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ウィンターブルーの波に乗っかって


乾いた緑の匂いが鼻をツンと刺激する冬の夜は、起きれない呪縛を解こうと踠く。


夜は自動で降りてくるくせに朝は手動でこじ開けなければいけない。

寒さに対しては勝ち負けを決めるわけでもなく、隠忍自重でやり過ごすしかないみたいだね。


aikoのmilkは冬の季語。

雪もミルクも霞む静かなスロウな
真っ白い光に一緒になりたい


冬が白いのは、寒さや痛さのせいで黒くなる私たちの心を、せめて灰にすべくとせっせっと働いてくれてるおかげなのかな。


クリスマスは赤に緑で
お正月は紅白
バレンタインはピンクとブラウン


何がめでたくて、祝うのその行事
何が愛でたくて、祝うのその行事


クリスマスやバレンタインになると、グッと男女の距離感が縮まるのは、暖を取る振りをして、ケンタッキーのチキンや、GODIVAのチョコを食べるためでしょう。


幼い頃、バレンタインに乗っかってチョコのプレゼント。歪なトリュフは美味しそうではないけれど。私の気持ちはちゃんとハートで形どられていたのにね。

二月のお返しは三月に。なんて誰が決めたの。決めたなら守ってよね。

全然甘くない私の遥か昔のバレンタイン。

キリストの教えを受けずに育った私にとってクリスマスはいつもよりちょっぴり贅沢な食事が取れる日でしかない。


デリバリーだと高すぎるピザを自転車でわざわざ取りに行って、

家に着いた頃には冷えてカチコチ。


誰かからショートケーキに乗ってる苺を貰えるかもしれないなんて期待はクリスマスと一緒に捨てたし、

それでもやっぱり、サンタは憎めないし、トナカイの背中に乗って空は飛んでみたい。


気持ちの波が引いたり押し寄せてきたり、忙しいのが冬で、


忙しいくせに汗をかけないのが冬でしょ。


私が生まれてきたのも冬。

教室を抜け出して体育教官室でオムライスの出前をとった冬の始まり。

おばあちゃんの姿を見なくなったのは冬の終わり。


赤のネイルは寒さに負けない私を保つため。


冬は好きだけれど、やっぱりセンチメンタルになるのが当たり前でしょ。

暖を人で取ろうと手探りしても、手を握り返してくれるのは、愛読書とお気に入りのマフラーだけ。


私ってそんなにお風呂嫌いだっけ、
私ってこんなに肌白かったっけ、
私ってこんなに鍋好きだっけ、
私ってこんなに朝弱かったけ、


うーん、わかんないけど、


全部全部冬のせいだよ。



ウィンターブルーの波に振り回されているあなたへの処方箋。

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