潮永 三七萌

1994年2月生まれ。 憧れの人達:椎名林檎、佐久間宜行、朝井リョウ、星野源、小林賢太…

潮永 三七萌

1994年2月生まれ。 憧れの人達:椎名林檎、佐久間宜行、朝井リョウ、星野源、小林賢太郎、又吉直樹、鷹村アオイ、Ado、山口一郎、野田クリスタル、山里亮太

マガジン

  • くだらないエッセイ

    くだらないことを一生懸命書きました。まずはこちらをお勧めします。

  • オーケストラ部

    高校のオーケストラ部「駒フィル」での2年間を描いた、全10話のエッセイです。①に目次があります。

  • 憧れの人達

    プロフィールに書いている「憧れの人達」についての記事です。まだ椎名林檎だけですが徐々に書いていきます。

  • ハリーポッター翻訳チャレンジ

    15年以上日本語版を読んでいない状態でハリーポッター原文を翻訳し、松岡佑子大先生の翻訳と見比べて悶えるという、私だけが楽しい遊びです。

  • リレーエッセイ

    前の人が書いたエッセイにリレーする形で書いたものです。前後の方の記事と合わせてお楽しみください。

最近の記事

  • 固定された記事

エロ本退治

 20年程前、私が小学校4年生頃のこと。  3歳年下の幼馴染の男の子といつものように遊んでいると、人気のない駐車場の隅に、いつもはない何かがあった。  近寄ってみると、一目でいかがわしいと分かる雑誌だった。 「うわっ、エロ本だ!!」と叫んで飛び退き、恐る恐る目を凝らすと結構な量が茂みに隠すように押し込まれていた。  折角誰かが隠したものを、私達は容赦なく引っ張り出した。雑誌と漫画とDVDケースとビデオケースが出てきて、一つ残らず肌色だらけで女だらけだった。  幼馴染は肌

    • 未来に裏切られたら

       未来を想像する、という行為には、いくつか言い換えがあると思う。  妄想する。  夢を見る。  計画する。  心配する、もあるか。  まだ起きていないことを考えるという行為。  考えたことが全く実現せず、想定外の未来、というか、想定外の「今」が訪れてしまったとする。  多くの場合、人生は終わってくれない。 「こんな『今』を受け入れたくない」「自分が想像した『未来』は、こんなはずじゃなかった」といくら思ったとしても、自分を取り囲む「今」からは逃れられない。  こんな「今」を

      • 元カレの歩行がナメクジ

         私が高校生の時の、青春恋愛エピソードについて書く。  もう一度言う、青春恋愛エピソードだ。タイトルに「ナメクジ」が入る青春なんていらねえよという声が聞こえた気がする。  Tとは、小中高校まで同級生だった。椎名林檎の思い出を語った記事にも少し出てくる。  中3で付き合ってからウッキウキで同じ高校に進学したのにその2か月後には振られ、高3で同じクラスの隣の席という気まずさMAXの状況からまた話すようになった。  高3の夏くらいにはまた学校から一緒に帰り、家の最寄り駅から物凄

        • 「約束がテーマの明るいエッセイ」を諦めた過程

          「約束(プロミス)エッセー大賞」という公募を見つけた。トップページに、「『約束』をテーマにした明るいエッセーを募集します」とある。  私はテーマの定められた公募を探していた。締め切りまで余裕があって、字数制限もちょうど良さそうだったので着手した。  最近はもう文章を書く作業の恒例になっている、連想ツリーを書いてみた。  そしてこの時点で、「なんか、明るくないなあ」と思った。  そのあと文章でも色々とこねくり回してみたのだが、応募するにふさわしいエッセイにまとまる気配がない

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        エロ本退治

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          6本
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          14本
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        • 漫画「明日、私は誰かのカノジョ」感想
          4本

