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求職者フレンドリーな求人票の書き方

こんにちは、あるいはこんばんは。
人・組織の困ったをハンズオンで解決に導く人事支援サービス」を提供している FiVE Inc. 代表の泉谷(@Show_Iz)です。

今回のnoteで取り上げるテーマは「求人票の書き方」です。

20年ほど人事 / 採用の仕事に携わってきましたが、年を追うごとに、いや日を追うごとに人材採用の難易度の高まりを肌で感じています。そんな状況もあり、採用がうまくいっている企業はより採用強化を図る目的で自社の取り組みを外部に発信し、それがまた新たなトレンドとなって採用界隈に影響を与えるという流れが繰り返されています。

そんな中、界隈のトレンドはおさえながらも、それ以上にわたしが採用において大事にしてきたことがあります。

それは「求職者フレンドリーな求人票」へのこだわりです。

そんなわけで、本noteではわたしが求人票にこだわる理由や背景を踏まえ、「求職者フレンドリーな求人票」とはどういった求人票のことを指すのかを定義し、どうやって書き上げていけばいいのか、具体的なポイントを整理した上で、企業側と求職者側の双方向のメリットを重視しながら書くためのノウハウをお伝えできればと考えています。

1. わたしが求人票にこだわる理由とどうこだわっているか

なぜ求人票にこだわるのか?

その理由は単純明快で、求人票というものは求職者の方が求人へ応募する際に必ず目を通すコンテンツだからです。

  • 社長の創業ストーリー記事

  • イケてるメンバーのインタビュー記事

  • 楽しそうな社内イベントの記事

たとえ、これらのコンテンツを見ていなかったとしても、求職者の方が応募する前に必ず目を通すのが求人票です。

また、SNSや採用広報の隆盛によってその発生頻度は下がってきてはいるものの、未だにあるケースとして「へぇ〜、こんな企業があるのか」「この会社、名前は聞いたことがあったけど、こういう事業をやってる会社なのか」など、企業のことを腰を据えて知る最初の機会 / コンテンツが求人票だったりもします。

実際のところ、求職者の多くは求人検索サイトやSNS、あるいは知人や人材エージェントからの紹介を通じて日々大量の求人情報に触れています。そのため、求職者が「この会社は自分にフィットしそうだ」「話を聞いてみたい」と思うきっかけを、求人票に触れた段階で提示できなければ、スルーされてしまう可能性が高くなります。少しイキった感じで言ってしまうと、求人票は「会社の第一印象を左右する顔」とも言えるものだと捉えています。

そんな最重要コンテンツであり、人材採用をする上で切っても切り離せないものが求人票であるにも関わらず、多くの企業では過去に作成した求人票をテンプレート的に用いて作成されたり、他社の求人と代わり映えのない内容でもよしとするなど、残念なことにすごく軽く扱われてきていると感じます。

そんな想いを持っているからこそ、求職者の目線に立った求人票、いわゆる求職者フレンドリーな求人票を目指して私なりにこだわり続けてきたみたいなところがあります。

じゃあ、どうこだわってきたか?

早速、ここからは私のこだわりポイントについて書いていきたいと思います。

しかしながら、そもそも求人票というものはフォーマットがある程度決まっていて、その中にはわりとたくさんの項目があることから、それらに対するこだわりの全てを書くとめちゃくちゃ文量が多くなってしまいます…。ですので、本noteでは求人票の項目の内、わたしが重要と考える上位3項目にスポットライトをピカッとあてていこうと思います。

求人票において、わたしが重要と考える上位3項目は以下のとおりです。

  • 募集背景

  • 業務内容

  • 必須要件

見栄えだけを意識した全く無駄な図を挟みましたが、ここから1項目ずつ、なるべく冗長にならないようシュッと解説していきます!

