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清掃業務をしたい_オフィス編(知的障害・発達障害のある社員のためのお仕事ライフハック)~ 総務からはじめる、障害者雇用ノウハウ ~

はじめに(チームより)

フローレンスは、親子を取り巻く社会課題の解決を目指しているNPOで、現在、約700名が所属しています。多様なメンバーの「働く」を支えているのがバックオフィス業務を主に担っている働き方革命事業部、通称「ハタカク」です。
ハタカクは人事、経理、法務、総務、といった業務で構成されていて、障害者雇用チームも含まれています。フローレンスの事業を裏で支えるハタカクメンバーの業務や仕事への思いをnoteに投稿しています。


認定NPO法人フローレンスの総務関連チームで障害者雇用のスタッフのサポートを担当しているジョブコーチ*1の和田です。自己紹介はこちら>>

知的障害・発達障害のある社員が持つ悩みに対して、本人やサポーターが今日から取り入れられる「ちょっとした、お仕事ライフハック」をご紹介しています。記事執筆の背景>>

フローレンスの障害者雇用についての視察や講演などの問い合わせは、 https://florence.or.jp/contact/ の取材・広報申込みフォームよりご連絡ください。


▼本日のお悩み
「障害のある社員/スタッフにオフィスの清掃をお願いしたいのですが、どうしたらいいでしょうか?」

お仕事ハック①掃除道具選びが一番重要

「清掃は、誰がやっても大変だ」ということを忘れずに

障害者雇用をはじめたばかりの会社では「今はオフィスの清掃を外注しているが、障害者雇用の社員やスタッフの業務として定着させたい」という希望が出ることがあるかと思います。

障害者雇用の社員に清掃業務を依頼する前に忘れていけないことは「清掃は誰がやっても大変だ」ということです。体力面もそうですが、オフィスは「キレイで当たり前」と思われがちなので、「やり残さないように」などの緊張感もあります。
まずは、サポートする側が「これなら毎日自分でやってもいいかも!」と思えるぐらい、効率的に行いやすい手順でキレイに出来るように仕組み化することが必要です。

一番吟味したほうがよいのは「掃除道具」です。どのような掃除道具を選ぶかで清掃の大変さが変わってきます。
フローレンスでも障害者雇用の社員が4つあるフロアのオフィス掃除を毎日行っています。当初は、床が絨毯なので吸引力があったほうが良いだろうとのことで、大型掃除機を使っていましたが、掃除機自体が重く、机の間と間を清掃する際に、コードが絡まり非常に使いにくそうでした。

買い替え時期になった時に、ビル清掃でプロが使っているような、スタンド式コードレスタイプの掃除機でも良いのでは?と、考えを切り替えてみたところ、吸引力も問題なく、コードもないのでスムーズに清掃出来るようになりました。

フローレンスのオフィス清掃で使っている清掃道具は、スタンド式コードレスタイプの掃除機の他に、床を拭くためのクイックルワイパー、机を拭くためのノンアルコール除菌のウエットティッシュなど、手入れが簡単で手軽に使えるものばかりです。

下記の写真は、新しくした掃除機のゴミパックの替え方と充電機の充電方法をマニュアルにまとめたものです。今は家庭でもロボット掃除機を使っていることも多いので、単純な使い方の掃除道具でもわからない場合があります。新しい掃除道具を導入した場合は、使い方の説明も忘れずに行うと良いです。

お仕事ハック②マニュアルとチェック表を作ろう

「掃除機は、かければいいだけじゃん」と、思っていませんか?

掃除にマニュアル必要なの?と思いますか?必要です。掃除って誰でも出来ると思っていませんか?実は一番難しい業務が清掃です。学校でも掃除の時間があるので、人生で全く掃除をして来なかった人はあまりいないかもしれませんが、掃除のレベルは人それぞれです。

「会議室に掃除機をかけてね」と言われても、椅子を動かして掃除する人もいれば、椅子は動かさず、隙間だけに掃除機をかける人もいますが、どちらの人もそれで「キレイになった」と思っているのです。清潔さに対する価値観は個人で違いますので、誰がやっても一定のレベルを保てるように「椅子を動かしてから掃除機をかける」などの手順やステップを示したマニュアルが必要になるのです。

下記の写真はクイックルワイパーのシートを変えるタイミングを示したマニュアルです。「モップのシートは両面使用し×1フロアで3枚取り替えてください」等と書いてあります。こういった細かいことでもマニュアルに示しておくことで、複数人で行なっても業務の標準化ができます。

お仕事ハック③掃除はなぜ必要なのかを伝える

「誰のために、何のために掃除を行うのか」を大切に

下の写真の清掃マニュアルの冒頭には「オペレーションズ(※障害者雇用チームの呼称)のみなさん、毎日お掃除ありがとう。この清掃がフローレンスの全員が気持ちよく過ごせる大きな働きです。」と書いてあります。

これは、障害者雇用の社員への清掃レクチャーをしてくれたスタッフが、レクチャー時に最初にかけてくれた言葉です。本来はマニュアルに記載するようなことではないかもしれないですが、大切な言葉だと思いましたのでマニュアルに書いておきました。

汚れているオフィスでは、よい仕事は出来ません。「障害者雇用社員の仕事を増やすため」に清掃をやってもらおうと安易に考えるのではなく、「誰がやっても大変な清掃をどうしてやらなければいけないのか」「清掃業務は、営業が契約をとってくることや、人事が採用活動で誰かを採用することと同じぐらい、会社に貢献する仕事であること」を、最初に説明する必要することで、使命感をもって業務をしてもらうことができます。

最後に

フローレンスに転職する前に務めていた会社では、専門の清掃業者の方が掃除をしてくれていました。その時も感謝はしていましたが、どれだけ大変なのかは理解出来ていませんでした。
今、障害者雇用の社員に清掃のレクチャーをしていると、清掃という仕事がどれだけ体力を使い、神経を使う仕事なのかが理解できますし、キレイにオフィスを使おうと思えます。清掃以外の業務を担っている社員も、清掃を間近にできる機会があると、さらにオフィスに愛着をもって仕事ができるようになるのかなと思いました。

*1「ジョブコーチ」 企業に在籍し、同じ企業に雇用されている障害のある労働者が職場適応できるよう様々な支援を行う人を、企業在籍型ジョブコーチといいます。

執筆の背景

障害者雇用関連の情報は、採用・育成の事例やノウハウばかりで、採用した障害者雇用の社員に「どのような業務を、どうやってもらうのか」のノウハウが足りていません。

そこで、実務ノウハウや、障害者雇用チームの立ち上げ経緯などを公開することで、障害のある社員自身や総務担当者が、はじめの一歩を踏み出せるシリーズを立ち上げました

▼過去記事一覧はこちら

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