生きてさえいれば
作者、小坂流加さんは、編集が終わった直後病状が悪化。刊行を待つことなく2017年2月逝去。題名から想像する限り命を扱ったものだろうと想像できた。全体としては恋愛の話が濃厚なのかなと思ったが、人生の大切なテーマが描かれていると思った。今は読んで本当に良かったと思える一冊になった。
登場人物千景がいじめに合っており、自殺をしようと思うところから話が始まる。構成としては現在から7年前の過去に遡る。大学の合コンで秋葉(男性)と春桜という女性が出会う。
春桜はモデルをしていてみんなの憧れ。ちやほやされて温室育ちと思われている。だが父親を亡くし兄弟は姉の冬月のみ。二人の仲は良いとは言えない。秋葉は春桜のことを自立した一般的な苦痛を持っている女性だと、だんだん分かってくる。
自分達二人とそれぞれの家族が繋がれば春夏秋冬になる。それぞれの家族の名前は春夏秋冬が入っている。春桜が、遺伝性の心臓病を抱えていところは作者自身の持病を重ねて描いたのではないかと思う。
春桜と秋葉の幸せな日々に突然起きた秋葉の両親の交通事故。
その時、春桜は花言葉の「あなたの悲しみに愛をもって寄り添う」という行動を貫いた。だが秋葉は妹夏芽の介護で春桜と離れ離れになる。
7年の時を経て、千景が春桜の手紙を届けたことによってまた二人は再開することができた。この場面は感動的な場面である。
冬月の言葉
今絶望を感じている人、命を断つことを考えている人へ
「生きてさえいれば幸せを見つけられる」という作者の魂からのメッセージだと思った。
作者は病と闘っていた。その命を懸けた心からの言葉は私の心に深く響いてきた。この言葉を大切にしようと思った。
「余命10年」60万部、「生きてさえいれば」20万部の小坂流加さんからのメッセージです。
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