        記事

          10月20日を繋ぎ留める

           10月20日の夜。  書きたい。  A4の白紙を1枚机に出し、「なぜ書きたい?」と書いて丸で囲った。雑な丸から、3本の雑な線が、新しく3つの丸へ伸びた。 「今日の衝動を逃したくない」 「書くことから離れたくない」 「読み過ぎて飽きたから」 【今日の衝動を逃したくない】  10月20日は、朝井リョウさんのサイン会に行った。  新刊「生殖記」に、私の名前とサインを書いてくれた。9月から書き始めた手紙を渡した。手紙、長くなってしまってごめんなさい、と言った。朝井さんが、

          10月20日を繋ぎ留める

          「秋ピリカグランプリ2024」という小説のコンテストに、「僕が僕と話した日」で応募しました。「紙」をテーマに1,200字以内という条件で、初めて満足のいくオリジナル小説を完成させられました!短くて読みやすいので、是非読んでください! https://note.com/flu_den/n/nc7de0b329011

          「秋ピリカグランプリ2024」という小説のコンテストに、「僕が僕と話した日」で応募しました。「紙」をテーマに1,200字以内という条件で、初めて満足のいくオリジナル小説を完成させられました!短くて読みやすいので、是非読んでください! https://note.com/flu_den/n/nc7de0b329011

          【小説】僕が僕と話した日

           期末テストまで1週間、前回の数学は赤点ギリギリ。  勉強しなきゃなあ、と思って問題を解いているけど──「2つの式の交点を求めよ」交点、交点……?僕は問題に登場した2つの数式を、とりあえずルーズリーフに書き写してみた。……で、ここからどうすれば……?  違うかもな、と思いながら計算式をおずおずと書いていく。絶対違うな、という確信に変わっていく。もう書き続けるのも馬鹿馬鹿しくなって、解答を見る気にもならなくて、どうしようもなくなった僕は、その下に『やってらんねー!』と書いた。

          【小説】僕が僕と話した日

          その女の名は「おぬし」

          「おぬし」というあだ名の女の子がいた。  それはフルネームに由来している。例えば「オオヌキ シオリ」とか、そんな感じの名前を縮めて「おぬし」になるといった具合だ。  彼女は大学の英語部演劇セクションの後輩だ。体験入部時に「なんて呼ばれているの?」と聞かれた彼女が「おぬし」というインパクト抜群のニックネームを繰り出したので我々は色めき立ち、その呼び名は即採用となった。  その「おぬし」というニックネームがやや一人歩きしてしまったため、他のセクションの同期が「なんか面白いあだ

          その女の名は「おぬし」

          オーケストラ部⑩ 引退、そして2022年

           卒業式の後、国立後期までの大学入試が完全に終わったら、卒業コンサート、通称「卒コン」が行われる。  これはコンサートと名付けてあるが、お客さんを迎え入れることはしない。駒フィルの1・2年生と、卒業式を終えた3年生だけで行う、“駒フィル流送別会”である。  駒フィル流ということで、1・2年生から3年生へ向けて演奏を送り、2・3年生も1年前の定期演奏会で披露した懐かしの1曲を演奏する。  楽器を触るのすら1年ぶりの3年生は、たった数日のリハーサルで「運命」の第4楽章を仕上げ

          オーケストラ部⑩ 引退、そして2022年

          オーケストラ部⑨ 最後の定期演奏会

           ついに最後の演奏となる、3年4月末の定期演奏会である。  舞台袖に整列し、観客が入っている気配を感じながら、私は「みんな頑張ろうね」とここぞとばかりにリーダー風を吹かせていた。そして、全ての楽譜を楽屋に忘れていることに気づいた。  一瞬で背筋が寒くなり、落ち着き払ってリーダーぶっていた自分の間抜けぶりを呪った。  会場は1,200人キャパの大きさで、舞台袖と楽屋までは相当な距離がある。 「楽譜忘れた……」「え!?どうしよう、私の見る?」と話しているうちに待機列が動き始

