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歩行者視点から考える徳島のまちづくり

みなさん、はじめまして。元吉と申します。
現在、社内短期異動制度「Jobチャレ!!」を用いた半年間、徳島での地域課題解決プロジェクトに参画しております。徳島にて一人で行動するときには全て徒歩と公共交通機関のみで移動しています。
今回は「歩行者視点から考える徳島のまちづくり」について自分が感じていることを記していきます。

歩きやすさを向上させる必要性とは

皆さんは普段どのような手段で移動されていますでしょうか。
自動車を運転するのが難しい高齢者や自動車運転免許をまだ所持できない子供達にとって、基本的には移動の選択肢は徒歩、自転車、そして公共交通機関です。
地方では無意識のうちに行動範囲を制限されてしまい、社会と関わる機会を失っている子供達は多いと考えられます。
また移動コストの高い郊外や中山間地域において、運転という選択肢を持てない高齢者は長く住みたくても住めない傾向があります。この傾向はあまり表面化されていませんが、進行すると消滅可能性地域になりかねません。これは遠い未来の話ではないと考えます。そうなると高齢者や子供達など高い移動ハードルを越えられない人々はどこで生活すれば良いのでしょうか。

その答えとして今後、高齢者や子供連れの家族は都市部に集中するのではと考えています。徳島県の場合、徳島市が都市部に該当します。
そうなった際、徳島市自体は徒歩と公共交通機関だけで生活しやすいのか、彼らのニーズを満たすインフラが整っているのかと言う疑問が生まれます。そこで徳島市、特に人が集中する徳島駅を中心に半径約3kmエリアの歩きやすさについて考えてみます。今回は、歩行者に優しいまちづくりを考えるため、自転車についても条件が同じと考えるため省きます。

歩行者視点で見た徳島の特徴

新町川沿いの歩道とかちどき橋の渋滞

前提として徳島市民は自動車による移動がスタンダードで、徒歩で移動している人はあまり多くありません。朝晩はかちどき橋を中心に頻繁に渋滞が起きています。それでも家近くのコンビニにも自動車で向かうといった意見を市民からお聞きすることがありました。
そういった習慣をハード面のデザインが助長してしまっていると考えています。まず土地が広く他拠点移動がしづらいことです。移動目的の拠点に向かった後、ついでに〇〇に行こうとか、途中に△△に寄るといったことが難しいと感じました。
次に、歩道が狭く自動車が速度を出している道路が散見されました。令和3年警察庁の発表「県別交通事故死者数」によると、交通事故率も全国的に高いため、歩行者が気兼ねなく安心して歩きまわりにくいのが現状です。
これらのことに対して歩行者エリアの拡充や、以前記事で取り上げていたようなバリアフリーの視点を取り入れた、誰にとっても利用しやすいまちづくりのデザインを検討する余地があると感じました。実際に、整備されている新町川沿いに関しては散歩されている方が見受けられます。

歩行者が増えることが街に及ぼす影響

歩行者が増えれば、徳島にどんなプラスが生まれるのかについても説明させてください。
国土交通省は2020年から「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくり~ウォーカブルなまちなかの形成~として、まちなかにおける交流・滞在空間の創出に向けた官民の取組を推進しています。実は徳島市もウォーカブル推進都市に設定されています。他県事例として同じ四国の愛媛県松山市にある花園町通りでは、歩行空間を拡大するとともに、沿線と統一的なデザイン整備を行うことで街路空間を再構築した事例¹があります。これにより歩行者数は整備前の約2倍となっています。
東京大学のビッグデータを用いた検証研究²では、街路の歩行者空間化は小売店・飲食店の売り上げを上げることが発表されました。
以上、歩きやすさについて考えてみました。今回は話題に挙げられませんでしたが、歩行者が増える為には歩きやすさを整備するだけでは不十分であり、歩きたくなるようなソフト面の推進も不可欠です。

徳島に来てからというもの、もっとこうなったら良いな、行動の幅が広がるだろうといった改善視点でまちを見てきました。それ以上に、有り余るほどの人間味と義理人情が残る魅力的なまちであることを体感しています。
「地域課題を地域の個性としてポジティブに捉える。」ご懇意にしていただいている徳島大学の上月康則教授の言葉です。徳島には全国的に見て不足点があるのかもしれませんが、それをあえて特徴として活かしていく。そんなやり方が徳島なりのまちづくりになるのではと考えています。

何十年後かに迎える社会課題や世界から見た日本の価値やアイデンティティを考える上で徳島のこれからに注目していきたいです。

参考文献
*1https://www.mlit.go.jp/toshi/content/001326427.pdf
*2https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/news/release/20211028.html