写真の撮られ方講座とアイコン
夫の友達から、「写真で見るより全然美人だね」と言われた。
褒め言葉に聞こえたが、夫が友達に見せたという写真の、写りがまあひどい。それは夫が悪意を持ってその写真を選んで見せたわけではなく、私の写真写りは基本的にひどいのだ。
とにかく私はカメラを向けられると自然に笑えず、目が死んでいて、「この集まり楽しくなかったの?」「ここにいる人たちのこと全員嫌いなの?」と言われるようなとても無理をした愛想笑いで写っているのだ。
そろそろ写真写りをなんとかしたい。
即興コントワークショップのために入れた「ストアカ」という、色々なワークショップや講座を受けられるアプリを開いて「写真 撮られ方」で検索してみると、あった。「写真の撮られ方講座」が。さっそく8,500円を払って来週末に予約した。
「写真の撮られ方講座」というワードが盛り込まれているが、その講座は「きれいに撮れた写真をSNSやウェブサイトなどのプロフィールに使いませんか?」という提案でもあり、要は「写真写りに自信が無い人でもステキなプロフィール写真を撮りますよ」という場なのだ。
アプリのメッセージ欄で「どんな風に撮られたいですか?」という質問が送られてきたので、私は「キメすぎてなくて、自然に笑っててかわいく撮れるのが理想です」と書いた。
SNSのプロフィール写真と言ったら私の場合はnoteとXを真っ先に思いつくのだが、今まで後ろ姿の写真だったため、顔を出した写真をアイコンにするかは迷った。とりあえず撮ってみて、いいものがあればアイコンにしてみようというスタンスで当日に臨んだ。
当日、与えられた時間は1時間しかないので挨拶もそこそこに撮影場所のよさげなデカい石の前に行く。
この駅はプロフィール撮影の聖地らしく、近くで同じくプロフィール撮影をしている人たちが数組いた。私が待ち合わせの時に「○○さんですか?」と聞いて「違います」と答えたカメラマンもスーツを着た社長っぽい人を撮っていた。きっと会社のウェブサイトに載せるのだろう。
さて、撮影が始まり撮った写真を見せてもらうと、やはり顔がぎこちない。
カメラマンさんに「何か楽しいことを考えてください」と言われ、先週行ったシルの即興コントライブが物凄く楽しかったことを思い出したら少し簡単にニヤけられた気がする。「あ、いいですね」とカメラマンさんが言った。村民代表南川さんと椎名林檎の話で盛り上がれたのが嬉しかった時のことも思い出してみた。これも良い感じみたいだった。
それから一時間、よさげなシンプル壁や木漏れ日の下やおしゃれな柱の隣で、手を顔に添えてみたり足を組んで立ってみたり斜めに向いてみたりし続けた。
そしてとにかく集中して脳内にシルと村民さんを召喚し続け、ニヤけ続けた。
この一時間で身に着けた「写真に上手く写るコツ」は以下の通りだ。
・楽しいことを考えてとにかく笑う(最重要)
・右肩が上がりがちなので下げる
・胸を張る、腰を引く
・体ごと斜めになると良い
もうとにかく今後カメラを向けられたら、シルと村民さんを脳内に召喚するのだ。それが一番重要だ。一時間もやり続けたので、さすがに少し体が覚えた。
話は逸れるが撮影場所を移動する際にカメラマンさんから、「noteでどんな文章を書くんですか?」と言われて、返事に困った。
エッセイを最初は書くつもりで、実際書き続けていたのだが、「ハリーポッター翻訳チャレンジ」という便利なフォーマットを発見してからはそればっかりだ。自分でネタを探さなくていいから、楽ですぐ書けるのだ。実際、即興コント関連の人たちからも「ハリーポッター翻訳チャレンジ読みました」と声をかけられることが多い。
じゃあ英語、翻訳をメインジャンルにしているのかというと、あまりそういうつもりではなく、本当はくだらないエッセイをもっと書いていきたい。「最近くだらないエッセイを書くのが難しくなったなあ」と思った。プロにわざわざアイコンの写真を撮ってもらうのだから、もうちょっと頑張った方がいいのではないか。
カメラマンさんから、「文章をお仕事にしたいと思いますか?」とも聞かれたが、それもよく分からない。自分は何を書くのが得意なのか、何を書くのが好きなのか、定まっていない。「定まってなくていいや」とも思っていて、その時書きたいものを書きたいときに書いている。それじゃあ「あなたはこのジャンルの文章が得意みたいなので、こんな文章を書いてください」という依頼なんか来ないよなあと思う。まあ、別にそれでもいい気がする。
それにしてももうちょっとエッセイを書く努力をした方がいいよなあとは思った。お金払ってまでアイコン撮影してるんだし。一番の目的は写真写りの練習だけど。
その日の夜に写真が送られた。やはり最初と比べると、後半に撮った写真の方が笑顔が自然になって写りが良い。アイコンはこの写真にした。
「『楽しいことを考えてください』って言われたから、ひたすらシルと村民さんのことを考えてた」と夫に言ったら、「俺との思い出じゃないんだ……」と言われた。
シルの即興コント(配信を見ている人から送られた「送迎バスでカーチェイス」というお題で即興コント)
村民代表南川さんのリズムネタ動画