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4月13日(土):社会的処方は「人間中心」で

昨日は日経新聞の「アートとケア  認知症・うつ・孤立に「処方」 世界で広がる医師との連携」と題した記事を取り上げながら、美術鑑賞などの社会的処方のことに触れました。

本日はこれに関した話をもう少しばかり。

昨日も記しましたが、社会的処方は医薬品などによって治療するのではなく、人と人のつながりなど非医療的な処方としてコミュニティでのサポートを行い、「孤独・孤立」や「認知症」のような課題を緩和・解消していくものを指します。

従来は主に医療者が行うものとされてきましたが、最新の定義では医療者以外の市民同士が社会資源とのつながりを利用して人を元気にする取り組みも社会的処方と呼ぶようになってきています。

日本では人口に占める高齢者の割合は29.1%と過去最高を更新し、社会保障費が増加の一途をたどるなかで、認知症や孤独の問題だけではなく、疾病予防や健康増進により社会保障費の削減効果も期待できる社会的処方が持つ意味合いは大きいですね。

WHOにおける健康の定義でも「社会的健康」が盛り込まれている通りですが、先のコロナ禍でも望まない形で人との接点が制限されたことで健康二次被害が生じたように、社会的要因が健康に与える重要性は小さくありません。

政府の「骨太の方針」にも「社会的処方」の文言が明記され、孤立孤独対策推進法も施行されるなかで、社会的処方にも徐々に目を向けられるようになってきました。

なお1980年代から社会的処方に取り組み始め、それが一歩も二歩も進んでいるのがイギリスです。

イギリスで社会的処方を推進しているSocial Prescribing Networkは、社会的処方の基本理念に以下の3つを挙げています。

・人間中心性
その人に合ったつなぎ先をみつけること

・エンパワメント
その人の持つ力を引き出すこと

・共創
その方に合う社会資源が地域コミュニティになくても、一緒に創っていこうという考えで動くこと

これら3つに通じるのは画一的な対応に終始するのではなく、その人に応じたやり方を提示すること、または模索することです。

この点は同じ原因による同じ病状に対して同じ薬を処方するのとは大きく異なりますね。

日本とイギリスではかかりつけ医の存在など制度的な違いがあるので、仕組みをそのまま模倣するのは難しいですが、その根底にある考え方を理解していくのは大事でしょう。

社会的処方のスタートはしっかりと話を伺いながら個別対応していくことになるのだと思います。

私たちは民間のフィットネス事業者で運動指導を基軸にした健康産業従事者です。

身体的健康はもちろんですが、精神的健康や社会的健康までカバーできるのが望ましく、情緒的価値の提供を意図したコミュニティやイベントの場はその一環になります。

私たちがサポートする方々は必ずしも病気を抱えているわけではありませんが、先のような意図で取り組んでいることは広義でいえば社会的処方とも重なってくるものです。

自分たちが取り組んでいることの意義を再確認しながら、引き続きこうした場も大切にしていきたいと思っています。

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