駄洒落小説 『彦星誘拐』 #毎週ショートショートnote【指輪は大ぶり編】
「あれ?今年は彦星いないね」
毎年、七夕になると夜に再度学校の屋上に集められる、正直めんどくさい校外学習。マラソン大会に匹敵するくらい、中止になる方が喜ばれる年間行事の一つだ。
そんな七夕の日にしれっと現れる男が彦星である。
「知らないの?彦星誘拐されたんだよ」
「え、何したの?あいつ」
「あるタイル屋さんに忍び込んでお金盗んでしょっぴかれたんだって」
「彦星よ、そこは宝石屋だろうよ」
「それな。毎年『まるで夜空が宝石箱や~!』って言ってんのに」
「ワンパターンにもほどがある」
「ていうか年イチしか空見上げないのかよ」
「それは坂本九も泣くわ」
彦星は別に星に詳しい訳ではない。
ただ某食レポタレントのような発言をして、賑やかしにくるからそう呼ばれているだけなのである。
学校もよくそんな危なげな男を呼び入れるなと思っていたら夜空を見上げて泣いている人がいた。
「琴子理事、泣いてんじゃん」
「彦星の母だからね」
「まじか。天の川が面会の壁に…」
実在する人物とは一切関係ございませんが、ファンの方で不快に感じた方がいたらすみません🙇💦
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