『2cmアパートメント』 #毎週ショートショートnote【B面 にせ帯住宅編】
腹が減ったのか冷蔵庫を漁りにきた息子がアイスバーをくわえて、食卓で作業をする俺の手元を冷めた目で見る。
「一体いくつ作ったら気が済むわけ?」
「それはこっちの台詞だ。俺だって、こんなみみっちい作業を毎晩したくないよ」
「親父、お袋に虐げられすぎじゃね?」
親に向かってなんてことを!と言いたいところだが、こいつもいずれ家庭を持てば気づくだろう。尻に敷かれているぐらいがちょうどいいってことに。自分がMっ気があるからとかじゃなくてな。
「普段は大学とかドームとかでっけぇ建物の設計に携わってる親父が家では2cmアパートメントを作ってるとか宝の持ち腐れじゃん」
意外と俺の仕事内容をよく知ってくれていることがわかり嬉しくなるも、すぐさま苦言を呈したくなった。
「…アイスの棒は洗って捨てろ。俺の苦労が無に帰すだろうが」
「へいへい」
息子がきちんとゴミ箱に捨てたのを確認してから俺はまたネズミとゴキブリのためのアパートメントを組み立て始めた。
父や長年都会暮らしをしている親戚の男性陣に聞くと、意外と虫の始末に抵抗があるようで……さすがにネズミやヘビは無理でも、Gでキャー! とはならない我が家の女性陣。キャーで済んだらホイホイいらんねん!って感じですね。
最近は話し相手がいないので、蝶やトンボに一方的によく話しかけています。今までは無理だったヤモリ系も今後はイケそうな気がするくらい😂どんな生活~😂
よかったら、A面もどうぞ~🙋
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