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真夜中就活大戦争


就活の話をしよう。

一年浪人したにも関わらず、妥協の学歴にコンプレックスを持つ私は就活をするか迷っていた。

留学経験があるからと言って、ワーホリも考えていた。

まあ、でもとりあえず服に囲まれて働けたらそれなりに幸福感は感じられるだろう。と安直な考えでアパレル業界に絞って就活を始める。


大学3年の6月から始めた就活。
こう見えてビビりなのでそういうことは手を抜かずにやるタイプ。
20社ほどインターンを受けた。

大手プチプラ、ラグジュアリー、セレクト、変な帽子屋、繊維商社等、、、

大手プチプラは早期最終選考に呼ばれたが、なんとなく歳を取ってからそこで働いている自分が想像できなくて切る。

ラグジュアリーブランドは長期インターンに参加。長島のアウトレットで2週間働いてみた。シンプルにクレカの支払いが迫っていて、いつものバイトでは賄いきれなくて参加を決めた。インターン生なのに、売り上げに追われる毎日。謎の犬アレルギーを持つ客に理不尽なクレームを言われ、助けてもくれない上司がいることに寒気を覚える。採用されたが、あの黒いカーディガンが怖すぎて切る。

大手セレクトは4社ほど受けた。元々第一希望のBEAMSは一次審査の動画で落とされる。

今の会社は思っていたよりもトントン拍子に上手くいった。上手くいきすぎたのが今の私の現状に繋がっている。

インターンに参加して、会社説明会にも参加した。
インターンではグループワークを行い、その会社のことを知らないまま参戦。友達ができただけで、特に感想はなかった。


この会社の服を一度も買ったことがないくせに、好きだの、接客のレベルが高いところに感動したなどと抜かした私。


本当にごめんなさい。

一次面接は周りの洗練された着こなしに尻込みし、元気と笑顔でなんとか乗り切る。

二次面接のコーディネート紹介では、


今日はカレーの日らしいです!なのでカレーみたいなスタイリングできました!と言ってみる。

赤いパンツは福神漬けらしい。白いシャツはご飯。アフリカンバティックなカーディガンがカレーに見えるみたいだ。試験官もそこそこに引いていた。その瞬間に、終わったと思った。その日の帰りはカレーを一人で食べた。


他の就活生達はこのブランドが好きで、こういう店員になりたいみたいな目標があるらしい。私も真似して言ってみる。口だけは達者なのでどうにか乗り切る。

それでも二次面接を突破できたのは、本のおかげだ。その会社の本は三周して読んだ。ブランドのことは全く知らないので、本くらいは読んでおこうと思い、すり減るまではいかないがそれなりに読んだ。

今その本は鍋敷きになっているが。


まんまと受かってしまったせいで、柄にもなく緊張しながら最終面接へ向かう。

本社へ行く3時間前に初めてそのブランドの服を購入。流石に全身古着では説得力が足りないと思った。1番安くて私に似合う黄緑のニットを纏って出陣。

最終面接では今までのことを聞かれた。
少しだけ偉そうに座った人事部長に聞かれた。

あなたアウターは持ってきてないの?と。

荷物を減らしたかった私は真冬の2月にアウター無しで東京に繰り出したのだ。

緊張強いで、アウターは岡山に忘れてきちゃいましたっ!てへっ!!と戯けてみせる。

出来た大人は、君面白いね、風邪ひかないようにねと心配の言葉を並べる。

まあ、受からないだろうと思っていたが、しっかり内定をもらった。人事部の人間も私みたいな味変が欲しかったのか、サイコロで内定を決めたのかは分からない。

大学3年の2月に私が社会人になれることが確定したのだ。

ここで就活を終わるか否か。

もちろん答えは一つ。

終活。

バイトを死ぬほどしたかったから。
地元にも帰りたかったから。
旅行もしたかった。

大学3年の2月に就活を終えた私は絶望を見ることになる。

大学4年の9月からオンライン研修が始まった。
私は一年浪人しているので、当たり前に周りは年下ばかり。本当に年下か?と思わせるほどしっかりした人間しかいなかった。それに加えて美男美女しかいなくて、画面を非表示にしたくなった。顔面接じゃない?これ、逆に私は顔以外を評価されたのか?とも思うほどに。

経営理念や社是いなどを叩き込まれ、毎回行われる自己紹介では名前と学部だけをサラッと。

毎回の研修で最後に行われる感想の言い合いではオチに使われる。何か面白いことを的な目をして聞いてくる。私はちゃんとオチを作れていたのだろか。


研修を進めるうちに同期のSNSを知ることになり、キラキラ眩しすぎて視力が落ちそうになった。その反面、私はこんなにも素晴らしい男女と同じ会社になれたのかと少し浮き足立ってもいた。


でもやっぱり、不安しか積もらない毎日で、それは的中。

実際に会社に入社するや否や、上司にはこの会社らしくない、古着屋の店員、よく受かったな、などと言われ、私もちょうどそれを思っていたので、反論すらも出来なかった。


それでも私はこの会社に入れたこと、1ヶ月で辞めるはずだったのに、一年は耐えたこと、すごくすごく大事な時間だったなと思う。


就活をそこまで重く考える必要は無さそう。実際に働いてみないと結局はわからない。


下調べを入念に行って、ここにいきたいと思った会社でも2週間で辞める人もいるし、行きたくない会社で何年も働き続けている人もいる。


就活は運ゲーなので、適当にこなせば良いと思う。

私個人の意見だが、嫌なら辞めればいいし、好きなら続ければ良い。


世の中に仕事なんて溢れているのだから、肩の力を抜いてバイトの面接感覚で就活をしてしまっても良いと思う。


結局人事部と私達との相性の話だから。

フルーツスムージーの中に納豆は入れないし、
ご飯に生クリームはかけないでしょ?


だから、どれだけ落ちてもあなた自身が悪いわけではなくて、シンプルに味合わせが良く無さそうだと言う、人事部の勝手な判断なのだ。

ゆるく楽に適当に。



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