロックへ。

★技術の向上

《セットリスト4》
11.ドロップス
12.ノーフューチャーバカンス
13.哀愁Fakeハネムーン
     幕間映像2

 ステージに蝋燭の光が灯り、幻想的な雰囲気の中しっとりと『ドロップス』を歌い上げる。このブロックに固まっているような「聴かせる」曲を通して、改めてすみぺの歌唱に関する技術向上を実感する。「上坂すみれのひとり相撲2016 〜サイケデリック巡業~」で大きなステージで初めてすみぺのライブを見た時に感じた、歌に歌わされているような、歌に振り回されているような印象が完全に払拭されているのだ。「サブカルの実験場」と呼ばれたアーティスト・上坂すみれは、10年近くの時を経て1つの到達点を見た。そんな印象を受ける進化だ。そんなしっとりゾーン、第4ブロックを締めたところで幕間映像2部へ。

映像第2部では遂に因縁の相手、きしめんゴールドと再び相見える。水樹奈々さんがバシバシきしめんゴールドをシバく横で果たしてリベンジは…果たせず!よいのだ。進化している。確実に進歩はしているのだ。今回は相手が強大すぎた。一度も持ち上げられなかったヤバい〇〇のときから比べたら凄まじい進歩を遂げているのだ。奈々様もオマケで合格をくれたのだから。

★構成の妙

《セットリスト5》
14.生活こんきゅーダメディネロ
15.ものどもの宴
      MC3
16.夜勤の戦士のテーマ
17.踊れ!きゅーきょく哲学
      MC4
18.革命的ブロードウェイ主義者同盟

 ここでお色直しをして衣装は3着目に。赤と黒を基調とした、クライマックスに相応しい"いつもの"雰囲気の衣装だ。

序盤で完璧と言っていい流れを作り、中盤で充実ぶりを見せつけ、ここで再び終盤に向けて速度を上げる。今回のツアーセットリストの構成は、王道ゆえにすみぺの力を存分に引き出していると言えるだろう。最新の体力曲を2連続で披露し、3度目のMCへ。

3度目のMCでは体力曲を耐え切った同志を讃え、夏に控える自身初の舞台について言及。メロウ神の恩寵あらたかに確かに猫に縁があるようだ。れんぽうねこ?

その後は心ない天使と化して安いツンデレをかまし、振りの確認の後、『夜勤の戦士のテーマ』へ。コール&レスポンスができない昨今、こうした振り曲がステージと客席の意思疎通という面で大きな役割を果たしているのではないだろうか。つづく、『踊れ!きゅーきょく哲学』にも同様のことが言えるだろう。先述の恋する図形もそうかもしれない。

きゅーきょく哲学からはそのままバンドメンバー紹介のコーナーへ。かつては「バンドメンバーと打ち解けられない」と口にする場面もあったが、バンドメンバーたちも、かなり革ブロの一員として、代表たるすみぺにも同志たちにも受け入れられ、打ち解けたように感じる(ただしユウタマン氏とは分かり合えない)。バンドメンバーをイジり、祝福し、自営業川柳でデレた(まだ進化を残している!)後、最後の曲、『革命的ブロードウェイ主義者同盟』で本編を締め括る。ステージには革ブロ旗が掲げられ、客席には手旗が無数に翻り、代表が演説台から拡声器を通して檄を飛ばし、エンドロールへ。

★神託


《セットリスト6・アンコール》
19.真・革命伝説
     MC5
20.ネオ東京唱歌
21.ウエサカダイナミック
     ED
            まで20時ごろ終演

 エンドロールが流れ、アンコールの幕が上がると、アンコール衣装に身を包んだすみぺが、紙吹雪舞うどこかディナーショーめいた雰囲気の中、今回のツアータイトルの根幹ともなった『真・革命伝説』を披露する。前に向かうその歌詞が、苦難に立ち向かう我々へのエールだ。あるいは、そこが今回のツアーの出発点だったのかもしれない。一曲披露したところで別れの時間が近づいてきたことを惜しみながら告知とMCへ。

・告知事項

以上2点の告知をし、新アルバムをテーマにしたライブツアーを仄めかすなど今後の展望を示す。
そして、次のMCで遂に神託の時が訪れる。
内容は以下の参考局面参照。

・参考局面

これより3日前に行われた大阪公演、その中でのMCにおいても、「みんなに会いたい」とデレて、本公演においてもバンドメンバー紹介で「やっぱりさ、同志に会わなきゃ意味がない!」と575調でデレたあとに、どうしてさらにおかわりでサービスタイムがあるなどと思えるのか。あったのだ。エデンはここにあった。

「私ってそんな立派な人間だったっけ」と声を詰まらせ、涙するすみぺを見て、彼女の想いの深さや大きさに思い至らなかっことで私は慚愧の念に駆られた。「会えないから寂しかった」とストレートな気持ちを面と向かって言われて、寂しかったのは私たちだけではなかったのだなと、気持ちを共有していた嬉しさで胸が温かくなった。
我々同志がシンプルでピュアな応援の気持ちを差し出し、すみぺがそれに応えて、その気持ちの循環によって形成された関係性が、我々1人ひとりを構成している。立脚点のひとつを共有する我々は、この一点において確かに分かち難く結ばれた同志なのだ。そして、すみぺが私のことを「同志」と、隣に立つ対等な立場における仲間と認めてくれている事実がある限り、私も、私とすみぺに恥ずかしくない私であるための前進を続けなければならないのである。であるならば、きっと私は今際の際まで、すみぺを、上坂すみれさんを忘れることなどあり得ないのだろう。「わたしのこと、絶対忘れないで」?訂正しよう。忘れるなんて、絶対に無理だ。

グランドフィナーレは『ネオ東京唱歌』と、『ウエサカダイナミック』が飾る。2公演目の愛知公演からの気づきだが、ウエサカダイナミックは泣き曲だ。万巻の思いと、終わりを受け入れがたい気持ちと、先ほど見た涙が頭で混ざり合い、でも曲はどこまでもポジティブで、未来を見据えている。ビートまりお先生、こんなに素敵な曲を、ほんとうにありがとう。
自由への咆哮と世界征服を叫び、約一か月にわたる、4都市を巡るツアーに遂に終止符が打たれるのだった。

★夢と現実の狭間で

 会場から吐き出され現実に帰還してなお、私はまだ夢から覚めぬような、なにかに化かされたような、そんな様子だったように思う。同じく会場から吐き出されてきた馴染みの同志たちを捕まえて、帰途につきながらも熱に浮かされたように感想を交わし合う。話題の中心はもちろん最後のMCだ。

ツアーは終わってしまったが、胸は何かに満たされたようで一杯だった。
この胸を満たす何かを火種に、心に火を灯し、道に灯りを灯すのだろう。

夢と現実の狭間を白亜の列車がゆく。次の夢も、次の旅も、よいものになりますように。



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