メディカルハーブとは?
夏の暑さのピークを過ぎて、ようやく秋めいてきた。
体も少し楽に過ごせるようになり、ほっとするこの頃。
厳しい暑さで疲れた心と体を整えるために、ここではハーブの活用について、少しご紹介しようと思う。
ハーブとは、「香りがあり食などの生活に役立てられる植物」のこと。
料理の香辛料や保存料、薬草などとして、普段の生活の中にさまざまな形で用いられている。
ハーブには、人間の自然治癒力を高める成分(フィトケミカル成分)が非常に多く含まれている。
この成分は穏やかに作用するため、自然療法(ナチュロパシー)として伝統的に用いらており、この植物療法に使われるハーブを『メディカルハーブ』という。
ハーブの香りは、植物にわずかに含まれている精油(エッセンシャルオイル)によるもので、ハーブから抽出された精油を使った自然療法がアロマテラピー(芳香療法)である。
メディカルハーブの成分がもたらす作用は数多く、効果の現れ方も多様。
ハーブの組み合わせによって相乗効果をもたらしてくれるのも魅力。
一つのハーブの中には複数の有効成分と作用が含まれている。
例えば、ジャーマンカモミールは、
精油(カズマレン、マトリシン)とフラボノイドが主成分。
・精油には鎮静(神経系を穏やかにする)、抗菌、香りの作用。
・フラボノイドには抗アレルギー、鎮静、発汗、利尿、消炎などの作用。
ジャーマンカモミールのハーブティーを飲むだけで、リラックス効果とこれらの作用をすべて取り込むことができる。
ここに、ペパーミントを組み合わせると、
主成分の精油(メントールなど)、フラボノイド、タンニン、ポリフェノール が加わる。
・タンニンには抗酸化、収れん(皮膚のひきしめ)、止瀉(下痢止め)の作用。
・ポリフェノールには抗酸化、抗炎症の作用。
ペパーミントとジャーマンカモミールのブレンドハーブティーは、
消化機能の改善、胃腸の不快感や、それに伴うストレスの緩和に直接的に作用し、より効果が期待できる。
上の例以外にも、メディカルハーブには
抗酸化作用、抗菌・抗ウイルス作用、鎮痛作用、免疫を高める作用、粘膜の保護、ビタミンやミネラルの補給、血行促進、ホルモン調整作用…などなど、
体を健康な状態に整えるための作用がたくさん。
ハーブティーだけでなく、お風呂に入れるハーバルバスや芳香浴、湿布などとしても利用でき、体の外側からも癒してくれる。
これらの作用や利用法を理解することで、心と体をより良い状態に導く手助けをしてくれる。
古代エジプトの時代から、アロエなどのハーブが体の治癒のために利用されてきたことが書物に残されている。
時代が移り変わるにつれ、科学と医学が進歩し続け、ハーブの薬効についてより詳細になり、現代に至っている。
大昔、大自然の中で植物の効能を本能的に見つけ出し、活用し続けてきた先人の知恵に驚くばかりだ。
近代医学で使われている医薬品は、もとはメディカルハーブの単一成分を分離したり合成したりすることで生み出されたもの。
ところが、即効性がある一方、薬害や副作用などの影響も大きいことがわかってきた。
そこで近年は医薬品だけに頼らず、自然療法を取り入れ、互いの良いところを使い分けながら健康を維持することが主流になっている。
色彩や香り、組み合わせの豊富さを楽しみながら、植物のありのままの力を体で感じて、生活をより豊かに。
ハーブをもっと身近に、生活に取り入れて、今よりもっと健康的で素敵な日々になりますように。