お金はゴールではない、というお話
スタートアップで意思決定をするとき、よく売り上げや利益が判断に基準になります。
でも、ちょっと落ち着いて考えて欲しいのだけど… お金というものは事業のゴールではありません。確かに流通額や利益は、経営指標として重要な数字ですが、万能ではありません。
それだけを見ていると、簡単に足元の石につまづきます。売り上げのために変な設計をしたり、本来ターゲットでない層までキャンペーンを拡大したり、そういうことが起きやすくなります。
なぜかというと、本来チェックすべきは、「企業の掲げる目的に近づいているか(遠ざかっているか)?」だからです。
本来、企業はなにか達成すべき目的をもって設立されます。お金というのは、その目的を達成するための手段でり、事業の持続可能性を強化する道具にすぎません。あくまで道具なんです。そして、道具は目的ではありません。
自分の理解としては、お金は「目的地に向かうためのガソリン」のようなモノだと思います。
目的地を目指さず、裏庭にガソリンをひたすら溜め込む…ふつうに考えれば、ちょっとおかしな話です。ですが、なぜかビジネスではこういった、奇妙な歪みが生まれがちです。たぶん、世代交代や引き継ぎのとき、もともとの想いが継承されず、数値目標だけが継承されやすいのかもしれません。
ガソリンに例えると、みえてくる不自然さ
・裏庭につみあげたドラム缶の量を誇るが出かけない。
・ガソリンは潤沢にあるが行動範囲が半径5km。
・どれだけガソリンを集められるかしか評価指標がない。
コンビニに行くのに必要なガソリンの量と、日本縦断するのに必要なガソリンの量、世界縦断に必要なガソリンの量というのは違います。適正スケールを超えて成長をもとめられたサービスの大変は、原型を留めない変質を起こすか、自重で潰れてしまうでしょう。
投資を受けるのも、上場するのも、「その規模のガソリンがなければ行けない場所」を目指すためのはずです。ガソリンを集めたらゴールとか、自分がガソリンになってしまうとか、気づいたらオバケになることは避けたいものです。人生でもビジネスでも戦争でも、ロジスティクス(補給線)は最重要課題ですが、ロジスティクスは存在意義そのものではないのです。
そんなわけで私生活でも仕事でも、お金が欲しいときこそ、そのお金ってそもそもなんのために必要なんだっけ…と定期的に俯瞰することが大事なのかなぁと思います。