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ゆべし先輩
少し前、同じ大学の先輩が炎上していた。
某企業で会社の公式Twitter、いわゆる「中の人」を演じていた先輩。ちょっと調べるとすぐ出てくるニュースだが、自社製品のPRの中で砕けた表現をしすぎた結果、時間を持て余したお母様世代から猛バッシングを受けたそう。一時的ながら株価も下がり、企業に少なからぬ騒動を巻き起こした先輩に対して、企業の出した答えは「先輩から公式Twitterの任を降ろす」というもの。それ以来公式Twitterは年末商戦も、年明け以降も音沙汰なしだ。
「中の人」から「ただの人」に格下げされた先輩は今、こちらも時間を持て余した末にFF14に力を入れているようだ。大学時代に別に仲が良かったわけではないが、何かの絡みで個人のSNSが繋がっており、割と頻繁に生息状況が更新されている。公私共に「ジョブチェンジ」が彼のキーワードであることは間違いない。
ある日ふと気になり、当人の「いいね!」欄を見てみると、「〇〇(先輩の企業)の中の人、早く戻ってきて!」「意外と◯◯の中の人のファンだった」といった投稿をいいね!している。すっかり辟易してしまった。
そういえば、在学当時の先輩の下馬評は「下級生に対しやけに親しく、同級生からは少し煙たがれている人物」だった。
わたしがいた学部は人数が少なく、入学当初の新歓イベントには上級生も一定数参加して、一緒に行うのが習わしだった。その時に「地味な学部なのに、やけにイケイケな人がおるな〜」と田舎出身の私が興味の眼差しを向けていたのがその先輩だ。もう余り覚えていないが、わたしと同じく田舎出身であろう素朴な女子たち相手に「どう?飲んでる?」「ウチの学部内サークル、楽しいから今度絶対来てよ!」等とコミュ力をブン回していたのが遠目に印象的だった。何となく、わたしは横にいた先輩に「あの先輩、すごい人気ですね」と口に出したら、「まあ、アイツは下には調子いいからな。w」と軽く下に見られていた。
炎上騒動で思い出したが、企業の知名度を傘に着てお調子者発言を繰り返していた先輩の姿は、下級生に先輩風を吹かしまくっていた明くる日の姿と完全に一致していた。きっと根っこがそういうお人柄なのだろう。
先輩にとって「中の人」はある意味では天職だと思うが、別の視点ではわたし達のような潜在的ヘイターを作っていたのだろう。ただ一つ言えるのは、自己顕示欲が強い一般人に、いち大企業の公式アカウントという「虎の威」を貸し与えるのは余りに大きいリスクだという事だ。
まだ自分が「中の人」として復帰し、一部のファンコミュニティで持上げられるのを期待しているであろう先輩。個人SNSのアイコンは未だに「中の人」の二次創作画像だ。これまでのキャリアの少なくない時間をTwitterに費やした先輩は、今社内でどんな仕事をしている/できるのだろうか。
会社の看板を降ろされた時に自分に残るものはなんなのか。同じく会社の看板でなんとか仕事を貰えている自分にとっては大きな問題だ。少し滑稽な先輩からはそんな学びが示唆されている様に思う。
柴田聡子のLPが3月に発売予定だ。期末の数字でガン詰めされているこの季節では数少ない癒やしなので、ぜったいに買わなければならない。自己の内省と少しの癒やし。そうやって生きていこう。