10月29日(日):名門復活とバトンの渡し方
本日は週末なのでサッカーに関連した話を少しばかり。
先週の日経産業新聞のコラム「名将にみるマネジメント術」では帝京高校サッカー部の日比監督がクローズアップされていました。
帝京高校サッカー部は2000年以前までに高校選手権で6度も優勝した名門でしたが、その後は全国大会からも遠ざかり長らく低迷期に入っていました。
昨年にはインターハイで準優勝するまでに復権してきましたが、その再建を担ってきたのが日比監督です。
従来のロングパスや個人技主体のスタイルからショートパスを多用するテクニック重視のスタイルへの転換、根性練習を脱却して合理的な練習へ、そして答えを示し過ぎずに選手の主体性を尊重する指導のあり方への変更など、多方面で変革を進めてきたといいます。
私の大学時代には一緒にサッカー推薦で入学した帝京出身の同期もいたし、先輩や後輩にも帝京出身者がいたので、帝京の環境や練習内容、それにまつわる諸々のエピソードは聞いていました。
一言でいえば、相応の覚悟と根性がなければやっていけない環境ですね(笑)
もっとも私の高校時代も近しい面は山ほどあって、その時代に全国を目指すチームの環境でいえばどこも似たところはあったと思います。
ただ、そうしたサッカーのスタイルを含めたカルチャーが時代の変化とともにミスマッチが大きくなってしまった面は否めないですね。
それを変革したのが日比監督なわけですが、特筆すべき点は日比監督自身が全盛期の帝京に身を置き、そこで全国大会優勝などを経験してきた内部の人であったことです。
低迷したチームの悪弊を外部から来た人間がゼロリセットするのはよくある話ですが、従来のやり方で成功を収め、その伝統などの重みも知っている内部の人間が良好に自己否定をして建設的に変革をしている点が見事です。
それができたのは日比監督が高校卒業後にプロサッカー選手を経て、民間企業の会社員として約16年の勤務を通じて培われた経験が大きく、現在の監督業に多分に活かされているのだと思います。
個人的には同コラムの末尾に出ていた次の日比監督のコメントが印象的でした。
「どんな名門でもバトンの渡し方を間違ったから低迷する。自分は5年後、10年後を見据えて次の世代にバトンを渡したい。コーチたちにも同じ目線で接し、トライを促していきます。」
自分の身に引き寄せた話をさせてもらうと、私たちは小型のフィットネスクラブを運営する民間企業です。
現在の各店舗のマネージャーたちは奇しくも皆が揃って今年で40歳を迎えます。
彼等はトレーナーとしてもビジネスマンとしても自立をした存在ですが、それぞれのクラブで次世代のトレーナー、リーダーを育成していく必要もあります。
先ほどの監督のコメントにあったバトンの渡し方をどうしていくのか、そこは自分たちにとってもタイムリーな課題です。
今の若手が3年後や5年後、いまのマネージャーたちに続いて自立をしたリーダーとなっていけるよう、自分たちもまたバトンをつないでいかなければと思っています。