優しい君へ

優しい人は突然いなくなる

どこかでいってたそんな言葉
それは真実か

優しいから一言いってからいなくなる、、
そんなことは優しさだとは認識しないんだ
優しい人は

あなたに幸せであってほしいと
嫌な思いをしてほしくないと
自らができることは先回りして全部回避して

あなたの嫌いな野菜が食卓に並ぶことはない
嫌いなものも好きなものも
全部覚えている

それが自分が嫌なことであっても、
あなたのためならばと全て引き受けて
少しの食い違いは笑顔に紛れ込ませて

それが当たり前になったあなたは
そこにある優しさを感じ取ることさえ忘れてしまう

空気のように、初めからそこにあるのが普通だと傲って、
優しい人の積み上げた優しさだとは、微塵も感じられずに

ゴール前のアシストのボールが
何もせずにそこへやってくるような感覚に慣れすぎてしまう

そのボールは優しい人が必死に守り抜いて
あなたへと贈ったエールであっても

突然、、
いなくなる
ゴール目前のアシストのボールはやってこない

あなたにとっては、突然の訪れでも
優しい人にとっては、最後の一手

スッと消えて
一筋の煙が散るように
音もなく

虚しい感情を抱えながら振り返らずに
残るのは、膨大な懐古と哀れみと
一人で一手に引き受けて

それもまた優しさだと
あなたを傷つけずに
自分が傷つくことは厭わずに

悲しい別れに傷つくあなたを見たくないから
自分の痛みはそっと胸にしまって

痛むより乾くのならまだいいかと
最後の優しさを振り絞り

痛いんだよ、優しい人も
苦しいんだよ、決断を下すまで

それでもあなたを優先してしまうほど優しくて
声にもならない

気がついた時には、空気に溶けて
あなたの記憶から消えてなくなれと

優しい人は、優しくない
自分自身に優しくできない人

気づいて
優しいあなたを見守るわたしに

その憂いはあなたが全て、引き受けなくてもいい
誰かに頼っても、泣いてもいい
声にはならなくても、涙で叫んでいい


優しい人は知っているはずだ
心が泣いていることを

深く傷ついても
去ると決断した勇気を
あなたにあげた最後の優しさを

どんな痛みでも
最後にはご馳走様と微笑んで

優しい人は強くなれる
自分への優しさを身につけて

自分にもその溢れる優しさを向けて
振り返らずに前を向いて

暖かな光をくれる太陽に
あなたも優しさを注いで

共に手を取り、進んでいける道を探して
振り返らない強さを味方につけて

きっと歩んでいける
新しい自分へ