8月29日(月):「いつも」の食が「いつか」の備えに
まもなく防災の日を迎えることもあって関連した話を少しばかり。
先般の日経MJで取り上げられていたのはカニカマ大手のスギヨが1年をかけて「世界一おいしい災害食」を実現しようと取り組んでいる様子についてです。
スギヨの研究員や大学教授、管理栄養士、地元のスギヨファンなど、20人ほどでのプロジェクトチームを発足して、新たな商品開発にあたるということです。
既に常温でも1年間保存できる新たなカニカマを開発したほか、ラインナップを広げていこうとの意図ですね。
同社では地元で災害食のワークショップも実施するなど、この分野に力を入れているのが伝わってきました。
同社ではカニカマ誕生から50周年を迎えたこともあって新たなチャレンジをしている面もあるし、災害が頻発するなかで食品メーカーとして何ができるかを考えて貢献したい、とのことでした。
昨今の保存食は2つの路線があると思っていて、ひとつは賞味期限が5年などの超長期保存が可能な商品が増えている方向性です。
そしてもうひとつがローリングストックの考え方に基づきながら、日常の中に食料備蓄を取り込む方向性ですね。
後者の場合はあえて非常食と日常食とを切り離して考えるのではなく、その境目を埋めて両者を地続きにしていく形になります。
今回のスギヨの取り組みは後者の一環で、災害食=「冷たい、おいしくない」のイメージを覆して、日常の食から得られる美味しさや楽しさを災害時にも広げることで、少しでも食の面から気持ちを和らげられたら、というアプローチですね。
完全な保存食だと、ふと気付いた時には賞味期限が過ぎていた、というのは「あるある」です。
個人的なところでいえば、数年前にキャンプを始めてから感じたのは楽しみの趣味がそのまま災害時の備えにつながる点でした。
これだと無理なく自然な形での備えができる良さがあり、これは災害食にも同様なことが当てはまると感じています。
日常使いと災害食の垣根が低くなって、「いつも」の食料品が自然な形で「いつか」への備えになっていけば良いなと思います。