6月26日(水):子どもの望む「体験」に
昨日は今年の4月から長野市で始まっている子どもの体験・学び応援事業「みらいハッ!ケンプロジェクト」と、それに付随したことを記しました。
本日もそれに関連した話をもう少しばかり。
前述した長野市のプロジェクトは家庭における所得の格差が、そのまま子どもの体験格差につながっている現状をふまえ、子どもの体験格差の解消に向けた取り組みで、長野市と経産省との協働モデル事業としてスタートしたものです。
体験格差の現状はスタディクーポンを提供するチャンスフォーチルドレン代表、今井悠介さんの著書「体験格差」で詳細が記されています。
一人親世帯を中心にした世帯年収300万円以下の家庭では、子どもの習い事や旅行、レジャーなどの体験を1年を通じて一度も体験することがない「体験ゼロ」の子どもの割合が約30%にのぼる状況が説明されていました。
子どもたちにとっての体験は、その瞬間における楽しさや充実感だけでなく、将来の人生の広がりに関わる要素でもあるため、より開かれた形になっていくのが望ましいと思います。
その意味で今回のプロジェクトは非常に意義のあることだと考えていて、私も間接的に携わる機会を頂戴しているので、そこに関与できるのは有難い限りです。
これら子どもの体験についての問題は「やりたいことができない」状態を解消していくのが大事である一方、もうひとつの問題は「やりたくないけどやめられない」状況の解消も必要でしょう。
私たちのようなフィットネスクラブを運営していると、習い事をする子どもと触れる機会があるわけですが、なかには毎日のように日替わりで習い事のスケジュールがびっしりな子どももいます。
これは本人が望んでそうなっているというよりは、親御さんの意向で「詰め込まれている」といったほうが適切ですね。
共働き世帯を中心に家を空けていることが多いから、放課後の子どもの時間を習い事で埋めていくような形です。
子どもは必ずしも自分が行きたいわけでもないし、楽しいものでもないけど、毎日が何かに追われるような忙しない状況に置かれています。
大人でも時にリフレッシュのような時間が必要なように、子どもにとってもぼーっとしたり、無邪気でいる時間は大事ですね。
やりたいことができないことも、やりたくないことがやめられない状況も、大人の都合で子どもが左右されている、という点では同じです。
もちろん一口に子どもといっても人それぞれなので、子どもにおける体験の状況が一人ひとりの子どもが望む形に近づけられるようになっていけば良いだろうと思います。