2. 募集背景

募集背景とは、人材募集を必要とするに至った理由や経緯、狙いについてを求職者に理解してもらうために記載する項目です。

以下は実際の求人票でよく見かける文言です。

・業績好調に伴う人員増加のため
・プロダクトの機能拡大に伴う体制強化のため
・欠員発生による補充のため

(んー、理解できるような、理解できないような…)
自分が求職者だとしたら、なんかもう一段、二段掘り下げて知りたくないですか?私だったら、どうもピンとこなくて芯に迫った募集背景が知りたくなっちゃいます。

例えば、1つ目の「業績好調に伴う人員増加のため」は、業績が好調な状態と人員を増やしたいという考えの間には因果関係がないような気もします。

こうだったらどうでしょうか?
現状業績は好調だが、今後さらに業績をあげていく事業計画を立てており、そのためには人員を確保する必要があるため

もしくは、
現状業績は好調だが、現在の人員体制では各人がストレッチしている状態であり、安定した業務を無理なく継続していくためにも人員を確保し、負担を解消する必要があるため

だったらどうでしょうか?

いったんイメージが伝わればいいのでそれほど思考も通していない簡単な例ですが、読後に受けるイメージが全然違いますし、背景となった状況に対する解像度も全く異なります。

つまりは、人材を採用するという意思決定に通ずる解像度の高い因果関係を理解できる内容が書かれていることが求職者フレンドリーな募集背景であると思っています。

3. 業務内容

業務内容とは、入社したらどういった仕事に取り組んでもらうのかを求職者に理解してもらうために記載する項目です。

求職者フレンドリーという観点でいうと、今回取り上げた3項目の中ではダントツで重要と考える項目がこの業務内容になります。

なぜか?
言ってしまえば、求職者にとっては募集背景も必須要件も入社後にはそれほど重要なことではなく、この業務内容こそが自身の日常に直結するものだからです。そして、業務内容は次のセクションで解説する必須要件と密接に絡む項目でもあるから、というのがダントツで重要と考える理由です。

実際の求人票をみると、こんな内容をよく見かけます。

・採用戦略の立案と実行(人事)
・新機能の企画および設計、開発、運用(エンジニア)
・デザインツールを利用したWebサイト/アプリのデザイン(デザイナー)

例えば、1つ目の「採用戦略の立案と実行(人事)」。
なんか抽象度高くないですか?わたし的には抽象度が高過ぎて、予想はできるものの、実際にはなにをやるのかよく分からないです。

例えばこうだったらどうでしょうか?

  • 事業成長を支える持続的な採用サイクルを実現するための戦略立案

  • 戦略実現に向けた体制 / オペレーションの構築と構築後の統率 / 牽引

これまたイメージが伝わればいいのでそれほど思考も通していない簡単な例ですが、実際にどういったことに取り組むのかだいぶわかりやすくなり、解像度が高まりました。

加えて、これはまだわたしの中でのアイデアの1つなのですが、その業務の割合や頻度を書いてみるとどうでしょうか?

  • 事業成長を支える持続的な採用サイクルを実現するための戦略立案(10%)

  • 戦略実現に向けた体制 / オペレーションの構築と構築後の統率 / 牽引(50%)

これだと、「戦略の立案」よりも、それを実行するための体制構築やオペレーションの構築の方に軸足を置いて取り組むポジションなのだな、ということが伝わりやすくなりましたよね?

まさにこれが求職者フレンドリーです。

時期や事業・組織の状態によって割合や頻度は変わりますし、どれくらいの期間でみるのかでも変わることはもちろん理解しています。それは理解しつつ、記載する目的はあくまで求職者の脳内にイメージを持ってもらうこと、ここが重要だと考えています。関与度合いなんかを記載するのも一計かもしれません。

さらには最近実験していることとして、「解くべき課題」や「新たなメンバーと一緒にやりたいこと」という項目を設け、募集ポジションにおける具体的な課題を明示するみたいなこともしています。足元の業務についてだけでなく、中長期に取り組むべきことも伝えることができるため、募集ポジションの面白さをよりお伝えできるのではないかという仮説を持っています。

業務内容は、具体的にどういうことに取り組むのか、どのくらい取り組むのか、どういった役割 / 立場で取り組むのかなど、求職者が読んだときに抱いたイメージと会社側が想定しているイメージとのギャップを最小限に抑えることができるくらいにブレイクダウンして書かれていることが求職者フレンドリーであると考えています。