          オーケストラ部⑨ 最後の定期演奏会

          オーケストラ部⑧ その他エピソード集

           ここでは、最後の定期演奏会前までのこまごまとしたエピソードを載せる。 <1年生の時の合宿>  ハイライトは「金管ズのマッピアルゴリズム行進で潮永が戦線離脱」「よっちゃんのいたずらからの土下座が14年後創作のネタにされる」だが、それ以外のとても些細なエピソードを書く。 「合宿へ行くバスでお菓子を分け合う」という行為のワクワク感ったらない。  私は無難にトッポとプリッツサラダ味を持参したのだが、隣の子は“ドライトマト”を袋いっぱいに持って来ていた。  私は初めて見る「

          オーケストラ部⑧ その他エピソード集

          オーケストラ部⑦ マエストロA

           私がファンになったフルート同期2人のうち、もう1人は数少ない男子のAだった。  ちなみに駒フィルの男女比がどれくらいかというと、私がいた2年間の平均で、だいたい女子75人対男子5人弱といった具合だ。  Aは寡黙でストイックなクラシック好きで、音大に進学した生粋の音楽家だ。よっちゃんも凄いが彼のフルートもまた抜群に美しく正確で繊細で、もう2人とも上手すぎてもはや浮いていた。  楽器決めのフルート希望の席で「さっさとオーディションしようぜ戦ってやんよ」と2時間ふつふつと闘志

          オーケストラ部⑦ マエストロA

          オーケストラ部⑥ 金管ズのプレゼント

           約80人いる駒フィルだが、みんな本当に仲が良かった。誰かの誕生日には、パートやセクション中からプレゼントが渡される。  ホルンの私が所属した金管セクション、通称「金管ズ」も、例に漏れず誕生日プレゼントに一生懸命だった。  一人の金管の同級生、トロンボーン担当の女の子は、名字が戦国武将に似ていることから「殿」と呼ばれていた。「オーケストラ部③ 初合奏」で、全体練習が暇過ぎて百人一首を暗記していた彼女だ。  そんな雅なサボり方をしていた殿は生き物が大好きで、小さい頃の夢は“

          オーケストラ部⑥ 金管ズのプレゼント

          オーケストラ部⑤ よっちゃん

           ここで、駒フィルを通してできた愉快な仲間たちを紹介したい。  私が勝手にファンになった、今風に言えば勝手に推していたフルート2人のうち1人がよっちゃんという同級生の女の子だ。  よっちゃんといつ仲良くなったのかはっきりとは覚えていないが、多分初合奏で私がファンになってからだと思う。  彼女はフルートへも勉強へも全ての姿勢が真面目で、かつ「トゥーンリンクのゼルダが好き」という共通点もあり、非常に気が合った。  2人でカラオケにも行き、彼女がヘタリアのキャラソンを熱唱するの

          オーケストラ部⑤ よっちゃん

          オーケストラ部④ サマーコンサート

           初本番、「サマーコンサート」の日があっという間にやってきた。  サマーコンサートは、夏休み前の終業式の日に毎年校内で行っている。  主に駒フィル(駒場フィルハーモニーオーケストラ部)を引退し立ての3年生が来ると聞いていたが、駒フィルとは関係ない生徒や先生も意外と多く見に来ていて人気ぶりに驚いた。  私はあまり緊張していなかったのだが、実際に演奏を聴きに来た観客の姿を見ているうちに、じわじわと緊張が湧き上がってきた。  開演時間になり、拍手に迎えられて席に着く。  さっき

          オーケストラ部④ サマーコンサート

          オーケストラ部③ 初合奏

           わが校の校歌、となりのトトロの「さんぽ」、「パイレーツオブカリビアン」。この3曲を個人錬、パート錬、セクション錬でコツコツと練習し、初めての全体合奏の日がやってきた。  部員みんなで音楽室の机をどけ、椅子と譜面台をオーケストラの隊列に並べ、全体を見渡せる位置に指揮台を置く。  いつもの音楽室がオーケストラ仕様になり、その席一つ一つに部員と楽器が整然と配置される。その瞬間、「同じ部活の1年生と2年生」としか思っていなかった人達が、急に「立派なオーケストラ」に見えた。  ホ

          オーケストラ部③ 初合奏