催花雨が降る頃
毎日が退屈だった。
何もやる事が無く、ただベッドに横になり過ごした。
今日は昼から雨が降っていた。
雨音と共に、様々な人や車が家の前を通り過ぎる音が聞こえる。
その音が聞こえる度に寂しさが増してくるのがわかる。
『何もしないなら実家に帰るべきだ。』
何度もそう考えたが、少しのプライドがそれを許さなかった。
高校を卒業して、東京寄りの埼玉へ引っ越して来て2年。
実家は群馬寄りの埼玉だから、そう遠く無いのだけれど、帰るわけにはいかなかった。
「こんな日は旅でもしようかな。」
そう言って、タイトルの意味さえわからないフランス映画を再生する。
雨の夕方がフランス映画と共鳴して、寂しさがまた増幅していく。
日が落ちて行くのを感じながら、増しに増した寂しさに酔いしれる。
そんな瞬間が嫌いじゃない自分がいる。
「変なヤツだな。」
そう呟いた言葉は、
外を歩く子供達の笑い声にかき消されてしまった。
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