【WHY NOW?#1】なぜ今「劇場版美少女戦士セーラームーンEternal」なのか?
様々なカルチャーにおいて、リバイバルは必ず起きる。
体験世代には「懐かしい」、未体験世代には「新しい」、そんな「ノスタルジックカルチャー」を考えてみる。
今回は、先日公開されたばかりの「劇場版美少女戦士セーラームーンEternal」。
徒然と書いてみる。
Theme:「劇場版美少女戦士セーラームーンEternal」
1990年代に社会現象を巻き起こしたテレビアニメ「美少女戦士セーラームーン」の25年ぶりとなる劇場版で、原作コミックの第4期にあたる「デッド・ムーン編」を映画化した前後編2部作。「前編」は各セーラー戦士のエピソードとお披露目、「後半」はセーラー戦士が集結してのハイライトのようです。
とにかく、口コミの熱量、ファンの支持、作品への愛がすごいなと思う。
Generation:1992〜1997年に視聴していた世代
長く愛されている作品なので、原作漫画世代、アニメ再放送世代など様々な世代があると思いますが、アニメ放送が始まった1992〜1997年に視聴していた世代が代表的な世代かなと。とすると2021年現在では、20代後半〜30代半ばくらいの世代がMain Generationですかね。(諸説あり)
セーラームーンがどれくらいアラサー世代に影響を与えているのかというテーマで書かれた本『セーラームーン世代の社会論』はとても興味深いです。
Goods:入場者特典「カードダス」
グッズ展開にもアラサー女子をターゲットにした展開が見られます。
普段使いしやすい、程よい大人女子っぽさ、ちょっと強気の金額設定など。
劇場の来場特典も「限定カードダス」と当時のコアファンのツボをしっかり抑えているなぁと感心します。もらった瞬間当時の懐かしさを刺激し、ノスタルジックな世界観に浸れること間違いないでしょう。(当時の映画の入場者特典といえば「ジャンボカードダス」が定番だったな。)
「カードダス」という、当時のホビーを復刻し、ノスタルジーをクロスオーバーしていて相乗効果になっているかと思います。
また同時に「プレミアムバンダイ」で復刻版のカードダスセットを販売しているとこをも抜け目ないなと。映画を見た後、入場特典のカードダスをもらった人がホカホカの気持ちで購買活動に結びつきやす過ぎるなと。
Customer Journey的観点も盛り込まれてるのかな。
私も含めてこの世代はコレクション性の高いものが好きですよね。
Media:「anan」 ×「タキシード仮面」
映画公開直前のタイミングで、アラサー女子の読者が多いであろう、「anan」に特集&バックカバーでのメディア展開。適切な読者にちゃんと届いている気がします。
テーマも「ふたたび」「誰もが昔一度は恋をした」など、昔を振り返るような文脈もノスタルジックな気持ちにさせるでしょう。
「anan」と「タキシード仮面」がコラボレーションをすること自体がニュースとなり、他の媒体に取り上げられ、SNSでも拡散しやすいですね。(実際にアニメ関連媒体に転載されてたりします。)
Character Content:アニメキャラが歳をとらないために(Eternal)
アニメのキャラクターは実際に歳をとりませんが、
世の中から忘れられることにより、歳をとります。
「昔、あんなのあったよね」「あれ、あったような」「知らない」と存在がなくなってしまえば、キャラクターの価値もどんどんなくなってしまいます。
アニメのキャラクターが歳をとらないためには、「世の中に現れるコト」です。復刻やアップデートすることにより、長く愛されるキャラクターとなり、キャラクターは「世代を超える」存在になります。
そんな意味合いも込めて「Etarnal」と題してあるのかもしれない。
WHY NOW?:なぜ今なのか?
・セーラームーン世代
セーラームーン世代は、恋愛、仕事、結婚のなかで、様々な壁に直面します。そんな戦わなければならない状況が多い中で、昔(から)憧れであった、また、応援してくれる存在の「セーラー戦士」を今一度体験することにより、「懐かしさ」だけでなく、「励まし」効果もあるのではないかと思います。
・未経験世代
Netflixをはじめとした動画配信サービスによって、リアルタイムでない世代でも気軽に作品を楽しめる機会が増えました。これにより作品・キャラクターを過去のものにすることなく、復刻・アップデートをすることにより、セーラームーンを経験したことがない世代にも「新しい作品」として届けることができるのだと思います。
セーラームーン世代が頑張っているこの時代に「懐かしく新しい」、「劇場版美少女戦士セーラームーンEternal」は、必要とされている作品ではないでしょうか。