4. 必須要件

必須要件とは、満たしていなければ採用できない(しない)と会社側が定めている内容を求職者に理解してもらうために記載する項目です。

例えば以下のような内容が求人票ではよく見かけます。

・2年以上の採用経験をお持ちの方
・TypeScriptを用いた開発経験が5年以上あること
・異なるチームや職種をまたいだコミュニケーション能力

2年以上の採用経験や5年以上のTypeScriptを用いた開発経験というのはどういったスキルや具体的な経験があると考えているのか、チームや職種をまたいだコミュニケーション能力というのは具体的になにを指しているのか、このへんがやはりよくわからないと感じます。

必須要件もまた超大事な項目と考えています。ただ、この項目は求職者目線というよりはどちらかというと採用する側にとって超大事です。なぜなら、書類選考含めた選考過程における確認ポイントと直結する項目だからです。

セクションテーマから少し脱線しちゃいますが、わたしの中では以下の整理をしています。

  • どんな人を採用したいか = 採用要件(≒ 主に必須要件や求める人物像)

  • 目の前の候補者が採用要件を満たしているかの確認 = 選考

必須要件が選考過程における確認点という視点で考えると、よくわからない必須要件を定めてしまうと、よくわからない確認ポイントのもとに選考を行なってしまうことになります。その結果、ズレた採用(選考結果)につながる可能性を生んでしまいます。

つまりは、フワフワの採用要件はフワフワ採用を引き起こしてしまうエコシステム構築の片棒を担ぐことになります。フワフワ採用によって、引き起こされてしまうミスマッチは会社・候補者、双方にとってマイナスでしかなく、特に候補者にとっては離職という選択をせざるを得ない状況に陥ってしまいます(結果として求職者フレンドリーではなくなる)。

人事としてこれほど悲しいことはないですし、自分の力不足によりそういうケースも過去に何度か経験してきました…。

おっと、長くなりそうなのでセクションテーマに話を戻します。

例えば…

  • 2年以上の採用経験をお持ちの方

これを以下のようにしたらどうでしょうか?

  • カジュアル面談や面接対応を含めた媒体メインのダイレクトリクルーティングで成果を出されてきた経験

  • フロントに立ったエージェントコミュニケーション経験ならびにそれに伴う実績

  • 採用チャネルの実績において、エージェントよりもスカウト媒体で成果を出されてきた方

2年以上の採用経験がある場合にどういう成果を出されているといいのかを具体的に書くことで候補者にとってはより解像度が高く伝わりますし、選考における確認もかなりしやすくなります。

担当してもらう業務をきちんと遂行いただくためにはどういう経験、スキルが必要なのかという点を真面目に真剣に考えた上で、具体的に定められている状態が求職者フレンドリーな必須要件であると考えています。

5. 最後に

求人票において重要な上位3項目が求職者フレンドリーな状態

今回のnoteでは、求職者の方が求人へ応募する際に必ず目を通す最重要コンテンツである「求人票」について、候補者フレンドリーな内容、つまり候補者の視点に立ってこうした方がいいんじゃないかという持論 / 自論を書き連ねてきました。

求人票は客観性が「」です。

誰が見ても齟齬が最小な状態で伝わる客観的な内容で作成した上で、ターゲットとなる求職者の視点で見たときに興味を持ってもらえそうな要素を肉付けしていく(本noteの内容に追加して、例えば採用の「4P」の観点もありだと思います)。

わたし自身全然まだまだで修行中の身ですが、求職者が必ず見るものだからこそ、求人票にはもっともっとこだわり抜いていきたいと考えています(それがきたるべきリサーチ系AIエージェント時代にも活きるはず)。

本noteが人材採用に力を入れている企業の経営者や人事の方にとってなんらかお役に立てるならそれに勝る喜びはありません💪

というわけで最後に宣伝です。

弊社 FiVEでは「苦しんでいる経営者や人事の方の力になる」ためにコンサルティングサービス、メンタリングサービス、RPO(採用代行)サービスを提供しております!

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最後までお読みいただき、ありがとうございました 🙏
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