そしていつの間にか物語は進捗もなく進んでいく
12月27日。
ようやく街がクリスマスの陰鬱な空気から解き放たれた、その翌日。僕の感覚を丸ごと言えば、正しくその日になるわけだけれども。
夜中までゲームをして、些細な妄想に耽って、そうやって無駄な時間を過ごして、ようやくこの時が来た。とは言いつつ、何かこの旅に目的がある訳では無い。ただの現実逃避と、強いて言うならずっと家にひきこもってばかりでは気を病みそうだから。そんなつまらない理由だ。
京都駅に着くと直ぐに少し余分にお金を下ろした。
英世が13体も出てきた。これが諭吉なら良かったのに。仕方がないから自動券売機にそのまま突っ込んで、きっぷを買って、ホームへ飛んで行く。
こうやって見てみると、こんな時間の京都でも案外人はいるんだな、なんて思ったりもしたけれど、よくよく考えればもう6時手前。そりゃあいても何らおかしくはない。東京感覚から未だに若干抜け出せずにいる身からしたらむしろ遅いくらいじゃないかとさえ思ってしまう。
始発って言ったら4時台に来るのが普通だなんて思っていた時期もあったものだ。
そして、車窓を見ればちらほら街の灯りがあって、まだ自分の顔がトンネルに入らなくてもくっきりわかるくらいに映る。そのレベルの暗さ。僕は一体何がしたいんだろうか。いや、本人に分からないのだから他人に聞いてみても到底無駄な話なのだけれど。
目的地もさしてないのだけれど、その目的地とやらが見つかるまでは当分暇だろうから、ちょっとばかり京都に来てからのことを振り返ってみようかな。
そもそも、今通っている大学の存在を認知したのが、センター試験終わってからなんて言うから笑わせてくれる。こんなふざけた受験生がいていいものかと普段悪びれない自分でさえ少し不安になったほどだ。
そして、第1志望受験の1週間前に肺に穴が空いて、入院する羽目になって、更には、なんということでしょう。飛行機使っちゃダメってさ。「また穴あくぞ」なんて脅されちゃ仕方ない。新幹線と在来線乗り継いで丸半日。案の定第1志望には落ちましたとさ。さすがに、いつもはあっけらかんとしてるような僕でもこの時ばかりは自分の運命とやらを呪ったよ。なんで俺より細いヤツがなってないのに()なんてね。
しかも第2志望の受験の当日は誕生日だしさ。なんも嬉しくねえよ!って言いたいところなんだけど、問題解くのは好きで、めちゃくちゃ楽しかった。
高校の世界史の某先生には感謝しなければ。何百字もある答案何回も送り付けて添削してもらって、なんて贅沢な先生の使い方して。
結局4月になったら3ヶ月前まで存在すら認知してなかった学校にいたわけで。人生何があるかわかんないなって初めて本気で思ったかもしれない。
そうしたら1ヶ月もしないうちにホームシックになった。家事の何から何まで自分でやらなきゃいけないって案外キツいって初めて気づいた。いかに親に頼っていたかを痛感した1年だったと思う。いや、今だって頼ってるんだけど。それでゴールデンウィーク丸々実家に帰ってたんだから笑うしかない。「さっさと一人暮らししたい」とか言ってたいつぞやの君、このザマを見ろ、とね。
母は偉大だな。
夏休みには高校の友達が来て、結構色々回ったもんだ。一日の歩数が36000くらい言った日もあったっけな。あの4日間で"暑い"を何回言っただろう。僕と彼とで。数ヶ月前にどっかのワイドショーで冷夏になるとか宣ってた気象予報士を呪った。
なんて言いつつ、ゴールデンウィークに実家帰った時に藤沢と江ノ島と鎌倉歩き回って6万歩くらい行ってたんですけどね。足が棒になるって初めて体験した1年だったのかもしれない。ロードレースでさえ走ったあと普通に歩けたのに。
いつの間にか今度は後期が始まっていて、11月の上旬に高校の友達が来た。と言ってもただの宿泊施設と化しただけだけれども。
僕にとって、人間関係の構築ほどに困難を伴うものはもしかしたらないかもしれない。なんでって、自分の面倒くささに殆愛想が尽きてしまう。ただそれだけだ。詳しく話すとそれこそ面倒くさいから省いておこう。
さ、閑話休題。
長々しい無駄話を流石に終わらせよう。
時刻は6時半。目的地は、多分まだ幾分遠い。
いつになったらたどり着くのかな。
本当にたどり着くのだろうか。目的地とやらに。
考えるだけ無駄かもな。眠い。寝よう。
あ、言い忘れていたことがある。
昨日の晩飯にまぜそばとペペロンチーノとパンとティラミスとアイスケーキ食べたせいでめちゃくちゃ腹痛い。ちょっと臨時収入入ったからって調子乗ったわけでは断じてない。一人暮らし初めてから食細くなってたの忘れてたなんてことも断じてない。断じて。
今朝だって出かける直前までトイレに篭ってたくらい。ここまでの与太話なんてすっ飛ばしていいから誰か助けて。ただただ痛い。寒いのに汗吹き出そうだ。馬鹿だと笑いたければ笑うがいい。
痛てぇんだよコノヤロウ。自分にキレそうだ。
少し遅めの、おやすみなさい。
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