RICH BUTTER
起床AM6:30
休日の今日だけど、いつもより30分だけ早起きをした。カーテン代わりになっているミッキーマウスのシーツから朝日が覗いてくる、そのせいで。
贅沢で美味しい朝に。
寝不足には角砂糖を１つ、２つ。
今日のお香は特別な日にしか焚かない森の匂いがするアレにしよう。
朝ごはんはそうだな、いつも使っているネオソフトはやめて、成城石井で自分の機嫌取りのために買ったバターを、硬めのパンにたっぷり塗るの。
コーヒーな気分じゃないから、紅茶を淹れよう。
その眠気にムチを打つのは今日じゃないハズだから。
パンをひと齧りして、2、3回噛んだら甘ったるい紅茶で流し込む。
なんだか、バターのおかげかいつものパンがとびきり美味しく感じる。
理不尽に怒られた昨日の憂鬱な記憶も、10円足りなくて買えなかった自販機のジュースへの苛立ちも、全部全部バターと一緒に塗って、食べるのがいい。
予定はないけれど、なんだか外に出たい。
いつも夜にしか呼び出してこない友達を、今日は私が昼から誘ってみよう。
喫煙できる茶店に誘ってみよう。すぐに着いてくるハズだから。
なんでもない一日を色でたくさんにしたいんだ。
せっかくだもん。ちょっとだけお洒落してもいいかな？
男の子とのデートはカッコよく、女の子と遊ぶ時は可愛くレディに飾りたい。
いつも履いている踵の擦れたコンバースの代わりに背伸びして買ったミュールを。大人になってしっくりくるようになった黒のパンツに合わせて。
アクセサリーはゴールドで合わせるのがいい。贅沢な休日はこうでなくちゃ。
普段は気恥ずかしい、サーモンピンクのネイルと強気の赤リップはシアンな空に合うはずだから。
気の向くままに、たっぷりの贅沢とわがままで今日を塗り潰すんだ。
私達大人は、自分で自分を保つしかないから。
大さじ3杯の甘さに塩を少々、火力は弱火でじっくり。少しずつ自分を煮詰めてあげるのが好きなの。
ああ、いけない。
あんまりにも煮詰めすぎてたら、もうこんな時間。
そうだね、今日はこのジャケットにする。
そんな私と一緒に出掛けてよ。
RICH BUTTER