デジタルデトックス
と言いながらパソコンに向かっている私は、完璧なるデジタルデトックスは出来ないのでしょう。
そしてネットで、「デジタルデトックスをするには」といった記事を見てはこれ自体がデジタルデトックスじゃないじゃん!と思ってしまいます。
まあ完全なるデジタルデトックスは無理として、それでもSNSから離れたい!そんな思いを抱えて、私は旅に出ました。
行き先は北海道の洞爺湖。十数年前に映画「しあわせのパン」を母と映画館に見に行きました。洞爺湖を舞台にカフェを営むご夫婦の穏やかな物語です。
当時私は中学生だったのですが、こんなに静かで心地よい世界があるんだ!と胸が高鳴りました。それ以来何か悲しいことがある時や、心が疲れた時に繰り返し見るようになりました。
あまりの好きさと憧れでこんな暮らしが本当に出来ないものかと調べていたら映画のロケ地となった場所にはカフェが実在し、お宿もあることを知りました。
ただ、関西に住んでいた私は場所や金銭面を考えるとなかなか行く決心をすることが出来ませんでした。そんな思いを抱え数年が経ちました…
数週間前に仕事を辞め、どこか旅行に行きたいなーとぼんやりと考えていました。そんな時ふと洞爺湖の宿のことを思い今がチャンス!と一大決心をしました。
予約をしてからは十数年の思いが蘇り、期待と緊張とが入り混じっていました。そして先日ついに!行ってきました。
結論から言うと勇気を出して行ってとても良かった。その一言に尽きます。
予約をしてからのメールのやり取り、当日のお出迎え、帰る日のお見送りまでづっと程よい距離感で温かく接してくれたご夫婦はまさに映画の水縞ご夫婦そのものでした。
お部屋に到着してデトックス!と思いながらも写真に残したい思いがうずうず。これも一種の現代病なのでしょうかね。
私は絵を描くので、写真はその時の資料になるので撮っておきたいという思いもあります。(結局その写真から描く絵はほとんどないのですが…
一通り写真を撮ったらどっと疲れが…お腹が空いていたので夕飯にしようとお庭へ出てご夫婦が育てられたお野菜やハーブを収穫。
普通のホテルであれば私は外に出るのも億劫だし、ずぼらなのでコンビニ飯で済ますことが多いので、ちょっぴりめんどくささもあったのですが、作り始めると、非日常の場所や綺麗なお部屋と最新の家電や設備も相まってかなんだか心地よい。
お庭でとったお野菜をバーミキュラのフライパンにオリーブオイルをひいてさっと炒めました。味付けはシンプルに塩のみ。野菜ってこんなに美味しかったんだとひとり静かに感動しながら、日々いかにごはんに重きをおいてなかったかを恥じました。
用意してくださっていた一合分のお米を小さなストゥブ(お鍋)でコトコト。炊飯器で炊くよりも早いと聞いてはいたのですが本当でした。いつもであれば炊飯器のスイッチを押したらあとは違うことをするがお決まりですが、ストゥブであれば見ておかないと吹きこぼれます。(とはいえ火加減さえ間違わなければつきっきりでなくても大丈夫)私もタイマーをかけ他の調理をしていました。でも存在はづっと感じるし、炊飯器で炊くよりなんだか原始的でワクワク。
こんな風に普段料理が嫌いな私がキッチンに立ちあれやこれやとしているとなんだか不安やイライラが収まっていました。きっと普段絵を描くことに執着しすぎてそれ以外のことは悪!時間の無駄!と思っていて、でもそれが逆に自分の心を蝕んでイライラや不安に繋がっていたのだと思います。
しかもこうして時間をかけて自分のために料理をしていると心に余裕が生まれるばかりかなんだか創作意欲も湧いてくるのです。不思議。
急がば回れとはよく言ったものですね。
音楽も普段であれば家事や作業をする時はBluetoothでノイズキャンセリングをし、他の音は完全シャットダウン。そうしたいので良いのですが、長時間そうしているとこの世界に1人になったような強烈な孤独と不安感に襲われて怖くなって来ます。また、物理的にも耳に違和感を感じるようになってきます。
今回の旅では、SONYのワイヤレスガラススピーカーがあり滞在中は主にそちらを使わせていただきました。お部屋全体に音が広がり、音に包まれるような感覚があり、イヤホンのように完全に耳を塞いでいないので洞爺湖の静寂さも感じることができとても快適で心地よい時間でした。
お風呂はバスタブにお湯を張って、バスソルトをいれてさらにお庭でとれたハーブたちを。窓からは洞爺湖の穏やかな景色。窓枠から見る洞爺湖は絵画のようでまるで美術館にいるかのよう。
ハーブとバスソルトのアロマの自然な香りに癒され心が解けていく…思わず最高と口に出していました。
お風呂も普段はめんどくさいなーと思いながらスマホ片手にバスタブへ。浸かりながらも本当に必要か分からない情報を不安をかき消すために見る。脳も体も全然休まらず温まらず上がったそばからくしゃみの連発…それが私のお風呂バッドルーティーン…分かっていてもなかなかやめられない…
今回の旅では心身ともに本当にリラックスできました。また心の栄養も補給できた気がします。
今回滞在した一軒家はとにかくすべてのものが上質でそれはパジャマもしかり。お布団もしかりです。前日北海道に来る前に空港近くのホテルに宿泊していたのですが、全然眠れなかったのです。考えてみると服は荷物を減らすために次の日用のTシャツにボタンと金具のついたカジュアルズボン。布団はホテルのものなので自宅よりは良いはずですがなんだか居心地が悪い。においも清潔なのですがなんだかよそ者感で落ち着かない。思い返せば私はいつもホテルのベットではぐっすり眠れないのです。
今回のお宿では布団もパジャマもおそらく自然素材のやさしいもの。においも優しくて相性バッチリ。ぐっすりと眠れました。眠る時の服や布団を適当にしていたらメンタルやモチベーションに大きく関わってくるのだと深く実感しました。
少しづつお家のものも自分に合う良いものを探していこう!そう決意しました。
今回の旅エッセイはここまで。次回は次の日起きてからのこと。そしてこの旅を通じて感じたことを書いていきます。
最後にスケッチを紹介します。
ご拝読ありがとうございました。
素敵な1日を。